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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

地方の婚活パーティー?編

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243 二人は成長しました

「では、再び、姉妹の入場っス!」
 待ってました! 料理もおいしいけど、ファルファとシャルシャを早く見たい!

 だが、拍手をしていると、なぜかミスジャンティーが私の真横に移動していた。私の周囲は暗いので、ちょっと怖かった。ユフフママもそうだけど、精霊は瞬間移動的なことが得意らしい。

「突然、出現するのやめてよ……。心臓に悪い……」
「さあ、新婦のお母さん、来てくださいっス。大事なお仕事があるっス」
「仕事って何をするの……? 受付の仕事はもう終わったし……」
「そんなのよりはるかに重要度が高いっス! 来てほしいっス!」
 そのまま私は暗い部屋の中を別室まで連れていかれた。いったい、何なんだ?

 別室には、ファルファとシャルシャがいた。
 ちなみに、二人はどちらもウェディングドレス姿。

「か、かわいすぎかっ! かわいすぎるよ! もはや犯罪だよ! かわいさレベルMAXだよ! 最強は私なんかじゃなくて二人だよ!」
 この世界にある、あらゆる比喩表現で二人のかわいさを表現したいという気持ちもあるのだけど、いざ、二人の目の前に立ったらかわいいとしか言えない。これ以上の存在がこの世界にあるだろうか? いや、ない。あるわけがない。

「ママ、ありがとう!」
「着付けは大変だったけど、母さんに喜んでもらえたなら、着た意義もある」

 念願のウェディングドレスだからかファルファはさっき以上にうれしそうだ。もう、最上級のにこにこ笑顔。本物の結婚式でもここまで笑顔で出てくる新婦はいないだろう。大好きなお菓子を食べてる時のような表情。

 そういう意味では、やっぱりファルファは子供なんだなと、ほっとする自分もいる。
 親のわがままかもしれないけど、あまり早く大人になってほしくはない。
 一方でシャルシャのほうはさっきみたいに緊張して硬くなってはいなかったが、照れたように少し赤ら顔でうつむいていた。幸せをゆっくりと自分なりに噛み締めているようだった。

 こんな時でも二人の反応は姉妹でもきれいに分かれている。でも、そんなところもまた、素晴らしい。二人のどんなところも私にとってはすべて素晴らしい!

 だが、まだここに来た理由がわからない。
「それで、ミスジャンティー、仕事って何をすればいいの?」

「結婚式といえば、新郎がまず入場っス。そして、新婦を父親が連れてくるわけっス。ほかの式では最初の入場の時にそれをやるケースもあるっスが」
 そこまで言われれば、だいたいのことはわかった。

「私は父親役の代わりをしろってことだね?」
 自分の顔を指差して言ったら、「そうっス」とすぐに返事が来た。そこはとくに疑問点はない。わからない部分があるとしたら――

「新婦が二人いる場合はどうしたらいいの?」
 すでに今回は例外状態に入っているのだ。

「そこは高原の魔女さんがセンターで、両側にお二人というのがいいかと思うっス」
 こういうケースも過去にあったのか、ミスジャンティーはあっさり答えた。

 私が真ん中を歩いて、両サイドにウェディングドレス姿の娘二人。
 軽く想像しただけでも、それはもう完璧だ……。

「ママ、なんかお顔がにやけてるよ」
「王国北部で信仰されている邪神のような表情をしている」
 しまった、あまりにも素晴らしすぎて……それが顔に出ちゃった……。

「ごめん、ごめん。なにせ、親として最高の一瞬と言っていいものだったもんで……」

 普通は、この役目をやる父親は娘ともお別れだなという気持ちで、娘を連れて歩くのだろう。きっと、うれしいだけじゃなくて、寂しさで泣いた人もたくさんいるはずだ。
 しかし、今回の結婚式では別に二人が誰かに嫁ぐわけでもなければ、引っ越しするわけでもない。ただ、私がうれしい想いをできるだけという最高のシチュエーションだ!

 とはいえ、この式典が二人にとって、もちろんほかの出席してるみんなにとっても、思い出の一つになる点は、通常の結婚式と何の違いもない。
 だから、私もここは自分の仕事をしっかりと果たさないとな。娘の思い出を黒歴史にしちゃいけない。

 ちょうど、鏡があったので、自分の表情を確認する。むしろ、調整する。
 うん、真面目で誠実なものに変わった。

 さあ、やるべきことをやるぞ。

 私は二人の手を握る。
 右手にファルファ。
 左手にシャルシャ。
 双子のはずなのに、どちらがファルファの手で、どちらがシャルシャの手か、すぐにわかった。
 ああ、私も長い間、二人と時間を過ごしてきたんだな。だから、ほんのわずかの差にも気付けるようになっているんだ。
 部屋を出る前から泣き出しそうだ。それはいくらなんでもフライングだろう。

「じゃあ、二人とも行くよ。あまりみんなを暗いところで待たせるわけにもいかないからね」
 二人が同時にうなずく。
 ミスジャンティーが扉を開けてくれた。さあ、みんなが待つ会場に進もう。

 部屋全体が明るくなるのではなくて、入場するファルファとシャルシャ、および私の周囲だけがスポットライトのように照らされる。

 三人で手をつないで歩くから、父親の後ろに新婦がついてくるというスタイルにはならない。

 だけど、ほんの少しだけ、ファルファが先を進んでいる。
 私を間にはさんでいるけど、これはシャルシャを引っ張っているんだ。
 ファルファはシャルシャの前に立とうとする。おそらく、無意識のうちに。

 ああ、これって姉妹の愛情を確認する式だったなと今更ながらに実感した。別にウェディングドレスの娘を見て私が喜ぶイベントではないのだ。理念としてはもっと崇高なものなのだ。

 両サイドのテーブルから出席者の拍手の音が響く。
 私も二人も、わずかに誇らしげな顔になっていると思う。

 祭壇の前まで来ると、私たちは会場のみんなのほうを向く。

 このあと、どうするんだと思ったらすぐにミスジャンティーが「ファルファさん、お願いするっス」とファルファに段取りの指示を出した。

 ファルファがメッセージカードのようなものを取り出した。
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