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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

スライム使いライカ編

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245 ライカとブッスラーさんの手合わせ

今回から新展開です! よろしくお願いいたします!
「よっ! はっ! ていっ!」
「はっ! ほっ! えいっ!」

 今日は高原の家の前でブッスラーさんとライカが手合わせをしていた。この掛け声みたいなのは二人の声だ。別に祭りをやっているわけでも、餅つきをしているわけでもない。
 ブッスラーさんがライカに練習に付き合ってほしいとやってきたのだ。大相撲の出稽古みたいだな。

 お互い、パンチやキックを繰り出し、それを防ぐ。演武としてもなかなか悪くない。私とフラットルテ、それとサンドラが見学していた。

「ふうん。まあまあだな。だが、甘い。このフラットルテ様なら、あそこで尻尾を使って攻撃するぞ」
 いや、ライカはフラットルテと違って、尻尾はないから……。
「やっぱり動物は野蛮ね。植物は平和よ。剣を握ることも放火することもないわ」
 サンドラも動物差別はやめよう。植物が剣を握って攻撃してきたり、家に火をつけてきたりしたら嫌だけど。

「それでは、いきますよ。ブッスラー流スライム拳奥義! 下段強キック!」
 ブッスラーさんがしゃがみながら、ライカの足下にキックを繰り出す。でも、奥義というには地味じゃないか……?

「うわっ! 喰らいました!」
 ライカの回避も間に合わず、足にダメージが入る! さらに足への攻撃でバランスを崩したことで、体がふわっと浮き上がってしまう。

「ここで、さらに下段強キック!」
「あっ! 浮いてるところに、また来ました!」

 ライカが宙に浮いて地面につきそうになるところにまた下段強キックが入り、ライカの体が浮き上がる。
 そして、防御ができないところにまた下段強キックが入る!

「どうですか! 相手のバランスが崩れたところに、さらにバランスを崩し続ける攻撃をつなげることで、半永久的に相手を攻めることができるのです! これぞブッスラー流スライム拳奥義! 下段強キック繰り返しです!」

「これは、一種のハメ技!?」
 なんかセコい!
 でも、たしかにあのライカをずっと攻撃できているので、それなりに効果はあるのか!

「ブッスラーのやつ、勝負に勝つことだけに徹しているな。やはり、己の拳で生きてきた女なのだ」
 フラットルテは割と肯定的に見ていた。まあ、職業が武道家だからな。

「もうすぐ、大きな武術大会がありますからね! そこで優勝して賞金三千万ゴールドをいただくためにも、もっと強くならないといけないんです!」
 そこはわざわざ賞金額を言わなくていい!
「なお、エントリー料は五千ゴールドかかります」
 そんな料金はもっと言わなくていい!

 けど、ライカもたんなる小娘ではない。いや、手合わせをしている時点でたんなる小娘じゃないけど。
 ハメ技を受けながらも少しずつ体勢を立て直し――口から炎を吐いた。

 これぞレッドドラゴンの真骨頂。人間の姿をしていてもライカは炎が使えるのだ。

「うわあ! 炎なんて反則ですってっ!」
 ブッスラーさんはこの炎を受けて、ばたばたと火を消すために高原を転がった。あと、サンドラが「炎! 怖い、怖い!」と地面に隠れてしまった。植物だから火は恐ろしいらしい。

「あー、大丈夫ですか? そんな大やけどするほどの炎じゃないと思うのですが」
「はい、これぐらいなら、すぐに火は消えるかと……」
 ブッスラーさんも転がりながら答える。
 私は回復魔法も使えるのだけど、そんなものを使うほどではないようだな。
 お互い、それなりに手練れだし、手加減も心得ているだろう。

 しかし、異常は突然、起きた。
 転がっている途中、ブッスラーさんの体が少し変な方向に曲がったように見えた。
 ぐきっ! というような音が私の耳にも届いた。高原はまっ平らじゃないから、どこか痛めたか?

 すると、ブッスラーさんの姿が、次の瞬間――スライムに変化したのだ。
 エメラルドグリーン色をした、通常の個体よりは一回りほど大きいスライムがそこに出現していた。

「しまった……。体を変な方向に曲げてしまって……スライムの姿になってしまいました……」
 スライムがしゃべったので、やはりこのスライムがブッスラーさんだ。
 それで改めてブッスラーさんがあくまでもスライムだったことを思い出した。
 ブッスラーという名前も武道家スライムの略、武スラに由来する。

「いやあ、久しぶりにスライムに戻っちゃいました。では、人の姿になりますか――――あれ?」
 エメラルドグリーン色のスライムの体はまったく動いていないが、ブッスラーさんの中ではなんらかの葛藤があるらしい。

「あれ? あれれ……。あっ、痛めたか、これは痛めちゃったか……。腰をやっちゃったか……」
 そのスライムの姿のどこが腰かはわからないが、なんか痛めているらしい。

「困りました……。もうすぐ武術大会なのに……腰を痛めたせいで人間の姿に戻れません……。どうしよう……。これは全治二週間ほどかかります……。武術大会は五日後なのに……」

「人の姿に変身するのって、そういう体の要素が関係してるんだね」
 私はスライム姿のブッスラーさんに近づく。

「大変です……。武術大会に出れないと、今年の年収が大きく減ることに……。そればっかりは避けないと……」
「いや、そこはもっと大会に出られないことが悔しいとか、そういう系統のコメントしてよ!」
 スポーツマン(?)が年収の話題を露骨に出しすぎ!

「ごめんなさい。我の炎のせいですね……」
 ライカも責任を感じているらしく、しょんぼりしている。まあ、練習中に起きてしまったケガだからライカだけに非がないのは当然だが、ボクシングだろうとプロレスだろうと、相手に大ケガをさせてしまった側は気にはするだろう。

「いえ……回転をミスした私の問題です……。武道家をしていれば、ケガをすることだってあります」
 そこはブッスラーさんも人ができている。
「ですが、賞金額が大きな大会に出れないのはブッスラーさんの言うように、もったいないですね」
「いえ、そこであっさり損をする私ではないです」
 ブッスラーさんのスライムが言った。

「強硬出場します!」
「それはケガをおしてでも、人の姿になるということですか……?」
「いえ、スライムの姿で出場します!」

「「えええええええ!」」

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