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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

善い枝侯国を観光した編

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263 ハルカラはお仕事、ほかは観光

 まだ、ちょっと顔が蒼白になっているハルカラ家族の見送りを受けて、私たちは宿に行った。
 この大人数で泊まれる部屋はないので、四人部屋を二つとった。
 私のほうが、娘二人とハルカラ。そう、ハルカラも実家には泊まらない予定だった。まあ、あのまま泊まっても家族の介抱で大変そうだしね……。
 もう一つがドラゴン二人とサンドラ。
※ロザリーはそのへんに浮いているので両方の部屋を行き来している。

 ご飯も食べていたので、あとはお風呂(その宿は大浴場に入ってくれというスタイル)と寝るだけという形だ。

 そして、娘二人はただでさえ旅行で疲れていたのもあって、入浴後すぐにベッドで眠ってしまった。
 必然的に、私とハルカラが残る。

 ちなみに、ある程度意図していたことだ。
 里帰りの時はその当人とじっくり話をするのが、家長の役目だと思うから。いや、家長は大げさか。友達として聞いておきたいぐらいの気持ちと言ったほうが正解かもしれない。

 私たちはベッドに腰かけて、水を飲みながら話す。
「ほんとに面白い家族だったね」
「もう、ずっと謝りっぱなしですが、いろいろとすいません……」
 家族を見られるだけでもかなり恥ずかしいのに、さらにあれだもんな……。私でも今のハルカラの気持ちはかなり正確にトレースできると思う。

「でも、どっちかというと私はあの家族を見て安心したな」
「えっ!? あんなんですよ!? もしかして、お師匠様、さらにひどいのを想像してたってことですか!?」
 いや、そんな意図ではない。

「ほら、ハルカラ、ずっと里帰りとか全然言い出さなかったし、家族のことも話さないから、こっちから聞きづらかった部分もあったんだよね。もしや、すっごく不仲なんじゃないかとか」
「あ~、そっちか~。そっちだったか~」
 ほんとに考えてたのかよみたいな反応をされた。

「でも、家族のあつれきは全然感じなかったから、ほっとしたというわけ」
「アンポンタンな人たちですけど、家族は家族なんで。エルフは長命ですからね。今後も長らく、付き合っていくことになりますので、マジギレしてると疲れるんです」
 ハルカラも家族のことだから、いつもより謙遜が強い気がする。

「まあ、わたしも顔を出してほっとしました」
 それはハルカラの偽らざる本心だと思う。そういうのは、横顔をちらりと一瞥するだけでよくわかる。
 こっちはこっちで血はつながってなくても家族だ。

「ただ、あの家族を放っておくのは、やはり危ないなというのも再認識しました……」
 そこでハルカラは珍しく憂鬱な顔になる。その気持ち、わからなくもない。
「とくに経済的な面で……。収入たいしてないくせにお金の使い方が荒いというか変なものいきなり買ったりとか……」
「じゃあ、仕送りでもする? あなたの工場の収入考えたら余裕でしょ」

「いえ、それはそれであの人ら、働かなくなる気もしますし……」
 仕送り額が大きすぎると、それはそれでまずいのか。
「ぶっちゃけ、案はなくはないです」
 その時のハルカラはまた経営者の顔になっていた。

 そういえば、別にこの旅の第一の目的は家族との再会ではなかった。
「明日、ここの領主と工場新設についての話し合いをしてきます。皆さんは観光でもしていてください。また、この宿に日暮れに戻ってきますから」
「わかったよ。ゆっくりエルフの町をまわってくるね」

 私たちも疲れていたのか、けっこうすぐに眠れた。



 翌日。ハルカラ以外の私たちはエルフの町の観光をすることにした。
 ライカの手には『善い枝侯国観光ガイド』という本がある。
 なお、シャルシャはもっと分厚い地理の本を持っていた。それ、重くないかと思うが、シャルシャのことだから慣れているんだろう。

「このガイドブックによると、いろんなところに大樹があるようですね。それが名所らしいです」
「大樹って、名前のとおり、大きな木だよね。まあ、こっちはビギナーの観光客だし、本に書いてあるところを巡ってみようか」

 まず、馬車に乗って、一箇所目の大樹を見た。
 エルフの町は家がないところにはだいたい木が生えていて、余った土地はちょっとした森になっているのだが、そこには、天までそびえていそうな高い、高い木が立っていた。

 周囲は近づきすぎないように柵で覆われていて、エルフを中心にした観光客が見上げている。私たちも見上げてみる。
「いやあ、立派だねえ。しょぼい感想だけど、それぐらいしか言葉が出ないわ」
「ですねえ。生命がみなぎっているという印象を受けます。しかも、枝ぶりもどんどん外へ広がっているようで、どこか見ているだけで飛躍できそうな気もしてきます。青々とした葉からも強い力を覚えます」
 ライカの感想のほうがはるかに大人ってもので、私はちょっと顔を赤らめた。

「すごいねー!」「でかいのだー!」「大きいなー」
 ファルファ、フラットルテ、ロザリーあたりの感想は子供っぽいもので、どこか安心した。

「この木はナンジャモンジャという種類。ここまで背が高いものは極めて貴重。善い枝侯国という名前だけあって、見事な木が何本も生まれ、エルフにとっての霊地とされ、昔から信仰の土地だった。そこに町ができて、今に至る」
「やっぱりシャルシャは物知りだね~」
「これだけ有名になれば、行政から保護もされて楽そうね。いい老後って感じだわ」
「サンドラの感想は植物視点だね……」

 だが、一本目の大樹はそれなりに興味も持てたのだが――

 次の大樹もやはり立派だった。
 その次の大樹。これまた立派だった。
 その次の次の大樹。またまたまた立派だった。
 はい、もうお分かりですよね。次の木も立派でした。

「木ばかりで飽きるわ!」
 休憩で入った喫茶店で私は実直な感想を述べた。

 いくらなんでも木を立て続けに見て満足できるかというとそんなことはない。いいかげん、違うものをさしはさんでほしい。
 コース料理がサラダ、サラダ、サラダ、さらにサラダみたいなことになっている。

「そういえば、観光客も大半がエルフでしたね……。これ、エルフ用のガイドブックだったんでしょうか……」
 ライカがガイドブックをぱらぱらめくっている。

 そうか。エルフならこれでも楽しめるのか……。
「フラットルテは、三本目あたりから、混ざってどれがどれかわからなくなったのだ……」
 私もフラットルテと大差ない。
「ライカ、もうちょっとほかに何かないの?」
「そうですね……。ええと、この善い枝侯国は湧き水で有名だそうです。いろんなところに湧き水があるとか」
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