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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

喫茶『魔女の家』編

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48 お祭り当日

喫茶店も終わったので、お祭りを楽しみます!
 その日はベルゼブブにも泊まってもらうことにした。あれだけお世話になった以上、とことんおもてなしをする義務がある。

「お風呂の用意もするから、一番風呂に入ってね。なんだったらお背中流すよ」
「じゃあ、ファルファとシャルシャと入りたいのじゃ」
「あの子たち寝てるけど……まあ、お風呂に入って寝るべきか。わかった。起こします」

 すごくベルゼブブがうれしそうな顔になった。これ、また養女にくれとか言い出しそうだな。かわいがるのはいいけど娘はやらんぞ。

「二人のためにこういうのも持ってきたのじゃ」
 ベルゼブブが出してきたのは中身が空洞になっているアヒルのおもちゃだった。
「これ、お風呂に浮くのじゃ。お風呂が楽しくなるのじゃぞ」
「そういうの、この世界にもあるんだ……」

 娘二人もベルゼブブとお風呂に入るのを喜んでいたので、よしとしよう。
 風呂から出てきた後も、すごく楽しそうに娘の頭を拭いてやっていた。

「あ~、もう、本当に二人ともかわいいのう!」
 すっかり子供好きだな、まったく。
「どっちか持って帰りたいぐらいかわいいのう!」
「それは絶対にダメだからね!」
 本当に実行しそうな勢いなので、そこはダメと言っておいた。

 風呂から出てからは、ベルゼブブはハルカラと『栄養酒』その他の話をしていた。

「何か滋養強壮によさそうな植物を魔族の土地でも植えられんだろうかのう? 農相として、商品作物を増やす政策を推進しておるのじゃ」
「あー、じゃあ、土地の気候とかの情報を送ってもらえませんか? それに対して生えそうなものをこっちでリストアップしますよ」

 こういう話だとハルカラもプロなんだよな。抜けてるところはあるが、専門家である一面も確かに持っている。

 そして、あっという間に就寝の時間になった。

「では、明日は一緒に祭りを見てまわるというのでどうじゃ?」
「うん、それもいいね。じゃあ、それで」

 こうして喫茶『魔女の家』の長い一日が終わった。



 翌日、私達はベルゼブブも含めて、村で開かれている踊り祭りに繰り出した。
 午前中から、すでに村の各地で踊っている人たちがいる。そして、露店がずらっと並んで、なんでもかんでも売っている。本当になんでもかんでもなのだ。なにせ、フリーマーケットみたいに家の不用品を格安で売ってるようなところまであるからな。

「ほう、田舎の祭りの割には頑張っておるほうじゃのう」
「今日は上から目線なのか。実際、田舎で行われてる祭りなのは客観的事実だからしょうがないけど」

 大都市の祭りと比べれば当然知れている。別にそれでいいのだ。素朴なぐらいがちょうどいいのだ。

 ただ、祭りが素朴だろうと、この面子で歩けば、えらい騒動になるのは必然なわけで……。

「おお! 魔女様ご一行だ!」
「昨日の敏腕ウェイトレスさんもいるぞ!」
「ほら、道を空けてさしあげろ!」

 すうっと私たちが歩く前の道が空いて、モーゼ状態になる。

「いやいやいや! かえって気をつかって歩きづらいんで、普通にしてくださいよ!」

 ただ、こうなると村の人たちは譲らないのだ。
「いえいえ、ぜひとも大通りを歩いてください!」
「そうですよ! ある意味、皆さんが神様みたいなものですし!」

 こういうことになっちゃうんだよなあ……。
「しょうがないですよ、アズサ様。今日ぐらいはアズサ様も神様みたいに振舞ってもよろしいのではないかと」
 ライカはこっちを持ち上げてくるけど、あなたも神様の一味って扱いだぞ。大差ないぞ。

「じゃあ、ライカが神様ですって態度で歩いてみてよ。そしたら私もついていくから」
「い、嫌ですよ……我ごときがそんなだいそれたことは……」
「ほら~。自分がしたくないことをほかの人に勧めちゃダメなんだよ」

 その点、今回は偉そうにし慣れている奴がいた。

「おお、ここの村人たちはちゃんと分をわきまえておるようじゃのう」
 堂々と、偉いぞよオーラを出して、ベルゼブブがモーゼの道を闊歩していた。
 それを真似して、ファルファも胸を張って歩く。

 これぐらいなら微笑ましい範囲だからいいのかな。

 そのまま私たちはいろんな出店で買い食いしたりしながら、たまに踊りの中に身を投じたりした。

 鶏や羊、豚、牛、やたらといろんな串焼きが出ていた。串なら食べ歩きできるからな。

「ライカ、どれが一番おいしいかな?」
「そうですね、羊の肉はなかなかいろんなスパイスを利かせているようで興味がありますね」
「なんじゃ、全部食えばよいではないか」
 ベルゼブブは当然のように全種類買っていた。

「あなた、ダイエットとか考えたことないタイプでしょ……」
 文字通りの意味で肉食系すぎる。
「ある程度、運動しておれば太ったりなどせんものじゃ。わらわは忙しいからのう」
 その割にはかなり遭遇している気がするんだが、本当に働いてるのだろうか。

「あれ、そういえば、さっきからハルカラがいないんだけど……」

 周囲をきょろきょろ見回したら、酔っ払って地面で寝ていた。

「う~ん、私、もう飲めません……」

「あ~、もう、地べたで寝るのやめろ! 学習して!」
 しょうがないので、引っ張り起こす。
「アズサ様、少なくとも我は学習しています」

 何か小さな瓶をライカは取りだした。
「それ、何?」
「ハルカラさんが開発した酔いに聞く飲み物だそうです。ちなみにこの世のものとは思えないほどとてつもなく苦くて渋いです。事前に用意してきました」

 ライカはそれをハルカラの口に流し入れた。

「これで絶対に酔いぐらいなら醒めますよ。それだけの威力はあります」
 そして、半分ほどドリンクがハルカラの口に入った時――

「うぇーっ! なんですか、この味ーっ! 地獄を流しこまれたような味がしますっ! 誰ですか、こんなの作ったのーっ!」
「あんただよ! あんたが作ったんだよ!」

「ああ、あの酔い醒ましですか……。あまりにもひどい味だってことで、あまり売れなかったんですよね……」

 すぐにハルカラが正気を取り戻した。ふう、よかった、よかった。
 さて、祭りもだいたい見たかな。

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