挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

スライム使いライカ編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

248/282

246 スライム使いライカ

「「えええええええ!」」
 私たちはブッスラーさんの言葉に一斉に声を上げた。

「それは無理でしょ……。だって、スライムはいくらなんでも出場できないでしょ……」
「出場資格にはどこにもスライムは出られませんとは書いていません。ルール上は可能です!」
「いや、でも……そもそもしゃべるスライムの時点でものすごく珍しいから、変な奴らに目をつけられるかもしれないよ……。あなた、正体がスライムだって世間に口外してるわけじゃないでしょ……?」
「そ、そうですね……」
 スライムがわずかに動いた。もしや、首をかしげてるみたいな意味合いなのだろうか。

「ブッスラー流スライム拳はスライムの動きから開発したことにしていますが、私がスライムの姿、つまりモンスター出身ということがあまり知れるとよくないか……。街を歩いていても、退治する対象ですしね……」
 やはり、スライムの姿で大会に出るのは難しいだろう。そもそも許可が降りないのではないか。

「あ~、でも、三千万が。三千万、三千万……。三千万ゴールドほしい……」
 ものすごく名残惜しそうにしている!
「できれば、五千兆ゴールドほしい……」
 いくらなんでも、ほしい額をインフレさせすぎだ!

「わかりました! ここは我がひと肌脱ぎましょう!」
 ライカが胸に手を当てて、ブッスラーさんの前に立つ。

「我が『スライム使いのライカ』としてブッスラーさんと一緒に武術大会に出ます! 世の中には鷹匠などという職業もあることですし、そんなにおかしくはないはずです!」
「おお! ありがとうございます!」
 ぴょんぴょんブッスラーさんがはねた。これは喜びの表現と思われる。

「たしかに、それなら参加許可も得られそうだな。戦闘のほうはスライム姿のブッスラーがやればいいのだ」
 フラットルテも割とその案を評価しているようだ。

「はい。我はあくまでも参加するための方便のようなものですから、直接戦いには参加しないつもりです。それに我も本格的に戦うと二人で出場しているようになってしまいますし」
「いえ、お金はほしいので、もし私がピンチだったらライカさんも戦ってください」
 ブッスラーさん、セコい……。



 そんなわけで、ライカはブッスラーさんのスライムとともに、武術大会に出ることになった。
 私もライカの保護者みたいなものなので、同行した。それとフラットルテもライカのことがなんだかんだで気になるのかついてきた。

 冒険者に攻撃されても困るので、ブッスラーさんはライカの背中に載ってもらうことにした。

「あの子、スライム載せてる」「ペット?」「見た目、涼しそうだな」

 町を歩いてると、かなり注目されているな……。そりゃ、スライムとともに行動する人なんていないもんな。

「武術大会の登録はここの地元のギルドで行います。ギルドまで行ってください」
 小声で周囲には聞こえないようにブッスラーさんが話す。しゃべるスライムはあまり前例がないのだ。
「承知いたしました。我がいれば参加自体は可能でしょう」

 ギルドでも奇異の目で見られたが登録は問題ないようだった。

「あの、大ケガすることもありますけど、お嬢ちゃん、それでもいいかい? でも、君はドラゴンだからそのあたりは大丈夫かな」
「ええ。スライム使いとして全身全霊で戦います」
「スライム使い……。あまり聞いたことない職業だね……。その、君は大丈夫だとしても、そのスライムのほうはケガしたりとかしないかな……?」

「このスライムは我が長年育ててきた一級品です。そこいらのスライムとは格が違います」
「うん、だとしても……言ってもスライムだよね……。猛獣使いとかとは違うから、そんなに強くないんじゃ……」
「そんなことはありません。ご心配なく」

 受付の人はずっと半信半疑のままだったが、許可は得られた。

 そして大会がはじまった。
 この武術大会もまずは予選がある。参加者が多いので、三回勝たないと本番のトーナメントの出場権が得られないのだ。

 私とフラットルテは閑散としている予選会場の観客席に座る。
「ご主人様、ところでスライムの状態でどうやって戦うんですかね? あのままだとキックもパンチもできなきくないですか?」
「実は私もそれが気になってた」
 ブッスラーさんはスライムになってしまってから、とくにライカと特訓みたいなこともしていなかった。なので、どうやってスライムの姿で戦うのか私たちも見ていないのだ。

「まあ、武道家スライムって名乗ってたぐらいなんだから、それなりに戦えるんでしょ。少なくとも、武道家の人間がスライムになったわけじゃないんだし」

 スライム使いライカの一回戦の相手はスキンヘッドのいい体格をしたいかにも格闘ができますという人だった。
 私が出た武術大会もそうだったけど、スキンヘッド率高くないか?

「俺の対戦相手は少女……とスライムか。おふざけならとっとと帰ったほうがいいぞ。エルト道金剛拳の伝承者である俺とぶつかれば、骨ぐらいは折れることになる」
 謎の固有名詞でかっこつけられているが、まったく聞いたことがない。
「我はスライム使いとして正々堂々、戦いたいと思います。よろしくお願いします!」

 ライカは相変わらず、礼儀正しい。ぺこりとお辞儀をした。
 審判が「はじめっ!」と叫ぶ。

 ライカの腕からブッスラーさんのスライムが跳んだ。
「スライム使いの奥義を受けてください!」

 それっぽいライカの説明の間にも、ブッスラーさんはぴょんぴょん跳ねて、敵に接近すると――
 体の一部分が伸びて、鞭のように敵の足下を攻撃した。

 それは一種の打撃技だったのだろうか。敵がバランスを崩して、倒れそうになる。
 そこに、また鞭のように伸びたスライムの体が襲いかかる!

 そして、相手が宙に浮く。落下しそうなところをまた攻撃! 防御不可能な間にまた攻撃!

「これ、やっぱりハメ技じゃん!」
 このまま、敵は戦闘不能になるまで下段攻撃を受けて、予選一回戦はスライム使いライカの圧勝で終わった。
 ブッスラーさんはホップステップジャンプという感じで、跳ねる距離を大きくしながらライカの腕に収まった。
 審判がライカの勝利を宣言する。

「ご主人様、これって正々堂々と戦ったと言えるんですか……?」
 フラットルテが突っ込んできた。

「……敵を倒すために全力を尽くしているから、プロとして正しい行為なんじゃないかな?」
コミックス1巻の表紙とGAノベル5巻通常版表紙を活動報告にアップしました! 4巻再重版も決まりました! ありがとうございます!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ