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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンの結婚式に行った編

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32 ドラゴンの村

 それからドラゴンのライカに乗りなおした私たちは無事にロッコー火山に到着した。

 普段、人が立ち入らない山の裏側のようなところにたくさんのドラゴンが集まっていた。遠目にもそれがわかった。

「すごいー! ドラゴンさんいっぱい!」(ファルファ)
「生物学的にはレッドドラゴン。モンスターではなくドラゴン族に分類される」(シャルシャ)
「このドラゴンたちに怒りを買ったらわたし、今度こそ殺されちゃいますね……」(ハルカラ)

 なんで、ハルカラは怒りを買う前提で物事考えてるんだと思ったが、たしかにこれまでのハルカラの人生を考えてると、それぐらい心配してちょうどいいのかもしれない。

「まだ一次会の時間ですので、みんなドラゴンの姿で騒いでいますね。ひとまず、皆さんを新郎新婦と家族に紹介させてください」

「わかった。すべてライカの指示に従うから」

 空きスペースを見つけてライカは着陸。私たちも降りる。

 はっきり言ってドラゴンの性別もぱっと見は区別がつかない。

 ドラゴンたちの目がライカのほうに向く。
「ライカお姉様、ごきげんよう」
「今日も美しい翼をなさってますわね」

 なんだ、このお嬢様学校のサロンみたいなノリは。

「産まれ持ってのものなどたいした問題ではない。我々に必要なのは、産まれてから何を磨くかだぞ」

 ライカがかっこいいことを言った。

「ライカお姉様、やっぱり今日もかっこいいですわ」
 ドラゴンからもかっこいいという反応が来た。すべてドラゴンなのでシュールな感じが抜けないが、このドラゴンたちからすれば、これが普通なのだろう。

「本日は、我の姉の結婚式にご出席いただいて、ありがたく思う」
「ライカお姉様の姉君の結婚式に出るのは当然のことです」
「そうですわね、わたくしはレイラお姉様にも委員会でお世話になりましたし。では、お忙しそうですので、わたくしたちはこれで。また、あとでお話しいたしましょう」

 そこで彼女たちは離れていった。

「失礼しました、アズサ様。彼女たちは学校の後輩です」
「あ、そうなんだ。学校か……」

「まあ、学校といっても基礎的なことしか学びませんがね。本格的なことは人の姿になって、大学に通うのが早道ですから」
「いや、充分に知的だけど……。ライカが賢そうな理由もちょっとわかったかな」
「いえいえ、アズサ様にはまったくかないませんよ。精進あるのみです」

 そういえば、ライカは人間の姿である時は女子中学生ぐらいに見えるから、あの子たちもそういう年頃なのだろう。

 私たちは巨大なドラゴンの間を歩いていく。前をライカが歩いているので気楽だが、これ、ライカなしでドラゴンの間を歩くのは、けっこう怖いな。

「みんな、でっかーい!」
「姉さん、でっかいは失礼かもしれない」

 ファルファはテンションが上がっているようだが、一方でハルカラはずっと下を向いて歩いていた。
「もし、この方たちの機嫌を損ねたらすぐに殺される……。口から出た炎で消し炭にされる……」
 どんだけネガティブなんだよと思うが、ドラゴンだらけだと落ち着かないこと自体はわかる。

 ドラゴンたちはいろんなところで酒を飲んだり、食事をしたりしているが、コップや皿がとにかくデカい。
 皿の上には切った肉(といっても人間の感覚ではデカすぎるが)や野菜が載っている。野菜はキャベツ5玉とかそういった単位で置いてある。おそらく、これが一口サイズのミニトマト感覚なのだろう。

「お皿の上に載らないでくださいね。一緒に食べられてしまう恐れがありますから」
 ライカが前から注意してくる。はい、気をつけます。
 そう言ったそばからハルカラがお皿の上に載ってしまい「あー! 違います! わたしは食材ではないです!」と悲鳴をあげていた。

「今日は村中のドラゴンが勢揃いしているのでにぎわっていますが、いつもはもう少しのんびりしていますし、静かですよ」
「へえ、ドラゴンってここにどれぐらい住んでるの?」
「二百五十体ぐらいですか?」
「けっこう多いな……」

「ただし、普段はほかの山に住んでいる者などもいます。みんながみんな、ここに集まってるわけではないですね。それと、あくまでも我々の種類はその数いるというだけで、他種になると話は変わりますが」
「いろいろ、ドラゴンもいるんだね」
「はい、ドラゴンと呼ぶのもおこがましいような連中もいま――あっ、ちょうど両親と姉夫婦がいました」

 ドラゴンが四体立っていた。

 大きいドラゴンと小さいドラゴンのペアというのがわかった。
 多分、大きいほうが男なんだな。そうやって見ていくと、サイズでドラゴンの性別も区分できてくる。

「ただいま帰りました。こちらが我の師匠である高原の魔女、アズサ様。後ろにいるのがそのご息女のファルファ様、シャルシャ様、エルフの弟子であるハルカラ様です」

「ライカの父です。お話は伺っております。娘がご迷惑をおかけしているのではないかと」
 その中で一番大きいドラゴンが声を出した。
「いえいえ、大変お世話になっていますから……。むしろ、押しかけてしまってすいません」
「娘の結婚式を祝っていただける方が増えて何が迷惑なものですか。ははははっ!」
 どうやら歓待していただけているらしい。

 続いてライカが「姉のレイラです」とお姉さんのドラゴンを紹介した。私もこんにちはと頭を下げる。娘とハルカラも頭を下げた。
「夫とはずっと幼馴染だったんですが、八十年ぶりに出会って意気投合して結婚しようということになったんです」

 八十年ぶりというタイムスパンがおかしいが、まあ、ドラゴンの中では普通なんだろう。

「やっぱり皆さん、ドラゴンの姿で式は行われるんですね」
 食費がかかって大変そうだが、これが普通なら違和感もないんだろう。
「一次会はドラゴンの姿、二次会以降は人の姿になって行うんですよ。大きすぎると、細かなことには向きませんから」
 お姉さんが説明してくれた。なるほど。

「しかし、今日は本当に平和でいいな」
 パパドラゴンがつぶやくように言った。
「このまま平和に終わればいいんだが」

 なんだ、この露骨なフラグ発言は……。
次回、厄介ごとがまたやってきます。

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