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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンの結婚式に行った編

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31 ドラゴンの土地を目指して

「もし、よかったら結婚式に一緒に行きませんか? 式典だとかそういう堅苦しいことは考えなくてけっこうです。ドラゴンの結婚式はかなりテキトーですので、お祭りや旅行に行くと思っていただければ」

「ファルファ、行くー! お嫁さん見たいー!」
 私より先に娘が興味を示した。

 そうだよな。弟子の姉の結婚式なら、出席してもいいよな。

「わかった。じゃあ、行くよ。ロッコー火山だと最速で二日ぐらいかかるかな。ファルファとシャルシャの足も考えると、四日ぐらいかけて行こうかな」

「我がドラゴンになって連れていきますよ。宿もこちらで手配いたしますし」

 じゃあ、話はもうついたようなものだな。

「ドラゴンの結婚式ですか。じゃあ、おめかししないといけませんね……。ドレス、地元に置いてきちゃったんだよなあ……」

 もうハルカラは何を着ていくかということを考えているらしい。

「では、私は先に一度実家に皆さんのご出席だけ連絡しておきますね。本日中に戻りますので」

「はーい。よろしく言っておいてねー」

 こうして、高原の魔女一家総出で結婚式に出ることになったのだった。

 その日はフラタ村に出て、ドレスを仕立ててもらうことにした。
 娘二人はとくにドレスが作れることにすごくはしゃいでいた。そういうところは子供っぽくてほっとする。

 シャルシャなんて片っ端から試着をして、どれがいいかずっと考えていた。
「ううん、これは髪の色との相性がよくないかも……」
「そんなことないよ。シャルシャ、気にしすぎだよ」
「だって、姉さんはどれだって褒めるからわからないから……」
 まあ、こういうのは悩むのも楽しみの内だから、おおいに悩むのもいいと思う。

 ハルカラは一足早く、既製品の試着を試みていた。
「すいません、お師匠様、違和感ないか見てもらえませんか?」
 試着室から声がかかったので、入っていく。

「どう? いいのが見つかっ――あっ、これはもう絶対ダメだわ……」
 胸のあったドレスをハルカラは着ていたが、見た瞬間、アウトなのがわかった。
「あれ、色は気にいってるんですが……」
「胸もお尻もほぼ隠せてないから」

「…………あっ、これはいけませんね!!! 着替えます!!!」
「ハルカラ、あなたの体だと既製品だと全部サイズが合わなくて色気が出ちゃうから、イチから作りなさい……。むしろ、そういう服で出るなら出席認めないから」

 もう少し、自分の体に自覚的になってもいいのではないか。

 結局、四人分のドレスを仕立ててもらった。ライカは地元に私たちが参加することを連絡に行ってるから当然今日は不参加だけど、最初から結婚式に出席する予定だったわけだから、準備はできているはずだ。

 夕飯の前には、もうライカが戻ってきたが、私たちの参加は満場一致でOKということらしかった。

「家族もあの高原の魔女が来るならぜひ見てみたいと言っていました」

「そんな有名人みたいな扱いをされても困るけどね……」

「アズサ様は確実に有名人ですよ。高原の魔女と言えば、ナンテール州ではどこでも通じると思います」
 それは話を盛りすぎだと言いたかったが、ハルカラなんてほかの州に住んでたのに私を頼ってきたぐらいだから、やはり知られていることは間違いないのだろう。

「ドレスを作ってきたんだけど、ライカはもう持ってるよね?」
 念のため、聞いた。もし、なかったら仲間はずれにしてるみたいになりかねないからだ。
「はい、何着か」
「何着もあるのか……。やっぱり、お嬢様っぽいな……。じゃあ、結婚式も問題ないね」
「はい、姉が昔プレゼントしてくれたドレスを着ていきます」
 なんて上流階級な姉妹だ。



 そして、すぐに当日になった。

 私たちは正装して、ドラゴンになったライカの背中に乗る。

 そういえば、これだけ本格的な距離をライカに乗って移動することはなかった。むしろ、娘二人のほうが慣れていた。

 一方でハルカラは青い顔をしていた。

「高所恐怖所だった?」
「いえ、酔いました……」

「酔うようなほど揺れてないと思うんだけど……」
「体質です。こればっかりは仕方ありませんからね……。わたし、自分の足で歩いている時以外、ダメなんです……。逃げてる時とか川船にも乗りましたけど猛烈に酔いましたし……」

 この子、いろいろと問題点というか弱点が多いな……。

「よし、酔い止めの乾燥キノコを飲もう……」

 キノコっていろんな効用があるんだな……。

※このあと、結局、酔ったハルカラが吐きそうになってライカに一度森に着陸してもらいました。

 私は背中をさする。弟子が苦しんでいるのは事実なんで、これも立派な仕事なのだと思う。
「はいはい、思い切り吐いちゃって。そしたら楽になるから」
「おえーっ! おえーっ! あぁ、楽になりました……。すいませんね、わたしって本当にぽんこつ性能で……」
「そんなところで自虐的にならなくていいから、今は落ち着くことでも考えてなさい」

 娘も見たことない景色をなかなか楽しんでいるようだし、ちょうどいいし、休憩ということにしよう。
「森だね~。シャルシャ、シャルシャ、ここはどこあたりなの~?」
「ここはミレイルの森。ナンテール州の中では比較的高度が低いので、森が濃い」
 やっぱり、あの子、地理に詳しいな。

「かなり大型のロングスピアーイノシシというモンスターが生息するのであまり人は立ち寄らない」
「あれ、あの大きな獣さんがそう?」

 その声にびくっとして振り向くと、たしかにものすごく長い角を頭に持ったイノシシがやってきていた。

 そんな長い角、生活に不便だろうと思ったら明らかに角が伸びている。獲物を見つけた時だけ、長くさせることができるらしい。

 そして、イノシシが狙っているのが娘だとすぐにわかった。

「姉さん、シャルシャじゃ勝てないかも……」
「ファルファもちょっとまずいかな……」

 私はすぐに娘のほうに駆け出す。

「娘に手を出すな! この馬鹿! あっ、猪なら馬でも鹿でもないか……。とにかく、こっち来るな!」

 私は角をつかむと、そのまま真後ろへ放り投げた。
 バックドロップ的な感じだ。

 転倒したイノシシは危険を感じて、逃げていった。

「ふぅ、これで解決したかな」

 しかし、ほかにも何匹か同じ種類のイノシシがこちらに迫ってきていた。

 どうやら囲まれているらしいな。

「ねえ、ハルカラ、気分悪いの治った?」
「も、もう少し森の空気を吸いたいですかね……」
「わかった、わかった。ライカ、ハルカラと娘を守ってあげて」
「わかりました。アズサ様はおひとりでだいじょう――大丈夫ですね」

 ライカは笑っていたが、まあ、そういうことだ。
 心配するまでもない。

 私は五匹ほどロングスピアーイノシシを倒した。
 倒したといっても剣とか武器はないので、物理で殴ったのだ。
 けっこう魔法石が出てきたので、やっぱり野生動物ではなくてモンスターなんだな。

「またお師匠様に助けられてしまいました。やっぱり、お師匠様強いんですね……」
 酔いから醒めたハルカラがうっとりした顔で言った。
「わたし、お師匠様にならキスされてもいいかもです……。ぽっ……」

「あなた、そもそも、ゲロ吐いたばっかりでしょ……」

 当たり前だけど、キスはしてません。
次回、ライカの故郷に行きます。

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