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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

海に海水浴に行った編

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253 新しい精霊

「いえ、したたりの精霊のユフフさんです」

 その名前は想像していなかった。
「ユフフママって、もっと山のほうにいるイメージだったんだけど……」
 だって、家があるのも滝の近所だしね。山のほうが湿ってる場所って多い気がしていた。

「洞窟の中に、水がしたたって、じめじめしてるところがありまして、そこにあの人がいたんです。たまには海でバカンスしようと思っていたんだそうです」
「バカンスって、海辺のじめじめしてるところでするものじゃないだろ」
 恋人をそんなところに連れていったら、別れ話に発展するぞ。

 でも、ユフフママの存在は停滞気味だった空気の起爆剤にはなった。
 ていうか、もうユフフママがいた。いつのまにやら、ロザリーの横にいた。霊以上に神出鬼没だ。
「ふふふ、みんな、お久しぶりね。こんなところで出会うだなんて奇遇ね~」

「私もびっくりしてるよ。不思議なこともあるもんだね。で、ユフフママも水着なんだね……」
 精霊のユフフママもビキニ姿だった。そして、胸が大変、大変大きい。まさしく大変なことになっている。これはもう犯罪級を通り越して犯罪じゃないだろうか。
 差がつきすぎて、うらやましいという気持ちも感じなくなってくるな……。

「ほら、やっぱり海といえば水着でしょ? 洞窟の中の水がしたたるところで、満喫してたわ。けっこう、カニとかハゼとかいろんな生き物がいるのよ」
 ぶっちゃけ、ビキニとの相性、悪いと思う。

「ほとんど光が当たらないところで、ぽたぽた水が落ちてくる音が聞こえるの、いいわよね。自然が奏でる音楽よね~」
「うん……人の感性は人それぞれだよね……」
 なんで、そんな不気味な場所に行く人がこんなに陽性の性格なのか謎だけど。

「ところで、あなたたちはみんな、ばらばらに行動してるのね。アズサ、あなたも娘たちを連れてきた親って感じよ」
 ユフフママにもそこのところはすぐに悟られたようだ。
「実はクラゲがたくさんいてね……」

 私は事情をかいつまんで話した。といっても、要約するほどのことは起きてない。クラゲがいて海水浴が中止になったということがすべてだ。
「あ~、クラゲは厄介らしいわね。どうも、浅瀬に集まってくるようになっちゃって、海水浴は難しくなってるそうよ」
「そりゃ、水着も売らなくなるわけだ……」

 それでも、知ってる顔と再会したわけだし、世間話でもするか。みんなで市場を出歩いてもいいな。
 だが、そこで意外な情報がもたらされた。
「クラゲをちょっとどかすことぐらいなら、できないこともないわよ」

「えっ、ユフフママ、ほんと?」
 これはいいことを聞いたぞ。何か魔法でも使って、まとめて退治するのかな。でも、クラゲも生き物だし、無駄な殺生はあまり好ましくはないけど。
「クラゲの精霊は知り合いだから、聞いてみてあげるわ」

「精霊の世界、なんでもありか!」

 おかしいだろ……。精霊って火とか風とか、そういうのが基本でしょ? クラゲの精霊って、もはや管轄範囲が生物になってるじゃん……。

「そんなにおかしなことはないわよ。ほら、スライムの精霊であるあなたの娘も、水属性の精霊よね?」
「……ああ、そうだった。スライムって体の大半が水だもんね――あれ?」
 スライムとクラゲのとある共通点に思い至った。
 ユフフママも、そうよ、そうなのよという顔をしている。

「クラゲは体のほとんどの部分が水でできてるわ。だから、クラゲの精霊もいるの。彼女に頼めば、どうにかしてくれるわ」
 彼女ということはクラゲの精霊も女子なのか。
「ちなみに、クラゲの精霊さんはどうやってコンタクトをとるの?」
「知ってる精霊を呼び出すのは簡単よ。ちょっと待っててね」
 そう言うとユフフママは突然消えてしまった。

 そして、約十五秒後。

 ユフフママと一緒に髪の毛が長い女の子が出てきた。
 ちなみに黒髪が左目をほぼ隠してしまっている。ちょっと、幽霊っぽい感じもあるな。少なくとも陽気な印象はない。

「どうも。クラゲの精霊のキュアリーナです。こんにちは」
 声もあまり威勢がいい感じじゃないが、暗いというかマイペースという印象だった。それと背中に大きめのリュックサックのようなものを背負っている。
「こんにちは。私は高原の魔女のアズサです。そっちのしたたりの精霊ユフフさんの――」

「――娘です」とユフフママが言った。事情を知らない人が聞いたらややこしくなりそうだけど、とくにキュアリーナさんは何も言わなかった。

 そのあと、ハルカラとロザリー、それと砂のお城を作っていた娘二人にサンドラもあいさつをさせた。ドラゴン二人はまだ戻ってきてない。

「キュアリーナはね、全国を旅してるの。放浪の画家よ」
 そうユフフママが紹介してくれた。
「はい。世界中をぶらぶら歩いて、絵を描いて、それを売って、お金をもらって、旅の資金にしてます」
 ずいぶん自由な生き方をしてるなと思ったけど、気ままな一人旅というのが、まさにクラゲらしい生き方と言えなくもない。

「ちなみに、どんな絵を描いてるんですか?」
「見ますか」
 そう言うと、キュアリーナさんはリュックサックを砂浜に置いた。この中に絵が入ってるのか。

 最初の絵はブランコに子供が暗い顔で座ってる絵だった。
 背景がやたらと黒いので、かなり不気味に見える……。
 二枚目は街で行商をしてるおばさんが暗い顔をしてうつむいてる絵だった。
 三枚目は羊飼いの男が暗い顔で羊を追っている絵だった。

「やたらと全部陰鬱なんですけど、なんでなんですか!?」

「ありのままの世界を表現しようとすると、そうなるんです」
 芸術性は高いのかもしれないけど、あまり部屋に飾りたくはないな……。
「ちなみに暗いので、全然売れません」
「やっぱりか!」

「ところで」
 キュアリーナさんのほうから切り出してきた。
「ユフフに呼び出されたので来ました。何か御用ですか?」

 そうだった。用件をまだ伝えてなかった。
おそらく10日後ぐらいには、コミカライズ1巻も、GAノベル5巻も出ているかと! お待ちください!

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