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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンの結婚式に行った編

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33 ドラゴンの抗争

「あの、すいません……平和に終わらないことなんてあるんですか……?」

 はっきり言ってそんなことあってほしくないのだが。

「ああ、実はドラゴン族は部族ごとにいくつかに別れて生活していましてね。部族同士で仲が悪いところもあって、そういうのが妨害に来る場合もあるんです」
 ドラゴン業界も面倒なんだな。

「とくに結婚式なんてものがあると、それをぶち壊しにやってくる危険もあるんですね。まあ、確率から言うと雨が降るより低い程度のものなので、そんなこといちいち気にしてられませんがね」
「そうですか。このまま何もなければいいですね……」

「あなた、人間のお客様が食べられる大きさの食事を出さないと」
 ママドラゴンと思われるドラゴンが言った。やっぱり小さいほうのドラゴンさんだ。
「ああ、そうだな……。二次会用の屋敷に置いている分を先に食べていただこう」

 パパドラゴンがのしのしと歩き出したので、私たちもそれに続く。

 かなり大きな歩幅なので小走りにならないと離される。

「すいません、アズサ様。父上は人間と生活することにはあまり慣れてないので徒歩の感覚がわかっていないのです」
「いや、いいよ。ちょっと急げばいいわけだし」

 しかし、ドラゴンたちの集まりから離れていった頃――
 晴れていた空が急に陰った。

 見上げて、私は悲鳴をあげかけた。
 無数のドラゴンが空を覆っていたのだ。

 あと、そのドラゴンの皮膚の色はライカたちと比べると青みがかっている。

「ブルードラゴンの連中め。荒らしにきおったな!」
 パパドラゴンが叫んだ。
「ブルードラゴン? そんなのもいるのか……」

「そうです、お客人。ハイント州に住むブルードラゴンは恥ずかしげもなく、冷気を吐きまくる野蛮なドラゴンです……」

 上空のドラゴンはいきなり白い息を吐いてきた。
 その息が当たった木々が真冬になったみたいに凍りつく。たしかにコールドブレスらしい。
 それから先もどんどん息が吐かれる。冬に見える範囲が徐々に広くなっていく。

「うああ……わたし、もうダメです……。心臓に悪いんで気絶したい……」
 ハルカラがネガティブなことを言い出した。
「こんなところで気絶されても困るんで、起きててよ!」

 しかし、これは厄介なことになったなと思っていると、ブルードラゴンたちがゆっくりと地上に降りてきた。
 その数、二十あまりといったところか。

 一番前に立っているリーダーらしいブルードラゴンが声を出した。
「くっくくく、ロッコー火山のレッドドラゴンの連中よ。今日、お前達が結婚式をやるという話を聞いたぞ。ムカつくので、イヤガラセに来た!」

 もう、はっきりとイヤガラセって言ってきたな……。そこは大義名分とかないんだ。
「三百歳で結婚しおって。アタシなんて四百年以上も独り身なんだぞ!」

 なんか、ひがんでる!

「しかも、二十年前、親睦会でパールドラゴンの彼に結婚を申し込んだら、『レッドドラゴンにイヤガラセしてるリーダーの方ですよね……そういう厄介ごとに首を突っこむのはちょっと……』って断られたんだぞ!」

 それ、身から出たサビ!
 たしかにイヤガラセに精を出してる人と付き合いたいわけないよなあ。私も無理ですと言いそうだ。

「これはすべてアタシのせいだ!」

 そこはあっさり認めた!

「でも、腹いせにイヤガラセは続けてやる! ブルードラゴンは心も冷気のように冷たいのだ! この結婚式会場だけでなく、火山の火口部のほうにも別働隊をやったからな! そっちも凍らせてやるっ!」

 なんて迷惑な奴なんだ……。

「あいつの名はフラットルテ。ブルードラゴンのイヤガラセ女王と呼ばれておる女です……」
 パパドラゴンが説明を加えた。そういう奴が一人いると本当に面倒だよな……。

「やむをえん……。こうなったら、全面対決と行くしかないな……」
 パパドラゴンは覚悟を決めたらしい。どたどたと足音がするので振り返ると、もうこちら側のドラゴンも集結しだしていた。あんな大群のドラゴンが攻めてきたら、すぐにわかるからな。

 ライカは自分のお姉さんの前に向かう。
「姉さん、ここは危ないですから新郎と一緒に下がっていてください!」

「私たちのせいでこんな争いが起こってるんだから戦うわ!」
「僕もレイラを守って戦う!」
 新郎新婦も当然ドラゴンなので戦うつもりらしい。これは大事になってきた。

 一方で、私としては一緒に来ている娘とハルカラを守ることを第一に考えないといけない。

「怖いよ、ママ……」
 ファルファはぎゅっと私に抱きついてくる。
 シャルシャのほうは、私のドレスの端を握ってこらえていた。
 スライムの精霊ではドラゴンの群れにはかなわない。

 あと、ハルカラはなぜかもう腹ばいになって倒れていた。

「なんで倒れてるの!」
 絶対にまだ攻撃喰らってないだろ。
「し、死んだふりです。ドラゴンに会ったら死んだふりをしろとお祖父さんの遺言で……」
 それ、かえって危ないぞと言おうと思ったら、走っているドラゴンがハルカラのすぐ横にずしんと足型をつけていった。一メートルずれてたら踏まれて即死してただろうな……。

「し、死んだふり、やめます……」
 青白い顔でハルカラが起き上がった。
「うん、そのほうがいいと思う」

「客人の方々はどこか安全な場所に避難してくだされ。これはドラゴン同士の争い。我々で終わらせますので!」
 そう言った直後に、もうパパドラゴンもブルードラゴンに突っこんでいく。
 しかし、安全なところってどこなんだろうか……。

 私たちのところにもコールドブレスが飛んできた。
 危ない! 火炎の魔法を私は右手を掲げて放つ。
 炎と冷気がぶつかって、相殺される。結果的に冷房で一時的に温度が下がったぐらいでこらえた。

「ママ、すごい! でも、怖いよ……」
「母さん、ここは戦場の真っただ中、離れたほうがいい……」

 ここはシャルシャの提案に従おうか。
次回、高原の魔女が珍しくマジで怒ります。

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