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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

神様が来た編

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275 メガーメガ神のシステム

 なんか、神という概念が急に身近に降りてきた感じがある。
 友達が「私、友達に神がいるんだよね~」とかいきなり言ってきても、とくに違和感ないレベルだ。

「しかし、こんな怪しさ満点の神様を、よくみんな信仰したね……。ご利益があると信じられてるからなんだろうけど……」

「そう、ご利益。流行神にとっては、それこそが最も重要なポイント」
 シャルシャがぐいっとテーブルに乗り出して顔を近づけてきた。
 どうやらよほど語りたいらしい。熱心な娘の姿を見るのは母親としてもなかなかいいものだ。

「まず、ご利益というのは、大きく二つに分かれる。一つは現世利益。危難から救われるとか、福徳円満になるとかがこれ」
 なくなってた靴下の片方が見つかるのもこっちだな。
「もう一つは死後の利益。死んでも素晴らしい天界に招待されたり、王として転生したりするというのがこれ」
 もしや、私はろくな死に方を前世でしなかったから、不老不死の魔女にしてもらえたのだろうか……。

「そして、流行神の大半は現世利益を謳うもの。モテたいとか、お金持ちになりたいとか、長生きしたいとか、そういう世俗的欲望をかなえてくれるものが多い」
「生々しいけど、それはそうか」
 死後に幸せになれますよとか言われても、死後のことはわからないしね。
 私は前世の記憶がかなり強烈にあるが、これ自体、特例に近いものだろう。ちょっと軽い女神様に出会って、今の高原の家あたりに転生させられた。

「つまり、即効性があるのが流行神で、もっとオーソドックスなのが伝統的な神様ってことで、だいたいあってる?」
「うん。妥当な解釈」
 シャルシャがこくんとうなずいた。

 いろいろ神様について聞いてきたけど、神様が実在して、目に見えてもおかしくないことを除けば、この世界も地球の宗教も似たものだな。

「じゃあ、シャルシャ、そろそろお風呂の時間だから、ファルファと一緒に入りなさ――」

「ただいま帰りました~!」
 ハルカラの元気な声がした。そういえば、今日の帰宅はけっこう遅かったな。

 と、そのハルカラが奇妙なものを両手に持っていた。
 それはジャパニーズうちわじゃないか。材質はプラスチックじゃなくて、竹か何かでできた骨組みに紙を貼ったものらしい。

「あれ、この世界にこんなものあったっけ?」
 誰でも考えつきそうなものと言えばそうだが。

「あっ、これは工場に注文依頼に来た人からもらったものです。いや~、大口の顧客はほんとにありがたいですね~!」

 私はそのうちわに書いてある文字を見て、変な声を出しそうになった。
 そこには、「メガーメガ神」とこの世界の文字で表記されている。

「あのさ、あなたの工場にどんな依頼が来たの……?」
「ラベルに神の絵を使った栄養ドリンクを作ってくれと言われましてね。それはそれは、大きな数の注文を受けました。メガーメガ神様に足を向けて寝られません!」

 公式グッズみたいなものか……。

「これが試作品です。ほら、ビンのラベルにメガーメガ神様のイラストがついてるでしょう?」
 そこには女神とおぼしきキャラが一人描かれているが、デフォルメされているので、細かい容姿などはよくわからない。

 ちなみに注意書きにはこんなことが書いてあった。

===
・本品は『ハルカラ製薬』と共同製作した栄養ドリンクです。服用したからといって、病気がすぐ治るなどの奇跡は起きません。ご注意ください。
・売り上げの一部はメガーメガ神様のために使われます。購入すると、徳がたまります。
===

「あっ、『病気を絶対治す水』みたいな悪徳商法ではないんだ……。あくまで栄養ドリンクなんだ……」
 ハルカラが健康詐欺みたいなのの片棒をかつがされることはないようだ。

「会社側もリスクを負うような仕事はしませんよ。このメガーメガ神様は、奇跡はあくまでも個人の徳によって決まると言ってます。徳をためることによって、奇跡につながるのです」
 流行神の宗教のほうも訴えられたりしないように、慎重にやっているらしい。

「ちなみに、これが『徳スタンプカード』です」
 ハルカラが名刺サイズの紙を出してきた。そこにはスタンプが一個だけ押されてある。
「わたしの場合は、栄養ドリンクを作るのに携わったので、スタンプを一個もらえました」

 飲食店のスタンプカードと同じ発想だ……。
 十個たまると、味玉一個無料みたいなやつ……。

 シャルシャも興味深いのか、その『徳スタンプカード』をのぞきこんできた。
「ねえ、ハルカラさん、これがあるということはメガーメガ神の信者になったということ?」
 あっ、そういえば、そのあたりはどうなるんだ?

「いえいえ。メガーメガ神は会員登録とかいらないんです」
 宗教に不似合な表現がまた出た。
「あっちの教団は徳がたまってる人を見たら、自動的にカードを配布してきます。もちろんカードをもらうのを断ることもできますが、別にメガーメガ神への毎日のおつとめの義務があるわけでもないんで、もらっておきました」

 ハルカラ、財布にいろんなポイントカードがたまりまくるタイプだな。
 旅行先で買い物した時に、こういうポイントカードをもらったりする時、なんか罪悪感あったのを思い出した。
 ほぼ確実に二度と来ることはないので、わざわざもらってもしょうがないんだけど、断るのも悪いので受け取ってしまうのだ。

「メガーメガ神の画期的なところは、全然違う神様を信仰してても、その行いが立派なら徳が高いということでスタンプを押してくれることですね。なのでほかの神様を信じてる人も、バッティングしないからということでカードをどんどんもらってるんですよ」

 ツッコミを入れたいところばっかりだけど、無害そうではあるからいいのかな……。

「あ、そういえば、今度、ナンテール州の州都ヴィタメイにメガーメガ神が来るそうですよ」
「え、神様が直接来るの!?」

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