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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

喫茶『魔女の家』編

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43 喫茶店は前途多難

けっこう、みんな好き勝手やるのでアズサが監督しないとまずいことになりそうです。
 そして、私達は喫茶『魔女の家』の準備を進めることにした。
 まずはメニュー作り。
 ドリンクに関しては定番のハーブティー系統だけでなく、ハルカラのセンスに頼った。

「やっと、わたしが活躍できるチャンスがやってきましたよ! 任せてください、お師匠様!」

 異様に気合が入っていたようで、たしかにどんどんメニュー案がやってきた。
 ただ、数は多いのだが、大半が変なのだった。

「この『飲む精力剤~十五種の根っこブレンド』っていうのは却下ね」
「えっ! なんでですか! 効き目はすごいとわたしの住んでたフラント州では男性陣からの大好評を得てたんですよ!」
「イメージがよくないでしょ! どうせ喫茶店をやるんだから、もうちょっとリリカルなやつにしてよ」

「じゃあ、次はこの『毎日飲めば一か月で背が伸びてくる! 骨を伸ばす生薬ブレンド』はいかがですかね」
「だから、実益を謳う方向性はやめてよ! もっと普通なのにして!」
 しかも一日限りの店で一か月でどうこうっておかしいだろ。

「わたしの出す案のほうが魔女っぽくはあると思うんですけど……」

 ハルカラのその苦情はわからなくもないが、村の人が本気で私を怖い魔女だと恐れてるわけじゃないんだから、そんなにガチな魔女らしさはいらないのだ。

「じゃあ、無難な果実ジュースにします。この地方の野生のブドウに蜂蜜をお湯で溶いたのを混ぜるとけっこうさわやかで後口もいいものになるんですよね」
「最初からそういうの持ってきてよ」
 それなら文句なく採用できる。むしろ、ダメな要素がない。

「だって、面白味がないじゃないですか~」
「オモシロを求めにいかないで。そういうギャグメインのやつじゃないから」

 たしかに東京の秋葉原に、戦国武将の転生者である女子が接客をするという設定のカフェとかあったけど、そういう奇抜なのは今は必要ではない。ちなみに転生してきた設定の割にはあんまり戦国時代に詳しくない人も混じっていた。

「こんなのでいいんだったら、一日で五十個ぐらい考えつきますよ」
「天才か。じゃあ、飲み物はもう大丈夫だね。もともとそんなに心配してなかったけど」

「あ~あ、せめて、『甘いと思ったら激辛だったぜ! 香辛料三十種配合ジュース』とか作りたいな~」
 こういう変なことをするのが大好きな人って、どんな世界にも一定数いるんだな……。

 続いてフードメニューだが、これも思ったよりも難航した。やはり何事も事前に確かめておくべきだ。

 ハルカラのメニューにダメ出しをしていると、ライカがお皿にうず高く積もった黄色い物体を持って、やってきた。

「アズサ様、この超巨大オムレツを三十分以内に食べられたらタダという企画を考えたのですが、いかがでしょうか?」

「そういうチャレンジ系なのもナシにしよう! 最初なんだから、もっとごく普通にいこう! 特定のカラーがついちゃう企画はナシで!」

 大食い企画とかって万国共通なんだろうか。誰でも考えつくことではありそうだが。

「実はもう一つ秘策があるんです!」

 ライカは台所に行って、また一皿持ってきた。

「このゆでたパスタの上に甘いクリームを載せるという異色作はどうでしょうか? 甘いものとは合わないと思われているパスタにあえてお菓子的なものを載せてみるというチャレンジなんですが」
「そのチャレンジ精神は買うけど、実行しなくていい!」

 こういうお店も確実に日本にあったぞ!

「あのね、ライカ、お店だからって奇をてらわないでいいの! いつものあなたの料理はおいしいんだから、もっと基本に忠実でいいの!」
「そうですか……。我としてはお金をとるからには、それに見合うだけの価値がなければダメではないかと思って、こういう形に……」

 しゅんとしてしまうライカ。ちょっと言い過ぎただろうか。でも、お店の方向性に関わることだから、そこは妥協しちゃダメだよな……。ライカが真剣だからって、パスタに甘いクリーム載せるのは阻止せねばならない。

 けど、もっと問題児がいた。

 ばたーんと扉が開く音がした。ファルファが駆けてきたから、どうやら外に出ていたらしい。

「ママ! 大きなバッタ捕まえたよ!」

 たしかにてのひらぐらいのサイズがある大物だった。

「おー、大きいねー」
「ねえ、このバッタって料理にしたらどんな味がするかな? お店に出してもいい?」
「ダメ」

 虫料理をやる気はない。

 そこにシャルシャが分厚い本を持ってやってきた。
「この書物によると、外国の中には昆虫食を行うところがあって、とくにバッタの仲間は人気が高いと書いてある。ただし、足はちぎっておかないとノドや体内にひっかかり、重篤な事態になる恐れもあるとか」
「よその文化を否定する気はないけど、うちでは出さないからね!」

 昆虫料理の店だと思われたらやっぱりコンセプトから外れることになる。

「ファルファもバッタさん、お外に返してあげましょうね。もしかしたら、友達と一緒に遊ぶつもりだったかもしれないでしょ」
「はーい。わかったー」

 また、ファルファは外に出ていった。

 みんな、想像以上に変なことをしようとしてくるな。なんか、面白い事ができないとダメだとでも思っているのだろうか? ごく自然の落ち着ける喫茶店ができれば十分だと思うのだが……。


 しょうがないので私がいろいろと動くことになった。

 まず、席は一部を外に出してテラス席とする。席数の数も増えるし、この家は高原の高台にあるから、空気もおいしいのだ。たまに吹く風も気持ちいい。

 ドリンクメニューだけ頼んだお客さんにもちょっとしたクッキーの小皿を出してあげる。こういう気づかいがお客さんを心地よくさせるはずだ。私も社畜時代、コーヒー頼んだら豆菓子が出た時、ちょっとうれしかったし。

 もし混んで居づらくなったら喫茶店として本末転倒だと思うので、どうせ一時的なお店だし、席数は多めにすることにした。

 メニューは野菜料理を中心に。家庭の味に少し豪華さを加えたものに。いい食材を取り寄せて使えば、それでスペシャル感は出る。

 こんなわけで、アイディアはある程度出せたかなと思う。

「お師匠様、ここまで本気なんですね……」

 そしたら、ハルカラが少し引くぐらい驚いていた。

「わたし、もっと、おふざけみたいなのを考えてました……」
「なんで、せっかくやるのに、わざわざおふざけにしないといけないのよ」
「いえ、たとえば、お客さんに『いらっしゃいませ、ご主人様』と言うとか」

 ハルカラもライカも実は日本人の転生者なんじゃないか……?
50話が近づいてきたのですが、何か記念にやれればと思うのですが、特に案がないです。もし、何か案がありましたら、感想欄などでご連絡いただけると幸いです!

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