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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンの結婚式に行った編

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38 結婚式再開

 一次会はブルードラゴンが入ってきたせいでぐしゃぐしゃになってしまったので、結婚式は二次会からということになった。

 ただ、新郎新婦の誓いみたいな、そういう儀式的なものはドラゴンの結婚式にはないので、そこまで大きな問題ではないらしい。

 そして、二次会。
 はっきり言って一次会とはまったく違う。
 なにせ、みんなドラゴンではなく人の姿になって行うからだ。

 イベント用の広い建物を使って二次会は行われた。丸テーブルにそれぞれ料理が山と並んでいる。とはいえ、一次会で見たドラゴンのサイズからすると、まだ常識的だ。

 それを角の生えた竜人的な人たちがにぎやかに談笑しながら食べている。

 ごく普通の立食パーティーといえばパーティーだ。みんな、食べている量が尋常ではないのだが。かなり年がいってるように見える人でも五人前ぐらいたいらげたりしている。

 私達も料理に手をつけたが、数も多いので、全容が把握できる前におなかがふくれてきた。
「母さん、もう、おなかいっぱい……」
 シャルシャが最初にダウンしたので、ファルファが部屋の壁際に置いてある椅子のほうに連れていった。ちゃんとお姉ちゃんらしいことをしているのは偉い。

 ファルファのほうは割と食べるんだけどな。双子で食べる量が違うんだったら、体格も変わりそうなものだけど、見た目が同じままなのは精霊だからだろうか。

 なお、ハルカラは意外とたくさん食べた。

 「わたし、なぜか食べると胸とお尻に栄養がいくらしいんですよ~」なんてことを言っていた。
 食べ過ぎで不調なんてことにはならなかったが、ほかの部分でまたぐだぐだになった。

「うわ~、このお酒、きつすぎますよ~。もう千鳥足です……」
 お酒を飲んだらすぐに酔いつぶれてしまったのだ。ふらつきながら、料理を食べているけど、食べたものを全部吐く未来しか見えない。

「ったく、あのエルフは『栄養酒』作り以外、何もいいところがないのう」
 ベルゼブブは皿に山盛りのスパゲティを載せて、がつがつ食べていた。
「魔族ってけっこう食べるんですね」
「おいしいものを食べる、これこそ健康の秘訣じゃ」

 多分、三千年生きてるというのは健康とか関係ない次元だと思うが、わざわざ突っ込むのは野暮というものだろう。

 そしてライカはドラゴンだけあって一番食べていた。バイキング方式だが、すでに私が見ているだけでも七皿目だと思われる。

「人間の目線から見ると爆食いなんだけど、ライカからすると普通なんだよね」
「戦ったのでおなかも減ってますから、いつもより若干多目です」

 ダイエットという概念はドラゴン族にはないらしい。

 なんか、食事のことばかりだが、もちろんそれ以外の要素もある。なにせ、これは結婚式なのだ。

「アズサ様、姉の夫婦をあらためてご紹介します」
 人間姿の新郎新婦は美男美女の見目麗しいカップルだった。新婦さんは血がつながっているだけあってライカに似たところのある美人さんで、新郎さんのほうも彫りの深いハリウッド・スターのようなところがある。

「アズサ様、ベルゼブブ様、今回お二人の活躍でこうしてまた式を続けることができました。妻のレイラともども感謝いたします」
「本当にありがとうございます。これからも私たちレッドドラゴンをよろしくお願いします」
 丁寧にお礼をされて、「いえいえ、こちらはちょっと手を貸したくらいで……」とすぐに頭を下げた。

「よく立場をわきまえておるのう。今度もそのようにわらわを慕うなら手を差し伸べてやらんでもないぞ」
 腰に手を当てて、ベルゼブブは「えっへん!」のポーズをとっていた。
「あなた、威張りすぎでしょ。謙虚さ、謙虚さ!」
「なんでじゃ。わらわは偉いのだから、別にいいではないか。これがわらわの普通なのじゃ~♪」

 よし、この人は今後ずっとおだてて利用することにしよう。

 ――と、その時、微妙に空気が変わった。

 ブルードラゴンの総大将だった子が来ていたのだ。手にはバラを一輪持っている。

「あっ、あなたはココアラテ!」
「フラットルテだ! なんで、全然名前覚えないのだ!」

 そうか、この子は人質みたいな形でこっちに残っていたのだ。

「その……レイラ……」
 新婦の前に来たフラットルテは、目をそらしながら言った。
「おめでとう……これから幸せになるのだぞ……」
 そして、バラをレイラのほうに渡した。

 おお、このブルードラゴン、なかなかいいところがあるじゃないか。

 最初、驚いていた新婦さんだったが、笑顔でそのバラを受け取った。

「ありがとう、フラットルテ」
「今回はアタシの負けだ。負けた以上は素直に祝福する……」
 どうやら、この子自体は根は悪いドラゴンではないらしい。因縁も含んだうえでの友情みたいなものを感じる。
「うん、結婚・・できない(・・・・)フラットルテの分まで幸せになるね」

 新婦さんの言葉に微妙にトゲがあった。

「なんだ、その言い方は! け、結婚できないのではない! いい男がいないだけだ!」
「へえ、これまでに何回、いい男を見つけたとか、いい縁談が決まったとか自慢してきたかしら~」
 恥ずかしいことを思い出したのか、フラットルテの顔が赤くなっていく。
「ふん! お前なんて離婚してしまえ! 子供ができても絶対にお祝い送らないからなー!」

 会場の隅のほうにフラットルテは走って逃げていった。

「なんか、複雑な関係みたいだね、ライカ……」
「レッドドラゴンとブルードラゴンの関係は敵ではあるのですが、不倶戴天の敵というのでもなく、含みのあるものなのです。このあたりの部分はドラゴンでないとわからないかもしれませんが……」

 いや、少しはわかる気がする。

 そのあと、私は二次会の最初から狙っていたデザートを、ライカと二人で取りにいった。
 ドラゴンの作るエッグタルトやプリン、チーズケーキはいずれも絶品という噂だった。甘いものは別腹理論でしっかり食べる。

「おお! これは控えめ甘さの奥に重層的なおいしさがあふれて、夢のよう!」
 私とライカは会場の壁際の空いてる席に座った。

「あの、アズサ様、一つお願いがあるのですが……」
 なぜか遠慮がちのライカ。
「うん、いったい何?」
「ひ、膝枕をしてもらってよろしいですか……?」

 けっこう珍しいお願いが来た。

「実は、昔、姉によくやってもらっていたんです……」

 ああ、そうか。ライカにとったら、今回の結婚でお姉さんをとられちゃったことになるんだ。

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