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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

海に海水浴に行った編

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250 水着選び

 結論から言うと、ハルカラも来た。
「海辺に生えてる野草とかもありますので、そういうのを探そうかなと」
 まっとうな理由だ。海水浴ってガチで泳ぎたい人が行くものでもないしね。

 私たちはドラゴン形態になったライカとフラットルテに乗って、南のブビルン浜というところを目指した。そのあたりが一番温暖らしい。日本で言えば、沖縄県に当たるようなところか。

「アズサ様、あと、そのブビルン浜にはマーフォークの水着ショップが多いようです。まずは水着を購入しないことには泳げませんからね」
「たしかに。実はスタートラインはそこなんだよね」
 高原であるナンテール州には水着を売っている店などまったくない。海を見たことがない人のほうが圧倒的に多いだろう。
 なので、まずは水着を入手する必要がある。泳ぐのはそれからだ。

「あ~、だんだんと空気が生ぬるくなってきたのだ……。不快なのだ……」
 フラットルテはブルードラゴンらしくあまり楽しくないようだ。
「この方が不快と言っているということは目的地に近づいてきたということですね。もうすぐですよ」
 フラットルテの反応がバロメーターになっている……。

 高速で移動できるドラゴンでの旅とはいえ、泳げるほどの南国ということで、なかなか時間がかかったものの、どうにか私たちはブビルン浜に着きました。

 ブビルン浜近くの市場ではいろんな海産物を売っていた。
 マーフォークも本当にいる。ちゃんと足の部分が魚になっている。地面をするようにして移動していた。誰も不思議そうな顔はしてないから、ああいう動き方なのだろう。

 ただ、市場の内容には問題があった。

 ――海苔・カツオ・イカ・タコ・ウニ・エビ・イソギンチャク・ウミウシ、海のものを各種取り扱っている店。
 ――釣り用の道具屋。
 ――干物に特化したお店。
 ――貝殻を加工したブローチなどを扱っている店。

 いろんな店はあるけど、水着を売ってる店がない!

「あれ……水着って、そんなにレアなの? でも、釣具を扱ってる隣にかわいい水着のお店とかないか……。そういうの、モールとかで売ってるのかな……」
 これでは南国の観光で終わってしまう。思った以上にないぞ……。

 こういう時、商売人らしく人見知りというものがないハルカラが市場のおばちゃんに水着のことで質問をしていた。

「お師匠様、水着を売ってるお店は最近流行らないので、ずいぶん少なくなってしまったようです。マーフォークには需要がありますけど、マーフォークは海の中のマーフォーク用の店で買うので陸上の市場には出てないらしいですね」
「えっ、海水浴という概念自体が流行遅れなの……? その発想はなかったぞ……」
「一応、売ってそうな店は聞いてきましたので、そこまで行ってみましょう」
 このあたりのフットワークの軽さは見事だ。いいかげんなところを除けば、ハルカラは優秀だな。

 この世界の水着ショップってどんな店なんだろう? おしゃれな店なのかな?
 わくわくしながら、そのお店のところまで行った。

『ホウキから物干しざおまで日用品ならなんでも揃う ネネ雑貨店』

 想像してたのとかなり違う!
 マジか? 店頭からお鍋とか革袋とか置いてあるけど、ここで水着もあるのか? タモ網みたいなのしかないんじゃない……?

「これ、違うんじゃないの……?」
 サンドラもあきれていた。私も似た意見だ。
「いえ、間違いなくここです。店名も聞きました。すいませーん。誰かいませんかー?」

 ハルカラが呼ぶと奥からおばあちゃんがゆっくりと出てきた。
「はいはい、何をお探しかね? ハエ取り紙? ひしゃく?」
「いえ、水着ありますかね? できればかわいいのがほしいんですけど」
 ハエ取り紙売ってる店でかわいい水着を買おうとする人、初めて見た。

「あ~、水着ね。あったとは思うよ。待っててね。取ってくるからね」
「お師匠様、ちゃんとあるようですよ!」
「うん……そうだね……」

 こんなん、まともな水着、絶対に出てこないだろ……。せいぜい全身タイツみたいなのがあるぐらいじゃないかな……。

 赤や黄色のあざやかな水着が出てきた。子供向けのひらひらがついたスカートみたいなタイプまである。
 水着、あるんだ! ネネ雑貨店、やるな!

「古いのしかないけど、どうかね? 水着を売る店もめっきり減ってきてねえ」
「お師匠様、どうでしょうか?」
「まったく問題ないよ! ここから選ぼう!」

 ちなみに水着の多くはビキニタイプだった。
 これは水着を開発したのがマーフォークなのと関係があるらしい。マーフォークにとったら胸を隠せればとりあえずそれでいいわけで、むしろ体の露出を減らしすぎるもののほうが違和感があるらしい。

「じゃあ、みんなビキニ系統でいいかな。ファルファとシャルシャ、サンドラはスカートみたいになってるのが似合うかな」
「ご主人様、フラットルテは裸でもいいです」
「着ろ」
 着ないという選択肢は認めない。

 ちなみにロザリーには好きな水着を選んでもらって、あとで着替えの魔法で服を水着に変えてあげた。
「姐さん、アタシ、うれしいです!」
「幽霊だからっておしゃれもしたいもんね。泳ぐことはできないかもしれないけど、ロザリーなりに楽しんでね」
「はい! 水着姿であっちのほうにいる溺死者の霊とでもしゃべってきます!」
 嫌なエンジョイの仕方だな……。

「私も海には入らないわよ。塩水は嫌だし。太陽は元気だから、浜辺で光合成をしてるわ」
「うん。サンドラもサンドラなりに楽しんでね」
 けっこう、この家族、海へのハードルが多いな。

 いい着替え場所がなかったので、ネネ雑貨店の部屋を借りて、私たちは水着に着替えることにした。ネネ雑貨店、ありがとうございます。

「しかし、こんなに水着が売れるとは思わなかったよ。珍しい日もあるもんだね」
 お店のおばあちゃんが驚いていた。

「ちなみに、このお店の売れ筋商品って何なんですか?」
「そうさねえ、潮風でもよく育つ植物の種と、高い枝でも切れるハサミかねえ」
 よくこのお店で水着、揃ったな。
ハエ取り紙って中世にはないと思いますが、ゆるい世界観のものなのでご容赦ください……。
ガンガンGAさんにて、コミカライズ7話が更新されました! ハルカラ登場です!!!

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