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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔女、レベルMAXになってた編

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2 継続は力なりにもほどがある

「一度、ステータス見せてもらえませんか?」

「ステータスか。そういえば、ずっと測定してなかったかな」

 なにせ、必要がなかったのだ。このあたりはとにかくモンスターというとスライムしかいなかった。レベルアップを実感するタイミングもなかった。

 さすがにスライムとしか戦ったことがないというとウソになるが。
 森に入れば、角のついたウサギなんかもいる。でも、やっぱり弱いモンスターには違いないので、ナイフで問題なく勝利した。

 あのナイフは特別製なのか、三百年経ってもいまだに刃こぼれせずに使えている。よく考えると、衝撃的だ。もしかしてすごく高価なものなのかもしれない。三百年も御世話になったものを売りはしないが。

「高原の魔女様、ずっとこのフラタ村を見守っていてくれたじゃないですか。だから、きっととてつもないステータスだと思うんです。それを知りたくて」

 若い女性職員さんはすごく期待に満ちた目をしている。

 自分で言うのも恥ずかしいが、私はフラタ村から敬意を集めている。

 たしかに、たまに村が困っている時に手を貸したりはした。疫病が流行ったことも三百年の間に何度かあったが、その都度、たくさん薬草を用意したり、体力のつく薬を作ったりして、死者が出ないようにつとめた。

 でも、そんなことより単純に村人が生まれた時から高原で村を見守っているというところから、守り神的なものと認識されているらしい。

 こっちとしてはスローライフを楽しんでいるだけなので尊敬の念が過大でむずがゆい。

「別にステータスを測ってもいいけど、私は薬草学がちょっと詳しいだけの長生きの魔女なだけだから。伝説の冒険者みたいなのを想像されても困る」

「またまた、ご謙遜を。たいしたことないといっても魔女様の基準でしょう?」

「まあ、とにかく見てみたらいいよ。普通だから」

 私は石板に手を置く。
 日本だったら三百年で環境も激変しているだろうに、この世界は本当に変化が小さい。いまだに石板が現役で動いている。まあ、ステータスが表示されるって、その時点でハイテクな気もするが。

=====
アズサ
職業:魔女
レベル99
 体力:533
攻撃力:468
防御力:580
 魔力:867
素早さ:841
 知力:953
 魔法:瞬間移動・空中浮遊・火炎・竜巻・アイテム鑑定・地震・氷雪・雷撃・精神支配・解呪・解毒・魔法反射・マナ吸収・言語理解・変身・魔法創作
特殊能力など:薬草に関する知識、魔女の力により不老不死、獲得経験値増加
獲得経験値:10840086
=====

「…………あれ?」

 なんか、変な数字が出たぞ……。

「ああ、これ、石板壊れてるんじゃない? レベル99とかいう数字が出ちゃったんだけど」

「うあああああああああああああああ!!! 魔女様マジで強すぎですううううう!!!!!!!」

 女性職員さんがびっくりして倒れそうになった。

「無茶苦茶ですよ! こんなの、世界一強いに決まってますって!」

「だから石板が壊れてるんだよ。だって私、スライムぐらいしか倒してないよ? 獲得経験値が1084万なんておかしいでしょ?」

「ええと……魔女様は三百六十五日、三百年間、欠かさずスライムを倒してらっしゃいましたよね? もちろん、昔のことは私は知らないのでこれまでに村のおじいさんおばあさんから聞いた話を元にしてますが」

 ちなみにこの世界はちゃんと太陽や月があって、太陽暦が採用されている。

「そうだね。平均して一日二十五匹ぐらいかな。魔導書ほしい時とか、家を修理したい時とか、奮発してかなりの数を倒してお金稼ごうとしてた気がするし」

 さすがに三百年も経つと、建物も実質的な建て替えに近い改装をしている。そういう元手はひたすらスライムを倒すことで得ている。インフレなどが起こってなくて助かっている。

「あと、獲得経験値増加という特殊能力をどこかで得られてますね。魔女様は遠出はされてないらしいので、ある時点でレベルアップした時にその能力を手にしたのだと思いますが」

「そういうことになるかな」

 スライムを倒し続けるだけでも、少しぐらいはレベルが上がることはあるだろうし。

「その特殊能力はモンスター一匹ごとに獲得経験値が2ぐらい増えるというものです」

「なんだ、たったの2か」

「でも、スライムの基礎経験値って2なんですよ。つまり倍なんです。なので、ここで計算しますね。

365(日)×300(年)×2(スライムの経験値)×25(一日に倒したスライム数)×2(特殊能力のボーナス)

こういう計算式になるかと思います」

「うん、そこまではわかる。まあ、獲得経験値が増える効果が初期から手に入ってないはずだから、現実に獲得した数字はもっと小さくなるだろうけど」

 でも、スライムを一日平均25匹倒したというのは感覚的なものだから、実際にもっと多かったら数字は変わってくるかもしれないが。

「とにかく、これで一度計算してみます……。10950000……。ええと、桁はいくつですかね…………1095万!」

 獲得した経験値の1084万にかなり近い!

「ちなみに1084万は、経験値が2500と言われているドラゴンを4380匹倒した数字です」

「超ドラゴンキラーだ!」

「一年間に14,6匹もドラゴンを倒していることになりますね……」

 ドラゴンを基準に考えると、とてつもないことをした気になってきた。

「どうやら、この数字、石板の間違いではないようですよ……。やっぱり高原の魔女様は偉大なる大魔女だったんですね!」

 私は自分でもその数字が信じられずに呆然としていた。

 感覚的に成長しているような気はしていた。なにせ、こっちは十七歳の肉体のままで、経験だけが蓄積していくんだから。
 とはいえ、ここまで無茶苦茶な数字になっているとは……。

 継続は力なりとは言うけど、力になりすぎだろう……。

 いや、それよりこのことがあまり知られるとよくないぞ。

 村のお手伝いなんて次元じゃないことをいろいろとやらされる恐れがある。

 たとえば、ドラゴンがどこそこに発生したので退治してくれとか。

 そりゃ、一回だけならいいぞ。一回、ドラゴンを倒すぐらいならいい。
 でも、一回でもやったら絶対にほかのところのドラゴンも倒さないといけなくなる。あっちのドラゴンは倒したのに、こちらのドラゴンはダメなのかと言われる。

 そんなことになったらスローライフどころではない。
 冒険の日々になる。労働に明け暮れる日々になる。

 もう、過労死するほど働くのは嫌だ……。

 噂が広まらないようにしないと。

「あの、職員さん、お名前は何でしたっけ?」

「ナタリーです」

 えっ、まさかのナタリーさん!? この人も不老不死? ――なわけないな。
 そんなに特殊な名前じゃないし、偶然かぶったんだ。それだけのことだ。

「ナタリーさん、このことは口外しないでください。そもそも、ステータスはいわば個人の秘密みたいなものです。あなただって胸の大きさを広められたくはないでしょう?」

「はい、それは恥ずかしいですね……」

「だから私のステータスも誰にも言わない。それでいいですね?」

「わかりました。魔女様が最強だということは外に漏れないように注意します! 魔女様を讃えたくはありますが、魔女様を裏切るようなことはこの村に住む者として絶対にいたしません!」

 こんなところで高原の魔女の威厳が効いた。
 よしよし、このまま黙ってもらえればどうにかなる。

 なにせ、この三百年間でステータスに興味を持ったのは、このナタリーさんだけなのだ。これで、数百年は平穏な日々がまた続くはず。

 私はほっとして高原の家に帰宅した。

 あのステータスか本当か見るために、氷雪の魔法を森にある滝に向かって使ってみた。
 私はまだ信じてない。強くなった実感などほとんどなかったからだ。

「すべてを凍てつかせよ! ハッ!」

 滝がガチガチに凍結していた。

 ガチだったらしい……。
初日なのでもう一度ぐらい寝る前に更新できればうれしいです。

ゲームによってはこれぐらいの経験値だとレベル99に届かなかったりするんですが……そこはこの話の世界観だということでご理解ください(笑)。

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