挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

海に海水浴に行った編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

251/282

249 海水浴に行こう

 高原の家の周囲にも、それなりに四季がある。
 とはいえ、夏は高原だから過ごしやすいし、雪もどっさり積もるというようなことはないので、そんなに不便ではない。

 まあ、あまりにも苛酷な環境だったら植物のサンドラが生活できないし、魔女に必要な薬のもとになる草花も入手できないしね。
 そのあたりは、私を魔女として転生させてくれた女神様が考えてくれていたんだろう。すごくゆるそうな人だったから適当だったかもしれないけど……。

 とはいえ、高原ということもあり、冬になってくると、朝晩の冷え込みはなかなか激しい……。
 その影響はいろんなところに出てくる。たとえば――

「では、特訓に行ってまいります!」
 と言って部屋を出ていったライカが、
「ただいま、帰りました……」
 と五分後に戻ってきたりとか。早い。早すぎる。いくらなんでも、もうちょっとやろうよ……。

「まったく、だらしないのだ。レッドドラゴンは意気地なしなのだ。フラットルテ様なんて元気いっぱいなのだ!」
 フラットルテが腰に手を当てて偉そうに言ってるけど、あなた、種族的に寒いほうが得意でしょ。なんか、セコいぞ。

「そういえば、バカは風邪をひかないという諺がありましたね」
 ライカがきっちり皮肉を言った。
「な、なんだと! た、たしかに……その諺はブルードラゴンを見た人間が作ったものだけど、そういうことは言うな!」
 ブルードラゴン由来なんだ! じゃあ、皮肉というか、たんなる事実なのか!?

「言われてみれば、ブルードラゴンって風邪とかひかなそうだね……」
「はい、ご主人様。ブルードラゴンは元気ですから、冬場にお酒を飲んで道端でそのまま寝てしまってもピンピンしてます」
 その様子がものすごくリアルに想像できた。

「ブルードラゴンは風邪なんてめったにひきませんね。もし、ひいた時は何か異常があるんじゃないかと医者に見せに行くぐらいです」
「いや、普通に風邪をひいても医者には行くでしょ……」
 フラットルテと話してると、だんだん私も混乱してきた。

「アズサ様、こんな寒い時期は火山にある温泉などいかがでしょうか?」
 ライカが面白い提案をしてきた。冬場の温泉か。悪くないな。夏場の温泉でもやっぱり最高だけど。
 しかし、ここにはフラットルテがいるので、妨害工作が来た。

「あったかいところなら、南のほうに行けばだいたいあったかいだろ。南のほうなら、この時期でも人間が海に入れるぐらいの水温のはずだぞ」
「いいじゃないですか。ケチをつけないでください」
 ライカは嫌な顔をしたが、私はフラットルテの言葉が地味に気になった。

「海か。長らく行ってなかったな。というか、前に松の精霊ミスジャンティーのところに行ったのが初だった」
 これは私が高原に住んでいるせいもある。高原は海から離れているのだ。

「ご主人様、前回のタジン村は漁港だったんで、今度はもっと南の海に行って、泳ぎませんか? 火山は暑すぎるけど、南の海程度ならフラットルテも楽しめます!」
「ほう、海水浴か。私の好奇心メーターが急激に上がってるよ。ただなあ……」
 懸念点も頭にすぐに浮かんだ。

「この世界って水着ってあるの? つまり、泳ぐ時に着る服……」
 日本で作られた中世ヨーロッパファンタジー風のゲームとかだと、当然のように女性キャラが水着を着ていた。本編で水着がなくても、なぜか特典で水着を着てたりしていた。でも、あれは絶対に諸般の都合のせいだろう。

 ファンタジー世界にビキニとかスクール水着とか競泳水着みたいなのがあるとは考えづらい。もっとも、水着の歴史とか調べたことはないから、案外あったのかもしれないけど。

「あ~、なんだ。そんなことですか」
 おっ、フラットルテの反応からすると、ちゃんと水着もあるのかな。即売会みたいなシステムがあったりするし、この世界、現代に割と近いのかな。

「服がぬれるのが心配なら裸で泳げばいいんですよ。問題ありません」
「問題あるわ!」
 裸で泳ぐのは嫌だから、気にしてたんだよ!

「裸で泳ぐとかはしたないですよ。ちゃんと、水着を着てください……」
 ライカが恥ずかしそうに言った。
「あっ……水着は本当にあるんだね……」
 これはとっても重要な情報を得た。

「水着というのは、今から三百年ほど前にマーフォークが開発した、水にぬれても動きやすい新素材です。女性のマーフォークが胸を陸上の人間に見られるのが嫌だからと作ったものだそうです」
「じゃあ、私がこの世界に来た頃にできたんだね」
 ちょうどいい時代に転生してきたのかもしれない。

「最初はマーフォークがマーフォークのために作ったものだったんですが、そのあと、人間用のものもほしいという依頼が増えて、広まっていったようです」
「いやあ、マーフォークさまさまだよ。それはとてもありがたい。だったら、海水浴も可能だね」

 そこにファルファとシャルシャが廊下から部屋に入ってきた。
「話は聞かせてもらった」
 シャルシャ、耳がいいんだな。
「ファルファたちも海に行きたーい! 本物のヒトデさん見たーい!」
「海には大変興味がある。以前のタジン村ではヒトデを見れなかったので」
 なぜ、娘たちはそんなにヒトデ推しなんだ。

「これは南国に海水浴に行くしかないね」
 私は家族を集めて、採決を行った。

「海か~。海っていうと、姐さん、あれですよね。捜査役が犯人を自白させて、崖から突き落とす場所ですよね」
「ロザリー、それはかなり限定的な知識だよ。あと、突き落とすんじゃなくて犯人が自発的に落ちるんじゃないかな? 突き落としたら捜査した人、ただの人殺しだよ……」
 なんで火サスっぽい概念があるのか。テレビ、絶対にないだろ。

 ちなみに反対意見というか乗り気じゃないメンバーもいた。
「潮風、あんまり受けたくないのよね。我慢できなくもないレベルだけど……」
 植物のサンドラにとっては海はあまり得意ではないらしい。

「そんなに興味はないですが、行けたら行きます」
 ハルカラは森がホームグラウンドのエルフらしく、海に対しての関心が薄い。
 その表現、ほぼ行かない時に使うやつだ。

「まあ、強制じゃないから。じゃあ、行きたいメンバーでちょっと海にでも行ってくるから、居残り組は留守番しててもらえるかな」
「行かないとは言ってないでしょ……。私も行くわよ!」
 サンドラは態度がツンデレすぎる。でも、家族揃って行けるならいいことだ。

「わたしは行けたら行きますね~」
 ハルカラだけは本当に来ないかもしれないな……。
今回から新展開です! よろしくお願いいたします!
そして、活動報告でサンドラの挿絵をアップしました!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ