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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔女、レベルMAXになってた編

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3 レベル99なのがバレた

早速得点たくさん入れてもらえてうれしいです! これからもしっかり更新していきます!
 それから数日は昔買った魔導書を読みながら家でごろごろしていた。

 ちなみに料理はまとめて作った料理を冷凍している。氷雪の魔法を使ったのだ。解凍は炎熱の魔法のほうを使う。生活が便利になってありがたい。
 台所で使う火も炎熱の魔法を利用できるので生活はかなり便利になった。

 一日中、ごろごろだらだらする。
 これこそ人生の楽しみであり、人生の贅沢だと今なら言える。

 社畜OL時代は定時退社なんて都市伝説だったし、休日だって前日に仕事が入ってつぶれたり、そもそも仕事が多すぎて休日出社して遅れを取り戻すしかなかったりした。

 もう、あんな目はごめんだ。とにかく、だらだらしてやるのだ。

 でも、同じ料理を大量に冷凍しても、やっぱり飽きてもくる。

「久しぶりに村の料理店で外食でもしようかな」

 私はフラタ村に歩いて出かけた。

 魔法の中に空中浮遊とか瞬間移動とか、楽に行けそうなものもあったはずだが、それを見られると、偉大な魔女だと認識される恐れがあるので、徒歩を採用した。

 途中、やはりスライムが出てきた。
 三百年ぐらいだと、スライムも進化しないのかなと思いながら指ではじいた。
 それだけでスライムは死ぬ。

 そういえばある時期からナイフが面倒だから、手で叩いたりして倒すのがメインになってきてたんだよな。最近だとデコピンみたいなのでも倒せることがわかってる。

 これも知らない間に攻撃力が高くなってるからだろうか。
 しかし、魔女って物理的な攻撃力もかなり高いんだよなと思う。

 レベルが高かろうと、スライムが生み出した魔法石はちゃんと拾う。私にはほかに収入の手段がないからだ。お金には困っていないが、もらえるものはもらっておく。

 村にやってきた。行きは下り道なので楽なのだ。
『冴えた鷲』という名前の料理店に入る。

 ここはオムレツがおいしい。店でニワトリをたくさん飼っていて、新鮮な卵が手に入るからだろう。

「お久しぶりです、梓です」

「あら、高原の魔女様じゃないですか!」

 料理担当の亭主にあいさつする。

 いつもの席に座ると、いつものお酒をおかみさんが注文する前から持ってくる。体は十七歳だけど、私は飲むぞ。三百年この世界に生きてるからな。

「はい、強めのお酒。魔女様」

「ありがとうございます。今日もオムレツをいただこうかな。あと、ビーフシチューもください」

「はい、魔女様」

 気心知れた店というのはありがたい。
 OL時代はお店を開拓する余裕もなかった。お昼はどこの店もランチが満員でゆっくりできなかったし。

 そんなに時間をおかずにオムレツが出てきた。
 一口目からほんのりと甘い。やっぱり美味い。

「やっぱり、このオムレツは世界一ですね!」

「魔女様、長く生きてるからお世辞も上手いですねえ」

 このおかみさんとのやりとりも、十五年以上やっているから年季が入っている。

「あ、そうだ、魔女様、お聞きしたいことがあるんですけど」

 おかみさんが聞いてきた。

「はい、何ですか?」

「魔女様、レベル99だっていうのは本当なんですか?」

 私は目が点になった。

「はい? いったい、どこからそんな根も葉もない噂が?」

 ここはしらばくれるしかない。驚くと藪蛇になる。

「噂の出どころはよくわからないけど、私はそう聞きましたよ。近所の子供たちが言ってたんです」

 となると、その子供がどこで聞いたかだな。
 ていうか、もう遅いな。大きな村じゃないし、確実に私が村で一番の有名人みたいなものだから、話は広まってる可能性が高い。

 あとでナタリーさんには説教しておこう。起こってしまったこととはいえ、約束を破ったことは反省してもらう。

 まあ、私が魔法を見せなければレベルが高いことは証明不可能なので、誤魔化しとおすことは不可能ではないはずだ。

「おかみさん、私はスライムぐらいしか倒した経験がないんですよ。そんな魔女が強いわけないじゃないですか。私は上昇志向も持たない平凡な魔女なんですって」

 魔女というのは魔法使いとは別の職業だ。魔法をどんどん使うのが魔法使いで、魔女はどちらかというと、薬草や鉱石といったものに知識が深い。なので私が薬を作っているのも正しいことなのだ。

「そうなのですか? どんなモンスターも冒険者も勝てるわけがないほど強い、とんでもないステータスだって話だったんですけど」

 思ったより具体的じゃないか……。

 本当にナタリーさん、勘弁してほしいな。
 とにかく、ナタリーさんのところに言って状況の確認をしようか。

 私は食事を終えると、ギルドに向かった。

 ナタリーさんはいつものように受付窓口にいた。

「ナタリーさん、噂が広がってますよ! レベル99ってこと言ったでしょ! 言わないでください、絶対言わないでくださいって言ったのに!」

「えっ……? 私、言ってませんよ……。高原の魔女様を裏切るようなことは、私にはできません……」

 困惑した顔のナタリーさん。
 これはウソをついている顔じゃない。となると、どうやって広まったんだ……?

 しかし、ナタリーさんは何か思い当たったという顔になった。

「あっ、そうか……。そうかもしれない……」

「何か思いだしたんですか?」

「たしか、魔女様のステータスが判明した時、ギルドの中にほかの冒険者もいたんですよ……」

「あっ……」

 ギルドはある種の公共スペースだ。そりゃ、小さな村のギルドでもほかにも冒険者の一人や二人いてもおかしくない。

「そうだ、そうだ! あそこにいたのは口が軽いことで有名なエルンストさんでした! 絶対にそのラインで漏れたんですよ!」

 そんな冒険者に聞かれたということか……。
 じゃあ、話が広がるのは時間の問題だ。
 最悪、隣の村とか町にも広がるぞ!

 私は頭を抱えた。別に頭痛になってるわけじゃない。社畜時代は頭痛がきつくて、よく薬を飲んでたけど、今の私は健康まっしぐらなのだ。
 これはどうしようと悩んでいるのだ。

 ここは違った情報で上書き保存するしかないな。

 後ろを向いて、今はほかに冒険者がいないか確認する。

「ナタリーさん、私がレベル99だったのは間違いだったという噂を流してください」

「ウソをつけということですか?」

「そうです。私はごく普通の薬草にちょっと知識があるだけの魔女だったということにするんです。お願いします。あのステータスを表示する石板は故障していたことにするんです!」

 ナタリーさんはギルド職員、ならばステータスなどに詳しくてもおかしくはない。ナタリーさんが間違いだと言えば、信じる人は多いはず!

「こんなにお強い魔女様を実は弱かったと言うなんて心苦しいですね……。魔女様は村の誇りですのに……」

「力を持っていることを知られても、誰も幸せにはなれないんですよ。むしろ、嫉妬する人が現れたりするかもしれない。力なんてものは少なくとも私の平和には必要ないんです。どうか、よろしくお願いしますね!」

 私が村から蔑まれているとかなら、レベル99と知られるのも悪くないかもしれない。
 でも、私はすでに十分に村の人から敬意を抱かれている。薬や医療行為で村の力になってきたという長年の実績もある。そこにステータス的な要素は不要なのだ。

「わかりました……。高原の魔女様を困らせるわけにはいきませんから……」

 ナタリーさんは納得してくれたようだ。

 これで、少しは傷口をふさいでいくこともできるだろう。
 ひとまず、今、やれることはちゃんとやったな。

「あぁ……冒険者ランクで言うと、間違いなくSランク中のSランク、王国はじまって以来の伝説になるのに……残念です……」

「残念でも我慢してください」

「フラタ村の名前が王国中に知れ渡るのに……」

「それでも我慢してください。有名税という言葉がありますが、静かな村にトラブルが起きる危険も生み出します」

「あの、ギルド本部に伝えても――」

「絶対にダメです!」

 私は手で×の印を作って、ナタリーさんの願いを全力で突っぱねた。

 これまで村と私の関係はいいように運んでいた。それが続くだけだ。何も問題はない。

 私はそれ以降、村の人に自分の力を絶対に見せないように気を配った。

 まあ、これまでも見せてなかったので、ようはごく普通の魔女として振舞えばいいのだ。

 ナタリーさんも石板のことは間違いだったと周囲に言いはしてくれたらしく、レベル99なんですかと聞いてくる村の人達はもう現れなかった。

 それで、この一件は終わった。
 またスライムを倒して、薬を作って、生きていくんだ。
 だが、そう思っていたある日。

 私の家の扉をノックする人がいた。

 いったい誰だ……?
じわじわ、レベル99の噂が広まっていますね。次回、謎の訪問者とのやりとりです。

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