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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔王のお誕生日会編

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273 どうにか元に戻った

 私はそれから先もヴァンゼルド城を動き回った。
 そのあとも四天王を名乗る敵を三人ぐらい吹き飛ばした。四天王を全滅させたらしい……。
 このままではヴァンゼルド城を完全攻略してしまうな……。

 だが、ふいに嗅いだことのある匂いを感じた。鼻はやっぱりよくなっているのだ。

 私の正面にベルゼブブが立っていた。
「おい、そこの狐獣人、そのあたりにしておけ」
 やはり、魔族の幹部だけあって、どっしりと構えている。ボスキャラの風情がちゃんと出てる。でも、四天王には入ってないってことは、ベルゼブブはそれより弱いのか。
「わらわは農務省のトップ農務相のベルゼブブである。省令に基づき、拘禁するのじゃ」
「官僚っぽい発言が来た!」

「……どうも、ものすごく知り合いの高原の魔女に似ている気がするが、そこは触れないでおく。うん、気のせいじゃ、気のせい……」
 あきれた顔をしているし、完全に身バレしている。
 だって、私に狐の耳と尻尾が生えてるだけだからな。
「しょうがないでしょ! 悪いのはペコラだからね! 私も体の制御がなかなかきかないんだよ!」
 私はベルゼブブにもぶつかっていく。

 まあ、仮に吹き飛ばしたとしても、とくに致命傷にはならないだろう。あとで回復魔法をかけるから、許してね。

 けれど、さすがはベルゼブブ。
 私をぎゅっと両手で受け止めた。

「おぬしの行動はある程度わかっておるからな。一時的にホールドするぐらいはできるのじゃ!」
「ありがとうって言うのも変だけど、ありがとう……」

 それでも私の力が強いのか、だんだんとベルゼブブが後ろに下がっていく。
 そこでベルゼブブが顔を少し後ろに向けた。
「ファートラ、例のものを出せ! あれなら効くやもしれん!」

 後ろに控えていたらしいファートラが何かをつかんで、こっちにやってきた。
「アズサさん、これを食べてください!」

 そして、私の口に押し入れた。
 途端に口の中で、香ばしい大豆の芳香が広がった!

 これは油揚げ? ちょっと違うけど、おいしい!
 至福の時間が流れる!

 体から力がいい感じで抜けてきて、私はその場で膝をついた。
「あ~、これこれ~。こういうのが食べたかったんだよ~」
 自分がとてもいい顔をしているのが、だいたいわかる。

「ふう、上手くいったの。狐獣人の職員に聞き取り調査をして正解じゃったわい」
「ですね。強制的に狐獣人になってしまった方も、嗜好が狐獣人に似るようです」
 ベルゼブブとファートラがなにやら話している。さらに近くに狐獣人が二人ほど立っているのが見えた。

「狐獣人はエルフの豆の加工物であるビランワという食べ物を好むらしい。おぬしもその味がいいのじゃろう」
 あっ、そういや、エルフって醤油みたいな調味料を使ってたな。豆の加工食品がいろいろあるのか。

 そのビランワという食べ物をかじっていたら、ようやく私は落ち着きを取り戻しました。



 そのあと、私はペコラの部屋に連れていかれた。
 で、ペコラはベルゼブブに割とマジで叱られていた。

「魔王様、今回は本当にとんでもないことをしてくれましたな。もみ消すだけでも大変な規模になっておりますぞ」
「……ごめんなさい。悪ふざけがすぎました」

 ペコラもしょんぼりしている。ここまでの大事になるとはペコラも思っていなかっただろう。
 フォローしてやりたくもあるけど、私も当事者なので言い出しづらい。

「とくに四天王たちが全員ぶっ飛ばされて、みんな自信を喪失しております。今、カウンセリングを受けておりますぞ」
 うわー! 心に傷を負わせてしまった……。申し訳ない……。

「ベルゼブブさん、それはヴァンゼルド城の防衛体制に問題があるということがわかったわけで、結果オーライなんじゃないでしょうか……」
「それとこれとは話が違います!」

 ペコラはそのあと正式に謝罪をすることになり、キツネニナルダケの摂取量にも制限が設けられることになるようだ。私はいわば人体実験をやらされたらしい。

 でも、とにかく、これにて一件落着だ。
 あとは狐獣人の状態が収まるまで、じっとしていればいいだけ――

「ところで、アズサよ」
 ベルゼブブが顔を向けてきたので、私は少しびくっとした。尻尾が縦に上がった。
 私も叱られるのかな……。トラブルを起こしたのは事実だしね……。

「おぬしの狐獣人姿……その……なかなか、かわいいのう……」
「はっ?」
 妙なことを言われた気がする。

「ちょっと、その尻尾をモフモフさせてくれんか? 触ると絶対気持ちのいいやつじゃ。ストレスが軽減されるタイプのやつじゃ」
「えー! 何、その反応……」
「よいではないか。別に減るものではないのじゃから。それに今回の事後処理でわらわも残業が増えたからのう」

 そう言われると反論ができなくなる。ずるい。

「わかったよ。モフモフすればいいでしょ……。でも尻尾だけだからね。耳は触らないでね」
「うむ! わかったのじゃ!」
 すごくいい笑顔でベルゼブブが言った。

 そういえば、独身の人って、ペットを飼って心の支えにするというか、寂しさをまぎらわすようなところあるよね。社畜時代も、OLが猫を飼ったら、「あの子は結婚を諦めたな」とか言われていた気がする。

 私は、数日間、ペコラだけじゃなくベルゼブブにもモフモフされることになりました。
狐獣人になりました編はこれでおしまいです。次回から新展開です!
ドラマCD第二弾の発売が決定しました!(今回も本につくかたちになりそうです)
詳しくは活動報告をごらんください!

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