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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフが来た編

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28 正々堂々と戦うつもりだった(戦ったとは言ってない)

ベルゼブブと戦おうとしています。
 私は屋敷から出ると、空中浮遊でできるだけ高原の何もないところまで移動した。

 せっかく広くなった家を壊されてたまるか。まだまだ住み続けてやるからな。

 夜なので、月明かりがわずかに地上を照らす以外はずいぶんと暗い。
 ある意味、ベルゼブブ日和なのかもしれない。明るいお日様の下よりはこっちのほうが似合う。

「ほう、ずいぶん遠くまで飛んだの。では、わらわもそこまで行くかのう」

 ベルゼブブの声は遠くからでもよく響く。

 相手も羽を動かすと、こっちに飛んでくる。

 けど、その時、私はあることを思い出した。

「魔族をはじく結界、まだかけたままだったよな……」

「いいか、上級魔族がいかに恐ろしい力を持っておるかあばばばばばばばばばばばばばっばばばばばばっばばばばっばあっ!」

 ベルゼブブが壊れたCDプレイヤーみたいな声を出して、しびれていた!

「結界が効いてる!」

 しかし、相手も上級魔族。その結界を突き破って、私のところまでやってきた。

 ただ、涙目ですごく睨まれた。

「おぬし、正々堂々とやるって言ったではないか! なんじゃ、あれは! 自分の作戦勝ちとでも言うつもりか!」

「あっ……その、すでに建物の内側にいるって思ってなかっていうか……。すっかり忘れてたっていうか……。ええと、ごめんなさい……」

 反則に近いことをした意識はあるので頭を下げた。

「まったく……興がそがれたではないか……はぁ、はぁ……さ、さぁ……勝負じゃ……」

「あの! 無茶苦茶疲弊してませんか!?」

 偶発的に結界が効き目を発揮しすぎている。

「な、なんの、これぐらい……………………けほっ、けほっ……。気分が悪い……」

 ベルゼブブがその場に膝をついた。

「あと、急な寒気と……ちょっと吐き気もある……」

 救急車呼んでもいいようなヤバい症状になってる!

「ダメじゃ……もう動くこともできぬ……」

 しょうがないので、私はベルゼブブを担ぐことにした。体勢的にお姫様抱っこにする。

「部屋まで連れて帰りますんで!」

「やめろ! また結界にぶつかるんではないのか!?」

「…………危ない。殺すとこだった……」

 素で忘れていた。そんな方法で勝ったらおそらく敵討ちの上級魔族がわんさか来るぞ……。

「あっ、声を出したらものすごく頭に響く……」

「ちゃんと結界は解除してから搬送しますから!」

 こうして私は自分の家にベルゼブブを運び込んだ。

「あっ、お師匠様、お戻りになられたということは勝った――うわ、ベルゼブブもいる!」

「ベッドに寝かすから、あなたも手伝って!」

 こうして、ベルゼブブを緊急で治療することになった。

 ひとまず、薬を飲ませるが、もっと劇的に効果があるもののほうがいいかもしれない。まだ、かなりつらそうだ。

「くっ……あんな非常識なほどに……強力な結界は聞いたことが……」

 Lv99の結界はここまで威力があるのか……。

「ねえ、ハルカラは回復魔法使える?」

「いえ、わたし、全然なんです……」

「わたしも回復魔法は使えないんだよな……。回復は聖職者用の魔法だし……。わかった、今から作る!」

 魔法創作という最強魔法が私にはある。

 私はベルゼブブが寝込んでいる枕のあたりに祭壇っぽいものとそれっぽい葉っぱを並べた。なんか注連縄のようだが、そんなに縁起はよくない。

 専門外の魔法なので、雰囲気重視である。

 あとは詠唱を行えばいい。

「嗚呼、大地の神よ、この者に大地の導きを与えたま――――待てよ」

 ゲームによっては魔族に回復魔法を使うとダメージ与えることになるんだよな。

「ねえ、ハルカラ、回復魔法って魔族にかけて大丈夫なの?」

「ま、魔族だって回復魔法を使う者はいると思いますし、いいんじゃないでしょうか……」

「わかった! あなたを信じる! これでダメージになって死んじゃったらハルカラのせいだから!」

「えええええっ! 責任重すぎますよーっ!」

 念のため、詠唱内容を変更しよう。

「大地の神よ、混沌たるその力は善も悪も未だ分かたれておらぬ。その力を我に貸し与えよ……ハッ!」

 淡い青い光が私の手から発生した。

 ベルゼブブの顔色が少しよくなった。

「効いたっ! よし、これを繰り返すぞ!」

 そして、その回復魔法を五回も唱えると――
 ベルゼブブもつらそうな顔は見せなくなってきた。

「吐き気は収まってきおったのう……。悪寒もせぬ……」

「ふぅ、よかった……。じゃあ、あとは安静にしといてください」

 私は自分の額に浮いている汗を腕でぬぐった。命を一つ救うことができた。

「卑怯な女と思っておったが、わらわの勘違いであったようじゃな……。高原の魔女よ、おぬしはなかなか立派な女ではないか……」

「こんな死なれ方したら、今後何百年悔いが残るかわかったもんじゃないでしょ」

 どうやら、信頼を勝ち取れたらしい。これは丸く収まりそうだ。
 ハルカラもほっとしていた。この調子なら、ちゃんと謝罪をすれば、どうにか許してもらえるだろう。

「回復したら、また『栄養酒』を飲みたいのう」

「いや、それを飲んだらまた死にそうになるでしょ」

「死にそう? いや、分量などはちゃんと気をつけて飲むべきかもしれんが、飲んで死ぬということはなかろう。むしろ元気になるために飲むものじゃろ」

「はいっ?」

 おかしいぞ。当初、ハルカラから聞いていた話とかなり違うぞ。

「あれれ、飲んだら高熱を出して死にかけたなんて話を聞いたんですが……」

「ああ、徹夜作業中に飲んだらやる気がみなぎっての。たしかに、勢い余って働きすぎて、その後に倒れて熱を出したりもしたが、それは飲み物のせいではなく、体に負担をかけたせいじゃ。休息をとれば問題ない」

「ええと……じゃ、ハルカラを追っていたのは……」

「製造中止になったというから、製造者本人のところに直接行って、製造再開を願い出るしかなかろう。しかし、本人も消息不明だし、尋ね人の告知をしたというわけじゃ」

 私はぽんぽんとハルカラの肩を叩いた。

「おい(怒)」

「あっ、その……わたしのところには高熱で倒れて恨んでるって噂が来てて……いやあ、噂は確認しないといけませんね……はは……」

 情報はちゃんと取り扱おうね……。
次回、多分ベルゼブブと仲良くなります!

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