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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ハルカラの里帰り編

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262 一家だいたい全滅

 この問題は、幸せって言葉が曖昧で定義されてない以上はどれだけ考えても意味がないだろう。それぐらいのことはわかる。

 だけど、ファルファとシャルシャも楽しそうに鍋をつついてるし、ほかの家族もなんだかんだで談笑の輪に入っているのだ。

 問題だらけだけど、どことなく結束は固くて、ハルカラはやっぱり幸せな家庭で育ったんだと思った。なにせ、ハルカラは抜けてるところはあるけど、人格はおおらかなのだ。
 それは家庭が明るかった証拠と言っていいだろう。

「あっ、私、ちょっとトイレに行ってきます」
 鍋料理のせいか、案外お酒を飲んでいて、立ち上がると少しふらついた。
 そして、トイレから戻ってくる途中、廊下にハルカラママが立っていた。トイレ待ちかな。

「おトイレ、空きましたよ」
「アズサさん、娘を長い間見守ってくださってありがとうございました」
 不意を打たれた。
 丁寧にハルカラママが頭を下げていたのだ。

 あれれ、こんな真面目な人だったっけ……?
 私も途端に素面に戻る。

「アズサさんもご存じでしょうが、あの子は本当にいいかげんで、確実にアズサさんとほかの皆さんにもご迷惑をおかけしているかと思います。それでも温かく迎え入れてくださって、親としてお礼の言いようもありません」
「いえいえ。こちらも楽しませてもらってますし。そんなにかしこまらなくてもいいですよ」

「そう長くは話しませんので、少しだけお付き合いいただけますか?」
 こう言われたら、同意するしかないよね。

 私たちは空き室の縁側に移動して、座った。そう、靴を脱いで上がる構造のためか、庭が見える縁側的な場所もあるのだ。そのあたりも日本の家屋にちょっと近い。

「あの子、最初は何度か会社勤めをしたんですけど、遅刻とかミスが多くて長く続かなかったんです。学校の成績はよかったんですけどね。その時は、ああ、やっぱり私たちの子供だなと思いました」
「雇われる側には向かない性格かもしれませんね……」
 小さいポカをコンスタントに起こして、点数を下げていくタイプだからなあ……。最低でも出世はできないだろう。

「それで、ある時、自分で会社を作ると言い出したんです。私たち家族は危ないからやめておけと言いました。うちの家族で起業とか借金こさえるだけだって」
「失礼かもしれませんが……わかります」
 ハルカラママに笑われた。会社って失敗すると、貯金がなくなるどころか借金を抱えるからなあ……。どうしても博打みたいな要素がある。

「あの子、自分は人を使う側ならきっと上手くいくって言って譲らなかったんです。あの子があんなに頑固になるの初めて見ましたよ」
 昨日のことのように、外の月を眺めながらハルカラママは微笑む。
「ハルカラなりに家族を助けようって気持ちもあったんじゃないですかね。ハルカラ、家族の悪口を私の家で言ったこと、全然ありませんでしたから」
 ハルカラママは静かに「そうですね」と相槌を打った。

「あの子、商才があったんですよね。どうやら、経営者としては有能だったようで、かなり稼いでいました。ただ、トラブルでここにいられなくなって、行方をくらませて、アズサさんのところで保護されたという次第です」
「はい、家族として楽しく過ごさせてもらってますよ」

「重ね重ねありがとうございます。今後とも娘を頼みます」
 ハルカラママ、無茶苦茶いい人だな。
 目頭が熱くなってきた。ちょっと涙がたまってくる。

 まずいな。目を赤くして戻ったら何事だと思われるぞ……。

「私はしばらく、ここで風にでも当たっています。酔いを醒まします」
 私はそう言って、エルフの町の夜風を受けていた。

 私もハルカラの家族に負けないような家族を作らないとな。そこにいるみんなが幸せって思えるるのが一番大事なんだ。

 十分ほど一人でそこにいて、鍋の部屋に戻った。そろそろお開きも近い時間だよなあ。

 だが、やけに部屋が騒がしかった。
「うえぇ……飲みすぎました……。一歩も動けません……」
 ハルカラが青い顔でうずくまっていた!
「ほら、ハルカラさん、せめてお手洗いまで行きましょう」
「ライカさん、ダメです。今、動かすのは極めて危険です……。そう、胃が訴えかけてきています……」

「ったく、お客さんの前でつぶれるなよ……。桶でも持ってきてやるよ。あっ、急に立ち上がったら俺も酔ってたわ……」
 ハルカラ兄の顔色も急激に悪くなった!

「おい、人様の前で吐いたりしたら承知せんぞ――なんてことを口に出したら、自分も吐きそうになってきた……」
 ハルカラパパも口押さえだした!

「ライカ! もう、みんなを庭まで連れていこう! このまま放っておくのはまずい!」
「わかりました、アズサ様!」

 なんというか、酒でどんどんつぶれていくハルカラ一家を私たちが介抱するという謎の展開になりました……。
 こういうところも含めてハルカラ一家らしいや……。

 唯一、酔いつぶれなかったハルカラママに改めて謝罪された。
「ほんと、こういう家族なもので……。ごめんなさい、ごめんなさい……。学習能力がないんですよ……」
「いえ、こんな家族も面白くていいんじゃないですかね……?」
 フォローする私も自信がなくなってきた。
 家族が幸せとはいえ、もうちょっとまともなほうがやはりいいのではないだろうか……。

 そこに、ハルカラ妹と思しき女の子が帰宅した。
 この子も童顔だが、胸が大きい。これ、学校とかで目立っただろうな……。
「う~、友達と飲み会行ってきて、飲みすぎて気分悪い……。人が三重に見えるよ……」

 やっぱり酔ってるのかよ!
「アズサ様、我とアズサ様でどうにかしましょうか……。このまま、家族を放置して帰れません……」
「だね、ライカ……」

 その後、ハルカラ家族の酔いが醒めるのを待っていたら、宿に入る時間が予定よりかなり遅くなりました。
ハルカラの家族訪問編はこれでおしまいです。次回はちょっとだけ新展開です!
本日「スライム倒して300年」5巻の発売日となりました! コミックス1巻との連動特典もありますのでよろしくお願いいたします!

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