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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフが来た編

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29 魔族について学ぶ

 夜が明けると、ベルゼブブはベッドから出てきた。
 病み上がりではあるが、健康体と言っていいだろう。

「殺されると思っておったのか。わらわは上級魔族じゃから恐れられるのは慣れておったが、まさかそんな噂が広まっておるとは思っておらなんだわ」

「必死になって逃げてました……。工場のほうは再開させますので……。じゃあ、この数日、屋敷の『栄養酒』が減っていたのは……」

「わらわがいただいておったのじゃ。やっぱり、あれは最高じゃの」

 ハルカラとベルゼブブのほうでの誤解も解けたようだし、めでたしめでたしとしよう。

「いや、いっそ、こっちの州に工場を移転させちゃいましょうかね」

 ハルカラは何か頭の中で考えているようだった。

「こっちに移す? また、なんで?」

「だって、ベルゼブブさんに狙われているという話は誤解だったとはいえ、エルフも地元の州もわたしを一度は見捨てたわけでしょ。少なくとも守ろうという動きはなかったです」

 相手が上級魔族だから、ビビったんだろうな。生贄にエルフ一人なら安いものだという気持ちだったのかもしれない。

「向こうで工場を再開させると向こうの税収になるわけですし、どうも腑に落ちないんですよね」

「あなた、地味に根に持つタイプだね……」

 とはいえ、このナンテール州の雇用が増えるのであれば悪いことではないのかもしれない。私としてはこの州の人間としてナンテール州が栄えるようなことを推進するべきなのだろう。

「それと……こっちで暮らせばお師匠様と一緒にいられますし……」

 ちょっと顔を赤らめて、ハルカラが言った。

「その師匠・弟子関係はあくまでもフェイクのものじゃないの? 弟子としてこき使うような意思はないけど」

「いえ、お師匠様はわたしの命を本当に救おうとしてくれたじゃないですか。ベルゼブブさんとの間に割って入ったお師匠様は、すごくかっこよかったです。それで、気持ちが今も揺れ動いているっていうか……」

 微妙にハルカラの視線が熱っぽいのが気になる。

「あなた……百合的な思考は持ってはいないよね……?」

「そういうのはないですよ」

「だったら、問題ないか」

「ただ、食われノンケなだけです」

 おい! 変な専門用語来たぞ!

「ま、まあ……部屋はまだあるし、いてもいいけどね……。ただし、食事とか掃除とか買い物とか当番制だから、そこんところ、よろしくね」

「はい! しっかりと働きますから!」

 また、家族が増えることになりそうだ。
 娘が二人に、弟子が二人。本格的な魔女の工房になってきたな。これは薬を作る魔女側の仕事もスキルアップしていかないと恥ずかしいぞ。

「ふうん。なんじゃか楽しそうじゃのう」

 ベルゼブブがいかにも興味ありますといった雰囲気を出して言った。

「あの、上級魔族はこんな狭いところ、住む気ないですよね……」

 いくらなんでもベルゼブブが住むのは近隣から恐れられそうだし、気が引ける。

「わらわは住むところもちゃんとあるから引越す気はない。ただ、ここには顔を出すぞ。『栄養酒』も買いたいしのう。ハルカラというエルフのところに来れば絶対買えるではないか」

 たしかに。製造してるところで買うのは確実だ。輸送コストもかからないし。

「それと、高原の魔女アズサよ、おぬしとの決着自体はついておらぬ。次は結界なしで勝負じゃ」

「えっ……戦いに来るの……?」

「命のやり取りをするつもりまではないから安心せい。長く生きておると暇なのじゃ。暇つぶしに付き合え。ほかにも、何か面白そうなイベントがあったら呼ぶように」

「呼ぶようにって魔族の土地にどうやって連絡するの……?」

「たまに顔を出すからその時に直接伝えよ」

 どんだけ来る気だ……。

「まあ、とりあえず、誤解だったことがわかったのはいいことだから、一緒にごはんでもどう?」

「うむ、ではいただくとしよう。せっかくじゃし、屋外にテーブルでも出して食べてはどうじゃろう。そのほうが高原の宿のようで気分も盛り上がろう」

「面倒くさいけど、なかなかいい案ね。採用するわ」

 こうして私達は外で優雅に朝食をいただくことにした。
 魔族に会うのは初めてなので、魔族の社会についていろいろと質問をした。

Q1 魔族の社会って今はどうなってるんですか?
「この数百年、同じ王朝が続いておる。とくに人間の土地に進出しようという動きはないから、平和にやっておるぞ。王家とわらわたち上級魔族が政治をしておる」
 ということはごく普通の国家だな。

Q2 ベルゼブブは何をやってるんですか?
「貴族として多くの荘園を管理しつつ、王朝内では農相として農地の拡大を推進中じゃ」
 やっぱり、偉い人ではあるらしい。

Q3 結婚はしているんですか?
「へ、変なことを聞くでない……。ああいうのは、老いるのが早い種族がするものじゃろう……。き、生娘では何か問題があるのか……」
 この口調でも乙女なのか。

Q4 ハエとしての生活はどうしてるんですか?
「ハエになれるからといって、汚物を好んで食すわけではないからそこは間違えないようにな。もし、わらわの食事としてそんなものを出してくるようなら、魔族の大臣を侮辱したとして国際問題にさせてもらうからの! たしかに果物は腐りかけが美味いが、あくまでも腐りかけであって、本当に腐っておるものではない!」
 ここは注意しておこう。普通の人間として遇すればいいんだな。

 さて、ライカに疎開の必要はなくなったと連絡しないとなと思ったが、ちょうど食事中にドラゴン姿のライカが飛んでやってきた。

「様子を伺いに戻ってきましたが、解決したようですね」
「そういうこと。娘も連れ戻してくれて構わないから。むしろ、慌しいけど、今日中にお願いできる?」
 せっかくなんで、ほかの家族もハエの王と会わせておこうと思った。

 なんかベルゼブブと娘二人はやけに馬があったらしくて、おままごとをしたりして遊んでいた――ということはなくて、魔族の歴史についてやたらと質問していた。

「というわけで、この貴族の家系はこうして没落したわけじゃ――しかし、なんでこんな歴史の話におぬしら興味を持つのじゃ?」
「魔族についての本はあまり出てないから」
「妹のシャルシャは歴史を勉強するのが好きなんだよー! ファルファは数学が好きかなー!」
「そうか、そうか。じゃあ、ファルファには今度、微分と積分についての書物を持ってこような」

 よくわからんが知的な会話が行われているらしい。

 その日の夜、ベルゼブブが帰る時にこんなことを言われた。

「娘二人のうち、どちらかを養女に迎えたいのじゃが、ダメじゃろうか……」
「名誉なことですが、お断りします」

 こうして、ベルゼブブ事件は無事に一件落着したのである。
次回、キャラが増えてきたのでキャラ設定表みたいなのを載せます。
小説の更新はその次の回からになります。

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