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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンの結婚式に行った編

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37 戦後処理

 火口の町のほうが無事だったということは、すぐに結婚式会場のほうにも伝えられた。

 こうして、抗争は無事に収束したのだった。

 私はというと、戻るとすぐに娘とハルカラのほうに向かった。

「怖かったよ、ママー!」
「母さん、来てくれてありがとう」
「木に遺言を彫ろうかと思いました……」

 娘と、あとハルカラまで抱きついてきた。ハルカラは抱きつく場所がないから背後から無理矢理に手を伸ばしていたが。

「お師匠様がなかなか戻ってこないから、てっきりドラゴンの手にかかったのかと本気で心配したんですよ……。その心配がファルファちゃんとシャルシャちゃんにも伝染して……悲嘆にくれてました……」
 しまった、戻るのが遅いとそういう問題もあったか。
「ごめんね、どうしても引き返してる時間がなかったんだ」

「母さんのほうが大変だったから、いい」
「ママが戻ってきてくれたから、悲しいことは忘れちゃったー!」
 私は何度も娘二人をぎゅっとしてやった。

 それが事後処理もとある人物のおかげで割合に速く片がついた。
 ベルゼブブが結婚式会場のほうに攻めてきたブルードラゴンも衰弱の魔法で動けなくしてくれたのだ。
 これで、いきなり敵が再び暴れだすなんてリスクもなくなった。

「まったく、なんで湯治客のわらわがこんな雑用までせんとならんのじゃ」
 ベルゼブブはそう文句を言っていたが、結局全員動けなくしてくれた。

「ありがとう。これで懸念材料がなくなったよ」
「ったく、遠慮もなく頼まれたら断るのも恥ずかしいわい」
 ちょっとずつベルゼブブの扱いがわかってきたが、この人、頼んだら嫌とは言えない人だ。……この表現、ブーメランになって自分に返ってくる気もするけど。

 これで、すぐに結婚式再開といきたいところだけど、その前にやらないといけないことがまだ残っている。
「さて、落とし前をつけてもらおうかな」
 私は笑顔だけど、今回の件は本当に怒っている。世の中、やっていいことと悪いことがある。

「フラフラタルト、話をしやすいように。人間の形になって」
「フラットルテだ! ちゃんと名前を覚えろ!」
「人間の姿になって。話をするから」

 しぶしぶフラットルテは人の姿になった。
 人の姿ではあるのだが、角のほかにドラゴンの尻尾まで後ろから生えていた。
 服装はなかなかきれいなピンクのワンピースで、紫がかった長い髪をしていた。 
 ただ、衰弱の魔法が効いているので、地面に体をひっつけたままだが。

「これでいいんだろう……。それで何が目的だ……?」

 交渉自体はライカにお願いしよう。

「まず、今回の抗争に関する賠償金だが、これぐらい払ってもらう」

 人の姿になっているライカが紙をフラットルテに見せた。

「うええ……。そ、そんなにお金とるのか……。それ、結婚式の費用より高いんじゃないか……?」
「精神的苦痛代やケガ人への慰謝料も込みだ。これぐらいするに決まっているだろう。それが嫌ならずっとここで動けなくなっているか?」
「そ、それも困る……」

 負けた側に文句を言う資格は残されてない。

「わかった……。その条件で呑もう……」

 よし、交渉は成立した。でも、せっかくだからもう一つ、話をつけてもらおう。ちょうど今はいい第三者がいる。

 私はベルゼブブを引っ張って、フラットルテの前に行く。
「はい、賠償金とは別に条約を結んでほしいんだけど」
「条約だと……?」
「そう。ブルードラゴンとレッドドラゴン間における不戦条約。もちろん、イヤガラセで攻めるようなのは論外ね」

「そ、そんな……。アタシの生きがいがなくなる……」

 結婚願望ない人間が言うのも反則かもしれないが、そんなんだから結婚できないのだと思う。

「結ばないと、一生故郷に帰れないよ?」

 私がにっこりとフラットルテに言った。

「家に帰れずに三日、職場に泊まるような気持ちになるよう?」

「ひいぃっ! 笑顔が怖いぞ!」

「だったら、結ぼうね。ねっ?」

「わかった……。結ぶ! 結ぶ! だから許してくれ……」

「アズサ様……こんなことを考えてたんですか……」
 そう、この計画はまだライカにも言ってなかった。
「これで、ロッコー火山も平和になるでしょ」
「本当にありがとうございます!」

 ライカにものすごく感謝された。おかげで気分も少しよくなった。

 条約はライカとフラットルテとの間で無事に締結された。力ではドラゴントップレベルのライカはレッドドラゴンを代表できるような立場にいるのだ。

 私はちょんちょんとベルゼブブをつついた。
「お願い。上手くやって」
「わかっておる……。言えばいいんじゃろう?」

 こほんとベルゼブブは空咳をしてから、
「なお、この条約が結ばれたことはわらわと高原の魔女アズサがたしかに見届けた。もし、この条約を破るようなことがあれば、それはわらわと高原の魔女に泥を塗ることじゃ。よく心得ておけよ」

 フラットルテは青い顔になった。

「高原の魔女にハエの王なんて勝てるわけがない……」

「当たり前じゃ。お前らブルードラゴンごとき五分で絶滅させてやるからの。それが嫌じゃったら真面目に生きていくのじゃな」

 フラットルテは頭を抱えていた。

「こんなことするんじゃなかった……」

 こうして、戦後処理は無事にすべて解決した。
 負傷したブルードラゴンたちはふらふらと帰っていき、賠償金が払われるまでの人質的な意味で、フラットルテだけが残された。

「ベルゼブブ、重ね重ねありがとう。いい落としどころが見つかったよ」
 まさかベルゼブブにケンカを売ることまではブルードラゴンもできないだろう。
「こんなにハエの王をこき使うのはおぬしぐらいのものじゃ。代わりになんか遊びにでも誘え」
「うん、じゃあ、何かイベントあったら呼ぶね。どう呼ぶかわからないけど」
「通信の魔法があるのじゃ。知らんのじゃったら、あとで教えてやる」

 ベルゼブブってとことんいい人だな。

「これからも頼りにしてるからね!」
 ずっと頼られてる側だったから、頼れる人がいるのはほっとする。ついでにまたハグをする。
「そんなに何度もひっつかんでいい!」

 あとは、結婚式の続きをするだけだ。
魔族が平和に貢献している件。次回もこの展開の続きです!

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