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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

喫茶『魔女の家』編

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40 家族水入らず

今回から新章に入ります! よろしくお願いします!
 ロッコー火山にある温泉でゆっくりリフレッシュした私達は気分よく、高原にある家に戻ってきた。

「う~ん! やっぱり我が家は落ち着くね!」

 そういえば泊りがけの旅行なんてほぼなかったので、かなり新鮮な気分だ。

「ママー、花嫁さんきれいだったねー!」
 結婚式ではブルードラゴンの襲撃とかトラブルもあったものの、娘のファルファはもう楽しい記憶で塗り替えられているらしい。大変よいことだ。
「そうだね。ライカのお姉さん、幸せそうだったね」

「ファルファもいつか結婚したらあんな服着れるのかなー?」

 無邪気にファルファは言った――のだが、私はちょっと固まった。
 もしかしたら、ファルファが結婚して私の元から去る日が来るのではないか。

 いや、多分精霊のファルファは五十年間、この姿だから、これから先も大人になるということはないんじゃないか? けど、見た目がお子様だから結婚しないと言い切れるだろうか? 実際、ファルファは知識だけなら大人顔負けなのだ。もし似たような男の精霊がいたら……。

 しまった。娘が家から出ていくことを考えてしまった。無茶苦茶寂しい……。
 でも、さすがに杞憂だよね。結婚式に憧れるというのはむしろ女の子として自然なことだ。見た目十歳ぐらいで私は生涯独身で生きていきますとか宣言するほうが変だ。

「ファルファねー、結婚したら、赤くてかわいらしいレンガ造りの家に住みたいなー」

 そ、それって、ここから出ていくってこと!?
 さらにショックを受ける私だった。

「ファ、ファルファ……結婚してもこの家で夫婦揃って生活という手もあるからね……ほら、さらに増築して二世帯住宅的な……」
「ママ、何のこと?」
 きょとんと首をかしげるファルファ。

 そこに、ぽんぽんとシャルシャが私の背中を叩いた。
「シャルシャはずっと母さんのそばにいたい、から……。最近料理の勉強してるから。母さんに、おいしいごはん食べてほしい」
 ああ、なんて母親想いのいい子なんだ!

 思わず、私はシャルシャを抱き締めた。
 娘がいとおしすぎて、つらい。

「母さん、喜んでくれてる?」
 シャルシャはあまり表情に気持ちは出さないクールな子だが、内心はすごくやさしい子なのだ。私はそれをよく知っている。

「うん、もちろんだよ。シャルシャの気持ち、ちゃんと伝わってるよ」
「シャルシャだけずるいー! ママ、ファルファもぎゅっとして。ぎゅっと!」
 ぴょんぴょんジャンプしてファルファがねだってきた。ファルファのほうは自分の気持ちに正直だけど、心づかいがこまやかなのは妹のシャルシャと同じだ。

「はいはい。ママはね、不公平なことはしないからね」
 今度はファルファをぎゅっと抱き締めてやる。
 ある意味、これは私にとっての、至福の時間かもしれない。

「じゃあ、今日は久しぶりに親子三人で眠ろっか」
「わーい! ファルファ、うれしい!」
 シャルシャもこくこくとうなずいた。

 ぶっちゃけ、何十億円もらうより、娘と一緒のベッドで眠れるほうが幸せだからね。そこは譲れないね。

 ――と、なんか視線を感じた。
 ライカがこっちを見ていた気がしたのだ。私が目を向けると、すぐにそらしてしまったが。

「何、ライカ?」
「いえ……我は何も……」
「ライカもハグしてあげようか?」

 ライカのことを妹みたいな存在だとロッコー火山で言ったばかりだったし。見た目も女子中学生にあがったばかりという感じで、まさしく妹感がある。

 しばらく、ライカは返答を考えているようだった。あ~、これは、「姉」として積極的に行かないといけないな。

「ったく、しょうがないな~」

 私はこっちからライカにハグをする。

「あっ、すいません、アズサ様……」
「嫌だったらやめるけど」
「いえ……嫌ではないです……」

 ということは、つまり遠慮してたってことだな。そういうのはダメだぞ。

「ライカは優等生すぎるからね。自分がしたいことはちゃんと口にしないと伝わらないんだよ」
「は、はい……そうですね……」
「わがままを言うのも妹の仕事だよ。ねっ」

 静かにライカはうなずいていた。ライカの場合は家族と離れて暮らしていて、心細いわけだから、私が姉の役割ぐらいは果たさないと。

「じ~っ」
 と、今度はエルフのハルカラがこっちを見ていた。
「お師匠様、そのハグ、わたしにもください!」
 わざわざ挙手をして主張してくるハルカラ。

「あ~、ハルカラか……」
 たしかに差別はよくないんだけど……。

「あなたの場合、娘でも妹でもない感じなんだよね……」

 ハルカラは二百年以上は余裕で生きているエルフだが、容姿はまさに年頃の娘さんなのだ。しかも、見た目が、その……肉感的すぎるので……抱きつかれるのは、ちょっとまずい……。

「え~、女子同士でそういうのあるじゃないですか。ほら、友ケーキみたいな」
「なんだ、その友チョコみたいな概念」
 日本時代の記憶を思い出したぞ。

「わたしの故郷では同性のお世話になった相手に、冬にケーキを作って渡すんです」
 この世界にもバレンタインデーみたいな風習があるのか……。

「はぁ、わかった、わかった。じゃあ、来なさい」
「はーい! ありがとうございます、お師匠様!」

 ハルカラが抱きついてきた。
 ぼよん。
 やっぱりハルカラの胸が当たるな……。

「あれ……ライカさんの時みたいに密着できませんね……なんでだ……?」

 この子、素で言ってるな。もうちょっと、胸が大きいことに意識を持つべきだと思うが……。

「あなたの胸、ちょっと吸収できないかな……。そういう魔法とかないのか……」
「何か言いましたか、お師匠様?」
「なんでもない」

 こんな感じで家族全員とのハグがつつがなく終了したのだった。

 というわけで、本格的に日常生活に戻ろうと思ったのだが――

「アズサ様、夕食の準備をそろそろしないといけないのですが、旅行前に買ってなかったので、食材があまりないです」

 ライカがそう申告してきた。たしかに食材がなくなってたな。かといって、今から買い物に行ってもらっても野菜とか売り切れてるかもしれないし。

 けど、ある意味、ちょうどいいかもしれないな。

「じゃあ、今日は家族みんなで村に外食に行こうか」

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