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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフが来た編

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25 身バレしそうになった

点数1万8000点を超えました! ありがとうございます!
 まずは村の目抜き通りでもある、商店が並んでいる道を歩こうか。

 そして人を見かけたら、片っ端から「おはようございます」「おはようございます」とあいさつしていく。気分は選挙前の政治家だ。

 もちろん、「おはようございます」を言うのが目的ではない。ハルカラを紹介するのだ。

 まず、通行人のおばあちゃんを発見。

「おはようございまーす」
「おやおや、高原の魔女様、おはようございますじゃ」

 フラタ村で高原の魔女である私を知らない人間はいないので誰に対してもしっかりあいさつできる。

 支持率百パーセントだ。独裁政治体制の上でしかありえないような状況である。これも私が三百年かけて築きあげた信用である。

「今日は私の新しい弟子を紹介に参りました。エルフの弟子、アキカナです」
「ア、アキカナです……。薬作ってますー! 頑張りますー!」
「おお、エルフさんか。この目で見るのは珍しいのう。よろしくですじゃ」

 よし、一人目終了。

 これを延々とやっていけば、アキカナはきっとフラタ村に溶けこんでいくだろう。変なエルフが増えたなんて思う人もいなくなるはずだ。

 なお、アキカナとは当然偽名だ。
 ハルカラですと紹介したら手配書を知っている人間にバレる恐れがある。

 しかし、自己紹介は途中からどうも変な空気になってきた。

 村の人の二人に一人がぎこちない反応をするのだ。

 最初はよくわからなかったが、だんだんと原因がわかってきた。

 男性がほぼ百パーセント、ハルカラの胸に目がいって、戸惑いさえ覚えていたのだ。

 途中、「こ、こんな胸、村では見たことない……」と言ってるおじさんや、「お姉ちゃん、おっぱいでかすぎ!」と言ってる少年がいたのでほぼ間違いない。

「ねえ、男ってこんなに胸を見るものなの……? 漏れなくにもほどがなくない?」

 こんなの、百パーセントなんてことがありえるのか。独裁政治体制の上でしかありえないような状況である。十人に一人ぐらいは巨乳は苦手って人とかいるんじゃないのか?

「あぁ……こんなもんですよ……。見られてるって、わかります。男の人に注目されるのは恥ずかしいですが……もう宿命みたいなものなので……」

 ハルカラは諦めているようだった。胸が大きいって意外と大変なんだな。

 男性陣の率直な反応に戸惑いつつ、村の雑貨店に寄った。
 ここは私の薬を委託で置いてくれている店なのだ。そこにハルカラの薬も置いてもらうという魂胆である。

 とくに拒否られる理由もないので話はあっさりとついた。

「エルフの調薬師、アキカナです。よろしくお願いしますー。こちら、わたしが作った丸薬ですね。こっちが胃腸に効くほうで、そっちが栄養補給に使えるものです」

 店のおじさんも「あいよ。高原の魔女様の弟子なら、しっかり売るからな」と言ってくれた。

 しかし、そこでなぜかおじさんの表情が曇った。

「あの、お嬢ちゃん……調薬師をやってたんだよな……。キャリアは何年ぐらいになる?」

「あぁ、もしかして弟子になったばかりで薬の成分に不安を覚えてますか!? 弟子になったのはここ最近ですけど、調薬師自体は最低でも何十年もやってますから!」

「そ、そうか……。つまり、調薬師としては長いエルフなんだな……」

 なんだ、この尋問めいた空気は。
 そんなに怪しまれるような要素なんてあるか?

「ちなみに何州の出身かな?」
「フラント州ですけど」

「なるほど……。いや、気にしないでくれ……。きっと、何かの間違いだ。そうに違いねえ……」

 ものすごく何なのかと聞き出したいが、聞くと藪蛇になりそうなので、そのまま退店した。

「さて、メインの目的は終了したし、あとはあいさつ回りして帰るだけだね」
「そうですね。あの、さっき、やたらとわたしの身元を聞かれた気がしたんですが……。州がどことか……」
「方言が気になったりしたんじゃないかな? ほら、イントネーション的なものって地域差あるしさ。はは……」

 そのあともあいさつ回り中、やたらとハルカラがじろじろ見られた。
 さっきまでは男性から胸へ視線がいっていただけだったのに、今度は女性陣からの視線も増えている。

 何かおかしいだろ……。しかも、この短時間のうちに変化が起きている。

 最後に私たちはギルドのところにあいさつに行った。

「ナタリーさん、おはようございます。今日は私の弟子を紹介に来ました」

「うわあああ!」

 なぜかナタリーさんが席を立って、あとずさった。
 なんだ、その妖怪見たような反応……。

「あっ、エルフの調薬師、アキカナです……今後ともよろしくお願いします……」

「あの『栄養酒』をフラント州で製造されていた方ですか……?」

「あ~、よくご存知ですね~。いや~、こんな離れたところでも知られているだなんてちょっと感激しちゃいました~」

「実は、今日の朝、冒険者の方がこのギルドに来られてですね……こういう人がいたら教えてほしいと……」

 ナタリーさんが出してきたのは――ハルカラが私たちに提出したあの手配書(ただし、魔族語から人間語に翻訳済)。

<フラント州で『栄養酒』という商品を作った調薬師のエルフの女、ハルカラを捜しています。現在、フラント州を失踪中。身体的特徴:胸がとても大きい。捕まえられた方には豪華賞品1500万ゴールド相当をお送りします。魔族ベルゼブブ>

「うわあああああああああああああ! 広まってるうううううううう!!!!!!!」

 ハルカラが叫んだ。私も叫びたかった。

 だから、やたらとみんなハルカラに注目してたのか……。もしかして、このエルフじゃないのかって思ってたのか……。偽名使っててよかった……。

「へえ、フラント州のエルフが。偶然もあるものですねえ。でも、名前が違うから私の弟子であるアキカナとは全然関係ないですねえ」

 力技で押し切る作戦。

「は、はあ……そうですよねえ……」

「ところで、この手配書を持ってきた冒険者の人って、どこに行きました?」

「この村にエルフはいないかとさっき急いで回っていたようでしたが、この村にいないと思ったらしく、もう、ほかの村に行ったようです」

 ちょうど、その冒険者とは行き違いになったのか。
 不幸中の幸いだけど、そのうち知られるな……。

 大至急で対策を考える必要が出てきた。
じわじわベルゼブブの足音迫ってきてますね。次回、対策をします。

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