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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔王のお誕生日会編

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268 魔王の資料展示室

 そして、ペコラのお誕生日会に行く日になった。
 厳密には誕生日の祝賀式典であって、お誕生日会だと軽すぎる気がするが、魔王自身が軽いから私の中ではお誕生日会で統一する。

 ワイヴァーンが時間どおりにやってきたので、これに乗る。
 ライカや娘たちが見送りに出てきた。

「ママー! お土産買ってきてねー!」
「人生は一期一会、でもきっとまた会える」
「たまにはのんびり骨を休めなさい。骨ってどういうものか、よくわからないけど」
 娘三人が私に声をかけてくる。もう、サンドラも娘という認識でいます。誰とも血がつながってないのだから、そこは平等にいこうと思う。

「みんな、ケンカせずに仲良くやるんだよー」
「ご主人様! フラットルテは昨日、ライカとすでにケンカしたのでしばらく大丈夫です!」
 フラットルテが自信満々に言った。なんだ、その「台風が過ぎた直後だから、今日は晴れるだろう」みたいな発想!

「ケンカするにしても、ほっぺたつねるぐらいにしてね。とくにドラゴン同士での本格的な抗争は禁止ね」
「この人はごはん食べてれば機嫌がいいので、いざとなったらごはん作ります」
 ライカは冷静にフラットルテを人間観察しているようだ。

「まっ、たいした期間じゃないだろうし、どうとでもなるでしょ。じゃーね!」
 私はワイヴァーンに乗って、一路、魔族の城であるヴァンゼルド城を目指した。



 会場のホールは言う間でもなく、魔族たちでいっぱいだった。
 こうやって改めて見ると、なかなか壮観だ。人間では考えられないようなサイズの魔族もごく普通にいるからな。そのせいか天井もかなり高い。

 壁のほうには、「プロヴァト・ペコラ・アリエース魔王の事績」という年表みたいなのが書いてある。
 が、とてつもない分量なので私はすぐに読むのをやめた。
 この子、ものすごい長命だから、事績の分量も人間の比じゃないんだよな……。しかも、堤防を修理したとか、灌漑かんがい用のため池を作ったとか、そこそこ地味なものも列挙しているので、興味が持てない。

「おや、アズサではないか。よう来たのう」
 その声ですぐにベルゼブブだとわかった。
 式典なのに、今日もベルゼブブはいつもの服を着ている。これ、礼装も兼ねてるのか。

「指名されちゃった以上は来ないわけにもいかないでしょ」
「うむうむ。魔王様もおぬしが来てくれるとはりきっておるわ。まだ魔王様が出てくるまで時間があるし、会場を案内してやろう」
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」

 こういう式典で知り合いが一人もいなかったら、ぼっちな空気を味わうことになるから、ベルゼブブの申し出はありがたい。

「この大ホールの横にはいくつか部屋があるのじゃ。隣は魔王様資料展示室となっておる」
「へえ。そりゃ、これだけ長く生きてれば生前から歴史上の人物になるよね」

 期間として考えれば、日本が江戸時代の頃からペコラは余裕で魔王をやってるわけだから、なんらおかしくはない。

 ――以前にアイドルをやってた時の衣装が展示してあった。

「これを飾るのか!」
 もっと、ほかにいろいろあるだろ! どういうチョイスなんだ!

「音楽祭は魔族にとって重要な祭りじゃからの。分量を割くのは自然なことじゃ」
 そう言ってるベルゼブブもどこか微妙な顔をしていた。
「なお、本格的な祭りの資料は収蔵庫送りになったのじゃ……」
「やっぱり影響を受けてる!」

「じゃが、この結果、資料展示室の入館者数は大幅に増加したそうじゃ……。別に過去の祭具とか見たい奴はおらんからのう……」
 文化行政の難しさを感じる……。

 ほかにも、そこにはペコラが使ったコップとか、靴下とか、よく食べるお菓子とかまで置いてあって、生々しさがあった。ある種、正しい魔王の個人崇拝なんだろうか……。

 観客動員数の変化みたいなグラフも置いてある。
 説明板には――最初はほとんど見向きもされなかったが、輝く存在になるんだと負けずに戦った結果、魔族の誰もが知るアイドルに上り詰めた、といったことが書いてある。
 無名なところからビッグになっていくタイプの話か。

 けど、そこからまた急に空気が変わった。
 一言で言うと真面目になった。

「次のコーナーは魔王様が選んだ『魔族の土地絶景百選』じゃな」
 そこは風景の絵みたいなのと地図が置いてあった。
 ボタンみたいなのを押す。
 地図の場所の一部が赤く発光する。ここにありますよということがわかる仕組みだ。

 こういうの、日本の資料館でもあったな……。

「この次は、魔王様が選んだ『魔族の名水百選』じゃ」
「あまりエンターテイメント性がないね」
 アイドルのコーナーと比べると地味さは否めない。

「そうなのじゃ。なので、ここももっとはっちゃけたものに改造する予定もあるのじゃが、資料を展示する場所としてそれでいいのかと議論になっておる……。教育相などは悩んでおるようじゃ。農相でよかったわい……」
 また、現代日本の縮図みたいなのを魔族の土地で見てしまった。

「よし、そろそろ魔王様が出てくるのう。ホールに戻るか」
 私はベルゼブブについていった。
 立食パーティー形式なので、適当なところに立って待っていると、ラッパが鳴りだした。

「魔王様の登場です! 皆さん、拍手でお出迎えください!」
 司会者役らしき魔族が叫ぶ。

 その声に続いて拍手が起こり、ドレス姿のペコラが出てきた。

「皆さん、今日は祝賀式典にご参加くださり、ありがとうございます。こういうところで長々と話をすると皆さんに嫌がられると思うので手短に終わらせますね。さようなら! パーティーは続きますので、好きなものを飲み食いしてください! 以上です!」

 本当に手短だっ!
 十五秒か二十秒ぐらいで終わった!
 なんて参加者にやさしいあいさつなんだ。
GAノベル5巻もオリコン文芸書ランキング10位にチャートインしました! 多分今回、限定版と別集計なので入るとは思っていなかったので、素直にうれしいです! 今後ともコミカライズともどもよろしくお願いいたします!

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