挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンの結婚式に行った編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

38/279

36 火口へGO

意外な助っ人がいました。
「ライカ、私を火口のほうまで乗せていって!」

 火口のほうで被害が増えてたら、結婚式ももっと最悪なものになる。
 逆に言えば、そちらの被害を食い止められれば、式の続行ぐらいはできる。この抗争には勝ったのだから、終わりよければすべてよしという空気にもなるかもしれない。

「わかりました! お乗りください」
 ライカは私をやさしくつかむと、そのまま背中に乗せた。

「じゃあ、行こうか! ほかのドラゴンさんも戦える人はついてきてください!」

 ライカは先陣を切って、飛び立っていった。
 これまでで一番の速度だ。
 後ろを見ると、五体ぐらいドラゴンがついてくる。
 ひとまずはこの数でいいか。

 火山はそんなに強く煙は出していないが、それでも火口に入るのはけっこう勇気がいった。

「ロッコー火山の中は大きな空洞になっていて、そこを住居にしているドラゴンが多いです。ドラゴンとつながりのある人間が旅行に来ることも珍しくないですね」

 たしかに内部を入っていくと、人間の町みたいなものが見えてきた。

「観光客や役人などを迎える時はああやって人の町に近い場所で、人の姿で応対します。人の姿を普段とって生活しているドラゴンもいますが」

「なるほどね。でも、ぱっと見、戦闘が起こってる気配がどこにもないんだけど……」

 どんどん火口の中にある町に近づくが、荒れている様子はどこにもないし、ドラゴンが戦っているところも見えない。

「あれ……? おかしいですね……。もしや、もう全滅しただなんてことは……」

 ライカが最悪のシナリオを口にした。
 それはあまりにもひどい。なんとか、みんなが無事でありますように……。

 町のはずれにライカが降り立つ。私もライカから降りた。
 ライカも少女の姿になって、一緒に町を探索する。
 ほとんど人の町と大差ない。大通りの両側に二階建ての石造りや煉瓦造りの建物が並んでいる。

「やけにし~んとしてるけど」
「我もそう感じますが、これは結婚式で参加してるドラゴンが多いからなのかもしれません」

 まったく予想外の展開だった。
 ここでも激戦が繰り広げられているつもりだったのに、あまりにも静かだ。建物が壊されている様子もない。

 落ち着かないものを感じつつ、町の奥まで進んでいく。

「姉さんの結婚式、なんとかいいものにしたい……成功させたい……」
 ぼそりとライカがつぶやくのが耳に入った。

「大丈夫。ちゃんとすべて無事に終わってお姉さんの結婚式も続けられるから」

 ライカの背中に手を置いた。少しでも安心させてあげられるように。

 そこで、ふと私は耳慣れないものを聞いた。

「うっ……ぐぅう……うぅぅ……」

 なんだ、これ? うめき声?
 どうやら、ドラゴンのようだけど……。

 不安を覚えながら、その先に進み、私は衝撃的な光景にぶち当たった。

 五体のブルードラゴンが広場に敷き詰められている。

 広場の下にはなにやら発光している円陣らしきものがある。

「これは一応、こっちが勝ったっていうこと……?」
 うめき声の正体に関しては答えが出た。このドラゴンたちが苦悶の声を漏らしているのだ。

「そのようですけど、あまり目にしない魔法ですね……。誰が使ったものだろう……」
 ライカもいまいち腑に落ちてないらしい。私から見てもあまりポピュラーな魔法という感じはしない。

「敵を縛りつけるような呪縛系の魔法かな? いや、違うな。むしろ、これ、力を吸い取って動けないぐらい弱らせてるんだな……。けっこう、えげつない系統のやつだ……」

 現場検証をしていると、そこで知り合いが顔を出してきた。

「なんじゃ、おぬしら、こんなところで会うとは奇遇じゃのう」

 声のしたほうを振り返ると、ベルゼブブが立っていた。

「えっ……。本当に奇遇だけど、なんでこんなところにいるの……?」
「それは、ここが観光地じゃからじゃ。この火口にはよい温泉が湧き出ておっての。たまにゆっくりと疲れを癒しに来るのじゃよ」

 温泉旅行なのか……。それで、ベルゼブブがいる理由のほうは説明がついたが。

「あの、そっちのドラゴンたちはどうしたの?」
「うるさかったから、罰してやった」
 なんでもないことのようにベルゼブブは言った。

「わらわが町を散策しておったら、このドラゴンたちが現れての。観光客をさらって、ここの観光地の価値を下げてやるとか、くだらんことを言い出したのじゃ。なので、わらわが出ていって、退治を行った」

 ベルゼブブは小石を拾うと、ぽいと動けないドラゴンのほうにぶつけた。

「これは極度の衰弱を引き起こす魔法じゃ。魔族の中でしか伝わっておらんから、おぬしらは知らんかもしれんな。こうして罪人を閉じ込めておくのにはちょうどよかろう」

「ブルードラゴン五体に、あなた一人で勝ったのですか!?」
 ライカが不思議そうに尋ねた。

「はん? なんで、わらわがドラゴン五体ごときに遅れをとらんといかんのじゃ。コールドブレス一つとっても、わらわのほうがもっと極寒のやつを吐けるっちゅうに。こっちは三千年生きとる上級魔族じゃぞ。負けるわけがなかろう。ったく、侮辱するな」

 それから、ベルゼブブは顔を赤くして、むすっとした表情になった。

「アズサよ、お前も、前回セコい手でわらわに勝ったからといって、わらわをそのへんのザコと一緒にしておるのではないか? 次に正々堂々とやったらどうなるかわからんからな! わらわは強いんじゃからなっ!」

「あっ、今はそれはどうでもいいんだけど」

「待て待て! どうでもいいわけがなかろう! 無茶苦茶重要なことじゃぞ!」

 私はベルゼブブに近づくと、ぎゅっとハグをした。

「ありがとう! あなたのおかげでレッドドラゴンの危機が回避されたよ!」

「うわ! 抱きつくなっ! 恥ずかしいではないか! それにおぬしらのためにやったのではなくて、そのしょぼいドラゴンどもが調子に乗っておったから締めたまでじゃ!」

「あれ、ベルゼブブ、なんかお風呂上がりのいいにおいがする」

「それは実際にわらわがお風呂上がりじゃからじゃ――って、そんなことはどうでもよいから離せ!」

 今日、わかったこと。

 ドラゴン<ベルゼブブ
土曜日の更新が宿の設備的にできるか自信ないので、今のうちに更新しておきます! 次回は更新できれば日曜に、もし無理だったら月曜に更新します!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ