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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

喫茶『魔女の家』編

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49 祭りの主役

ウェイトレスパレードになっちゃいました。
 村の中心部はけっこう散策したので、私達は喫茶店で休んだ。
 といっても普段は全然別の商売をやっている家が、祭りの時期だけ喫茶店になっているもので、昨日私達がやっていたのと同じシステムだった。

 村ではお店の数も少ないので、祭りの時期はこうやって数を増やす必要があるのだ。近隣の町などからも人が来るので、いつもの数倍の人口密度になる。

「シャルシャよ、この祭りの起源はもともと遠方のほうにあるんじゃぞ」
「豊饒の女神を信仰する祭りがここまで伝播した、興味深い」
 ベルゼブブとシャルシャは学術的なことをしゃべっていたが、基本的に祭りは楽しめればいいのだ。今でも外では踊りのための陽気な音楽が続いている。

「ちなみに少し昔はのう、こういった祭りの日は男女の出会いに使われておってのう、祭りで知り合った者同士で熱い夜を過ごしたということじゃ」
「ちょっとちょっと! 娘に変なこと吹き込まないで!」
 何を猥談しようとしてるんだ!

「変なことではないぞ。学問的な話じゃ。それに、男女が恋に落ちること自体は悪いことではなかろう」
「うっ……理屈ではわかるんだけど……」

 しかし、そこでシャルシャが優秀な暗殺者みたいにぐさっとベルゼブブを刺した。

「ねえ、ベルゼブブさんは男の人と愛し合ったことはある?」
「なっ、何を言うのじゃ、シャルシャよ……」
「いや、そういう話になったから。シャルシャもファルファもよく知らないし」
「うあ……そ、そういうことはわらわもよく知らぬのう……。専門外というやつかのう……」

 ものすごくベルゼブブは赤面していた。
 あっ、この人、自分からはえっちなこともしゃべれるけど、話を振られるとまったく対処できないタイプだ。
 というか、この調子だと、少なくとも恋愛に慣れているということは絶対ないな。

「ファルファも聞きたいな~」
 そこにファルファも参戦。ベルゼブブはすっかりやりこめられそうになっていた。

「お、おぬしらにはやっぱりまだ早いというか、わらわが説明するのは不適切というか……そうじゃ、こういうことはお母さんに尋ねるべきじゃな……」

「うわ! 責任転嫁した!」
「うるさい! おぬしだってあんまりぺらぺら話をされるのも嫌がっておったではないか!」

 助け舟を求めようと横を向いたら、ライカは露骨にシラを切って、こういう話に巻き込まれないようなバリアーを張っていた。ライカ、真面目そうだもんな。そういう色恋の冗談嫌いそうだし、やめておくか。
 ハルカラはどうせ「お酒が恋人です」とか言うだけだから、スルーするとして――

「お師匠様! 今、どうせ色恋の話をわたしに振っても無意味だろうとか思いましたね!」
 ぎくっ。ばれていた。
「ちなみに初対面の人にはやたらとアプローチされるんですが、酔いつぶれてる姿を見られると幻滅されますね」
「やっぱり、お酒が恋人じゃん……」

 そんな他愛のない話をしていると、村長さんがお店に入ってきた。

「魔女様、昨日は喫茶店大繁盛でしたな!」
「ああ、おかげさまで。繁盛しすぎて困りましたけどね」
 ちなみに村長さんもお店には夫妻で来てくれた。立場的にも村長さんは高原の魔女を絶対ないがしろにできないのだ。村長の職務の一つに、高原の魔女と仲良くやるというのも含まれているらしい。

「それで、もしよければ、ゴンドラに乗っていただきたいなと思いまして」
 よくわからない提案をされた。
「ゴンドラ? ドラゴンには乗ったことあるけど」
「車輪のついた箱みたいなものですな」
 ああ、日本のお祭りでいうところの山車だしみたいなものか。

「祭りのクライマックスにはそれが練り歩くのですが、是非魔女様達にそこに乗っていただきたいという要望が大変多く集まっておりまして。とくに昨日の喫茶店に行けなかった男達が本当にお願いしますと!」

「はあ、恥ずかしくはあるんですが、せっかくだし、乗るぐらいならいいかな」
「それで……できれば、ウェイトレス姿で乗っていただけると……村の衆も喜ぶのですが……」

 なんだ、その要望は……。

 ライカが「またですか……」とすでに赤面していた。
 けど、これで普通の服で乗ってがっかりされるのもそれはそれで嫌だしな。

 ぽんぽんとライカの肩を叩いた。
「ここは一肌脱ごう、ライカ。お祭りだし、特別サービスってことで」
「わ、わかりました……」

 こうして私達はそのゴンドラに乗った。
 ウェイトレス姿で。

 はっきり言って、信じられないぐらいに盛り上がった。

「魔女様万歳!」「魔女様万歳!」

 動くゴンドラの上から手を振っているだけなのだが、ものすごい声が上がる。大人気アイドルに生まれ変わった気分だ。面映ゆいところもあるが、喜んでもらえてるのだからよしとするか。

「ライカ様!」「ライカ様最高です!」「昨日もお店行きました!」

 あれ、なんかライカの声援も大きいな……。

「あ、あの! 様付けはやめてください! 我は普通のライカでいいですっ!」

 そういえば、呼称もライカ様になっている。喫茶店ではだいたいライカちゃんって呼ばれていたのに……。

「照れてるところが余計にいい!」「妹になって!」「ライカ様!」

 うわあ……。喫茶店をやったことで、村の人達が完全にライカのかわいさに目覚めてしまったのか。これはちょっとライカに申し訳ないことをしちゃったかな……。

「いやあ、ライカさん、よかったですねえ。大人気じゃないですか」
 ハルカラが何のフォローにもならないことを言っていた。
「我はこういうのは、ちょっと……」

 ライカ、多分そうやっておどおどしちゃうとかえってかわいさアピールになって逆効果だよ……。でも、私もこのライカ、もっと見ていたいので黙っておこう。

 私の妹がかわいすぎる!

「うぅ~、アズサ様、もっと目立って、我への視線を拡散してください~!」

 ライカがたまらず抱き着いてきた。

「あぁ~、かわいい妹に抱き着かれて、私、すごい幸せ」
「アズサ様、何をおっしゃってるんですか!」

 こうしてウェイトレスな私たちが乗ったゴンドラはお祭り最大の人気イベントになりました。

 その後、集客が見込めるのでぜひ来年もやってくださいと村長に頼まれた。

「そこはライカの態度などを勘案して決めますね……」

 そっか、祭りってこういうふうに毎年恒例になって定着するんだなということを実感した。
喫茶『魔女の家』編はこれでおしまいです。次回から新展開です!

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