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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

海に海水浴に行った編

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254 クラゲをどける

 そうだった。用件をまだ伝えてなかった。

「あの、海水浴をしたいなと思って来たんですけど、クラゲが多くて泳げないんです。一時的にどけてくれませんか?」
 クラゲの精霊に対して失礼な質問かもしれないけど、それを言わないとはじまらないからな。

「それは、やれないこともないです。が、とっても面倒くさいです」
 そうなんだ。自由自在にクラゲを操れるわけじゃないんだ。

「クラゲが溜まらないようになる水の流れを、波の精霊に頼んで作ってもらわないといけないので」
「クラゲそのものを動かすことはできないんだ!」

「はい。クラゲは何も考えず、流れに身を任せているだけなので、テレパシーで呼びかけても効果がないんです」
 じゃあ、クラゲの精霊のキュアリーナさんに来てもらった意味、何もないんじゃ……。波の精霊に頼むべきだったんじゃ……。
 ユフフママも、てへっとでも言いたそうな顔で舌を出している。このあたりも含めて、精霊はいいかげんだ。

「ちなみに、キュアリーナさんはクラゲにどういう影響を与えられるんですか?」
「…………クラゲの模範になるように放浪の生活をしてます」
 それ、絶対に影響与えてないだろ。

 ぼそぼそっとハルカラが耳打ちしてきた。
「お師匠様、この人、どこかおかしいですよ……。大丈夫ですか……?」
 といっても、来ちゃったものはしょうがないし、どうにかしてもらおう。

「ほら、キュアリーナってクラゲを発光させられたでしょ?」
「ああ、そういえば」
 ユフフママに教えてもらって、キュアリーナさんは納得した顔になった。なぜ、他人に自分の能力を教えてもらうのか。

「でも、最近、使い方を忘れたので思い出したらやります」
 ……この人、そのうちクラゲの精霊、クビになるんじゃ。クビという概念もないのかもしれないけど。

「今から、波の精霊にお願いしてきます」
 うん、こっちとしてはクラゲがどいてくれれば、それでいいのだ。
「その代わり、条件があります」
「げっ……。いったい何ですか?」
 こういう何を考えてるかわからない人の出す条件は一抹の怖さがある。

「絵のモデルになってください」

 精霊らしからぬ要求だった。
「はい。それぐらいならお受けします……」
「感謝です」

 すると、ぱっとキュアリーナさんは消えた。
「面白い子でしょう? ふふふ~」
 ユフフママは心が広いので、ああいうタイプもいとおしいらしい。
「独特の感性をしてるね……。いかにも、クラゲの精霊という気もするけど……」

 その間にライカとフラットルテも帰ってきたので、私はいきさつを説明した。
「ふうん。何も考えずに旅をしてる精霊とか、聞いただけでもバカそうなのだ」
「あなたとは話が合うかもしれませんよ」
 ライカがフラットルテに言ったが、おそらく話は合わないと思う。フラットルテとは違うジャンルだ。

 そして、三十分後。
 また、キュアリーナさんが唐突に現れた。
「あら、けっこう時間がかかったわね~」
「波の精霊に頼みに行ったつもりが、間違って滝の精霊のところに行ってしまってました」
 本当にいいかげんだな、この精霊!

「そこでお茶を出されてしまって、すぐに動けなくなって、時間がかかりました。波の精霊と交渉した結果、肩叩き三分で話がつきましたので、安心してください」
「海を操る効果、肩叩き三分でいいんだ!」
 そんなお手軽に海っていじってよいものなのか……。

「精霊同士だから肩叩き三分で済んだんですよ。人間が頼んだら肩叩き三万分とか要求されるかもしれません」
 それは、肩が壊れそうな気がする。

「というわけで、クラゲを動かしますのでお待ちください」
 ぱんぱんとキュアリーナさんは海に向かって、手を叩いた。

 次第に波の動きに変化が起こる。
 そして、クラゲも次第に左右にどくように移動をはじめた。
 まるでモーゼが水をさえぎったように、クラゲがちっともいない空間ができていた。
 端のほうでクラゲの密度が高くなって、こんがらがっているように見えるけど、クラゲの精霊がやったことだからいいだろう。中央部はすっきり、クラゲが消えている。

「それじゃ、好きなだけどうぞ」
 天然だけど、いい人みたいだ。ユフフママとも仲良さそうだしな。
「ありがとうございます。しっかり海を満喫しますね」

 すでにファルファとシャルシャは海に駆けていっていた。
「海の水、気持ちいー!」
「母なる海。豊饒の海。罪人に罪を布告し、償わせる海……」
 シャルシャ、最後のやつだけ何かタイプが違うよ。

 ハルカラはぷかーっと水に浮かんでいた。
「ああ、なつかしいですね。夏はこうやって川に浮かんでいたものです」
 そんな夏の風物詩があるのか。

「それで気持ちよくて寝てしまって、そのまま下流まで流されたりしましたね~」
 ハルカラはもっと命を大切にしろ。薬を作るより先にやるべきことがある気がする。

 ライカとフラットルテは泳ぎで競走していた。二人ともクロールを習得している。
「我のほうが速いですね!」
「いいや、フラットルテ様のほうが上なのだ!」
 なんだかんだでちゃんと競い合っている。その点は評価したい。

「ママ、ヒトデさん見つけたよ!」
「こんな形状の生物がいるとは海の神秘」
 娘二人も念願のヒトデを手にすることができたらしい。

「おめでとう! よかったね! 海は楽しい?」
「うん!」
「楽しいというより興味深い。高原とはまったく異なった生態系」
 二人の目は輝いている。その目を見るだけでも、ここに来てよかった。

「ちなみに二人は泳げるの?」
 同じタイミングで首を横に振られた。
「ママが教えてあげるよ。まずは水に顔をつけて、目を開ける練習からね!」
 インストラクターの資格なんて持ってないけど、私なりに泳ぎを教える。手を持って、バタ足をやってもらう。

 ファルファは早くコツをつかんで、バタ足で十メートルぐらいは泳げるようになった。
 ただ、シャルシャのほうはすぐに沈んでしまう。このあたりで双子でも違いがあるんだな。

「うう……体が水に反発している……」
「水を怖がって、体が硬くなってるよ。シャルシャはもっとリラックスして」
「言うは易し、行うは難し……」
 呑み込みのペースに差はあっても、一回感覚がわかれば泳げるようになるはずだ。

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