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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

喫茶『魔女の家』編

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44 徹夜で並ぶとペナルティです

喫茶店オープン当日です。
 そして、月日が経つのは早いもので、というか、単純にそんなに前日祭まで日数がそんなになかったので、喫茶『魔女の家』のオープン当日がやってきたのだ。

 朝食を食べると私達は全員で給仕服に着替えた。

「な、なんだか、全員が同じ服を着て並ぶと壮観ですね……」

 ライカが恥ずかしさと当日の高揚感が半々ぐらいの表情で言った。かく言う私も似たような気持ちだ。

「そうだね、幸い、今日は窓から見るに雨も降ってないみたいだし、最終準備をしておこうか。ライカとハルカラはそれぞれフードとドリンクの用意、ファルファとシャルシャはテーブル拭いて床も埃がないかチェック。私はカフェテラス席を出すから」

 カフェテラスの席は事前に出すと雨が降った場合、困るので、直前までひさしの下に避難させていた。

 みんな、うなずくので問題はなさそうだ。

「ただいま、午前八時をまわったところだから、オープンの十時まで残り二時間。しっかりやりましょう」

 今度はライカとファルファからは「はい!」「はーい!」と声が返ってきた。

「けど、緊張しますね……。もし、誰もお客さんが来なかったらどうしましょうか……」

 人生で悲惨な目によく遭ってるからか、ハルカラは悲観論者だ。

「ここ、村からはちょっと距離ありますし。村でも前日祭はあるでしょうし、こんなところのお店なんてどうでもいいやってパスってされたら……」

 たしかにその危険はなくもない。

「き、気持ちはわからなくもないけど……やるだけやってみよう……。ほら、参加することに意義があるっていうか……」

「ですよね……。全然売れなかったら、明日のお祭りでドリンクをカゴに入れて売りに行きます」

 工場経営していただけあって、商魂たくましいな。

「じゃあ、仕事に入りましょう。シフトはもうわかってるね。はい、では解散!」

 私は外での作業なので、三角屋根のログハウス側のドアを開けに行った。家としてはこっちが裏口に当たるけど、お店はこのログハウス側を使うので、こっちが正面になる。

 家の前には「喫茶店 魔女の家」と立て看板を置いている。ここを通りかかる人なんてほとんどいないから、実際は村で事前にどれだけ広まっていたかが勝負になるが。

「さてさて、外もきれいにテーブル並べないとな――」

 ただ、私はドアを開けた途端、硬直してしまった。

 なんと、外にすでにずら~~~~~~~~~~っとお客さんとおぼしき列ができていたのだ。

 これ、確実に六十人ぐらいはいるぞ……。席数、さすがにそんなにないぞ……。
 男女比はだいたい半々ぐらいか。今から集会でも行われるのかというような有様だ。

「おお! 魔女様のウェイトレス姿!」
「これはまぶしい!」
「ほかのみんなの姿も早く見たい!」

 私が外に出るだけでものすごい歓声があがった。

「あっ、あのオープンは十時からなの、ご存じですよね……?」

 ちゃんと店の前にも看板にも営業時間の紙貼ってたよな……。

「もちろんです!」
「徹夜は迷惑なんで早朝から来ました!」
「町から一日かけて来ました!」

 一番後ろでは最後尾と書いたプラカードを持っている人もいる。そんなの作った覚えないぞ。有志が誰かやったのか。

「今、準備をしてますから、もうちょっとお待ちください!」

 まさか、こんなに視線を浴びながらテーブルを出すことになるとは思わなかった。

 まあ、作業自体は私の体力がものすごくあるせいもあって、すぐに終わったのだが。片手に一つずつテーブルを運ぶとか、レベル99なら余裕なので。

 しかし、これ、十時オープンというわけにはいかないだろうな……。あと二時間弱待ってねって言いづらい……。

 私はすぐに外の予定していた準備をやって、室内に戻った。

「あのさ、六十人ぐらいすでに並んじゃってるし、ちょっと早めに九時オープンってことにできないかな?」

 みんな、びっくりした顔をしていた。

「えええ! 徹夜で並ぶのはマナー違反ですよ!」
 なんかハルカラの反応がひっかかる部分もあるが、実際、人の家に徹夜で並んだら問題なので、間違ったことは言ってない。

「あっ、そこはちゃんと早朝から並んだらしい」
「じゃあ、セーフです。始発で来てるんですね。偉いですね」
 なんだ、その始発って概念。

「それで、九時オープンはいけそう?」
「ドリンクは問題ないです。ライカさんは?」
「我も間に合いはします。食材はもうありますので。ただ、注文増加で売り切れると困るので、村に今から飛んで追加でここに届けてもらうように手配するべきかもしれませんね」

「それは私がやるから、必要なもの教えて! あとは席数かな……」

 一応、予備用のテーブルも用意しているし、私達の部屋にあるものも引っ張りだしてくるか。それで増設して多客時対応をしよう。

 そしたら、まだ何も言ってないのに、ファルファとシャルシャがテーブルを運んできた。

「ママ、シャルシャがもっとテーブルを出すべきだって」
「母さん、シャルシャもやれることをやる」

 ああ、ついに言われなくても何をするべきか判断して動けるまでに! ママ、感激です!

 こうして、とにかく席を増やしつつ、足りなくなる恐れのある食材の注文と配達のお願いをしつつ(空を飛べばすぐに村に行ける)、私達は九時スタートに向けてきりきり働いた。

 ある意味、ここまで労働に気合を入れているのはこの世界で生きてきて初めてのことかもしれない。

 でも、社畜的なしんどさは全然なかった。

 当然と言えば当然か。社畜は働かされてる存在だもんな。
 今の私達は好きで働いているのだから。

 モチベーションというものが根本から違うのだ。

 そして時計の針が九時を差した。

 私はログハウス側のドアを勢いよく開けた。

「喫茶『魔女の家』、お並びのお客様多数により、予定より一時間早く開店いたします! 順番にご案内いたしますので、お待ちください!」

 うおおおおおっという歓声が響いた。

 いやあ、まさか、こんな大人気になるとはな……。
 列はさっきより更に伸びている。これはもう一日中、きりきり働かないといけなそうだ。
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