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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

海に海水浴に行った編

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256 モデルをやらされた

 こうして、海での一日は(ハルカラが助かったので)無事に終わった。
 私たち全員が砂浜に戻ると、クラゲたちはまた、ぶわ~っと光りながら拡散しだした。

「泳ぐことはできないけど、この発光は悪くないわね~。たまに光らせてみたら?」
 ユフフママがキュアリーナさんに何か提案していた。
「別にいいけど、それに何の意味が?」

 と、海辺に住んでる人たちがなにやら集まってきた。
 みんなの視線の先はきらめいている海だ。
 ああ、これって異常な現象だった。
「すごい、すごい!」「無茶苦茶きれいだ!」「きっと観光資源になるよね!」

 あっ! 海水浴はできなくても、このクラゲの光景を見に、人が訪れるなら、地元はうるおうな!

「せっかくだから、休日だけでいいから光らせてあげて。クラゲに悪意はないけど、クラゲが迷惑かけてるわけだしさ」
「そうですね。ユフフさんがそう言うなら、そうすることにします」
 よかった、よかった。この町にも貢献できたのなら、素晴らしいことだ。

 さてと、今日はこの港町の宿に泊まるんだった。せっかくだし海の幸を食べたいな。

 キュアリーナさんに肩をぽんと叩かれた。
「では、約束どおり、お願いしますね」
 約束? 何の話だろう。
「絵のモデルになってください」

 すっかり忘れていた。その役目を果たさないと……。

「いいけど、水着でというのは恥ずかしいし、今度、高原の家に来てくれる?」
「はい、それでけっこうです」



 数日後。
 何の前触れもなく、キュアリーナさんが家を訪れた。
 このあたりのつかみどころのない行動は、やっぱりクラゲの精霊的だと思う。

「そんなに時間はかかりませんから、よろしくお願いします。椅子に座っててください」
 こう言われたら従うしかない。言動に誤りはなく、何時間も座るような必要はなかった。十五分も座っていれば、おおかたの雰囲気はつかめたと言われた。

 その代わり、私だけじゃなくて、ほかの家族もモデルをやらされた。こんな機会も滅多にないし、悪いことではないだろう。

「完成はしばらく時間がかかりますので、できたら持ってきます。それじゃ」
 ふらっとキュアリーナさんは帰っていった。マイペースな人だ。今日もこの国のどこかを徘徊していたのだろうか。

「ママ、ファルファ、かわいく描いてくれるかな~?」
「ファルファはものすごくかわいいから、あの人もかわいく描くしかないよ」
 わかりやすい親バカ発言をしたが、実際、どうなるのかはまだわからない。

 そして、一か月後。
 寒さがいちだんと厳しくなった頃、ふらっとキュアリーナさんがユフフママと一緒にやってきた。
 ちょうどその日はベルゼブブやペコラといった魔族のメンバーまでごはんを食べに(勝手に)来ていたので、とんでもない大所帯になった。

「絵の数が多いので、広いスペースがあれば貸してもらえませんか? 展示していきます」
「それなら、廊下の奥に空いてる空間があるから、そこを使って」
 喫茶『魔女の家』の時などに使っている、ウッディなスペースの空間がこの屋敷にはついている。ライカが元の私の家の一部を破壊しちゃったあとで、作りなおした部分だ。

 普段は広すぎて持て余し気味で、風呂上がりとか通る時に寒かったりするんだけど、こういうイベントの時にはちょうどいい。

 ちょうど食事が終わった頃、キュアリーナさんが用意ができましたと言いに来た。

 自分が描かれているというのは緊張するな……。

 絵はとても上手にできていた。正真正銘の放浪の画家だと思った。
 ただ、どの絵の私もものすごく陰鬱な表情をしていた! バックもやたらと暗い!

「おかしい! 私、もっと明るい顔でモデルやってたでしょ!」
 暗く描かれないように笑みを絶やさないようにしてたはずなのに!

「内面を表現してます。内面を」
 どうして内面と二度言った。

 ほかの家族の絵も同様だった。ファルファとシャルシャが並んで本を読んでいる絵も、二人とも目が死んでいた。嫌々、勉強している感じが出ていた。
 ハルカラが座っている絵の背後には恐ろしげな亡霊が立っていた。いや、この亡霊って……。

「アタシ、こんな不気味じゃないですよ! 本当に呪い殺すタイプの幽霊じゃないですか!」
 ロザリーが抗議している。やはり、ロザリーか……。

 ライカが料理を作っている絵も、フラットルテがベッドで寝ている絵も、やたらとつらそうだ。フラットルテの絵とか、三十分後には死にそうだ。

 ほかにも私が草を摘んでるところを描いた、そんなポーズをとってない絵も飾ってあったが、やはり恐ろしかった。

 サンドラの絵は土から何者かの手が出ている絵で、もうゾンビじゃん……。

「あんまりよ……。こんなのだったらモデルをやってないわよ……」
 サンドラも抗議していた。
 この人、なかなかやってくれたな……。

 一方でペコラとベルゼブブは爆笑していた。
「いやあ、秀逸な絵じゃのう。心に迫るものがあるわい!」
「申し訳ないですが、お姉様の強さというか、すさまじさが表現されてますね」

 あなたたち、他人事だと思って……。

「今まで哀愁を描くことが多かったのですが、恐怖を描くというほうに幅も広がりました。ありがとうございます」
 キュアリーナさんに礼を言われた。そんなところで貢献するつもりはなかった。

「記念に一枚差し上げますが、いりますか?」
「いりません。適当にどこかで売っぱらってください」

 だが、この選択は間違いだったかもしれない。

 キュアリーナさんは、そのあと、王都で個展を開いたらしい。
 そこで高原の魔女の家シリーズの絵がやたらと評価されて、高く売れたという。
 それだけならいいのだが、やはり高原の魔女はとんでもない存在だという話になっているのだとか……。

 これ、深刻な風評被害にならなきゃいいけどな……。
 知ってる人が有名になるのも考えものだなと思った。
海水浴編はこれでおしまいです! 次回から新展開です!
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