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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

地方の婚活パーティー?編

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242 見届けは私たち

 祭壇の前まで来ると、二人はくるっと私たちのほうに向きを変える。
 その背後に、浮かんだミスジャンティーが現れた。
 まさに神が現れるような立ち位置だ。

「私は松の精霊っス。古来より、ミスジャンティーと呼ばれてきたっス。信じあう二人の気持ちがいつまでも変わらぬように見届け役となるっス。それと、司会進行も進めさせていただくっス」
 厳粛な雰囲気で、真面目な表情なのに、口調がどことなくあほっぽいのが問題だ……。こんな時ぐらい、キャラを変えてもいいんじゃないの……?

「生ある者は必ず滅びると、古来から賢者は言うっス。しかし、それは物質のことわりにすぎないっス。心は不滅っス。二人の心がどこまでも、いつまでも、無限に広がっていくことを祈るっス」

 二人はお互いに目配せして、軽くうなずいた。
「ファルファは、シャルシャを妹として、これからも楽しい日も苦しい日も一緒に歩んでいきます」
「シャルシャは、ファルファを姉として、これからも楽しい日も苦しい日も一緒に歩んでいきます」

 二人はとてもいい顔をしていた。純粋に、この式をやってよかったと思った。
 特別な記念日は自分たちで作っていけばいいんだ。平凡な毎日も大切でいとおしいけれど、こういう日も必要なんだ。

「それでは、その誓いを指輪に込めて、お互いにはめていってほしいっス。まず、姉のファルファさんからシャルシャさんへ、次に、その逆の方向でお願いするっス。指は姉妹の場合は、左手の小指っスね。それにもちゃんとした由来とかがあるんスが、省略するっス」
 ミスジャンティーが指輪が二つ乗った台を二人のところに持ってくる。なんちゃって結婚式の割に、手が込んでいる。さすが、仲人を仕事にしてきた精霊だ。

「うわー、あこがれますわ! 本で読んだとおりのことが行われています!」
 ペコラが目をきらきらさせていた。こういう少女趣味的なこと、本当に好きそうだもんね。
「立場上、断るわけにもいかないので、偉い魔族の結婚式はさんざん参加させられてますけど、今回の式のほうがよっぽどかっこよくて、素晴らしいですわ!」
 発言に微妙に毒がある!

「うおぉぉ……二人とも、とことん幸せになるんじゃぞ……。母親としてとことんバックアップしてやるからのう……」
「おい、そこのハエの王! 母親を名乗るな! あなたは母親じゃない! 客人! 親族の席じゃない!」
 ベルゼブブは謎の既成事実を積み上げてくるので、その都度否定しておかないといけない。

「孫同士の結婚式を見ることになるだなんて、感無量だわ……」
 ユフフママも変なことを言ってるような……。いや、でも私がママと呼んでるのは事実だし、それなら二人は孫なのか……?

「じゃあ、シャルシャ、はめるね」
「うん、姉さん、お願い……」
 二人もどことなく恥ずかしそうだ。姉妹や兄弟だからこそ、わざわざあなたのことを大切に想ってますだなんて口に言うことはないものな。
 これが結婚相手なら、プロポーズの時とかに一言言うフェイズもあるはずだろうけど、姉妹ならそんなタイミングも生まれない。

「ファルファ、自分がシャルシャがこんなに大事だって改めて感じてるよ」
「シャルシャも姉さんにずっと姉さんでいてほしい。出来の悪い妹だけど、見守っていてほしい」
 二人は指輪をはめながら、そんなことを言った。
 姉妹の間の感情は、友情と呼ぶべきか、愛情と呼ぶべきか。どちらでもいいし、どちらの言葉でも違うかもしれない。それでも、二人がそんな気持ちを確認できる時間が取れたことはとても意味があると思った。

 ミスジャンティー、やるじゃないか。

「ありがとうございましたっス。では、誓いの署名をしていただくっス。相手を裏切らずに幸せにするという、この契約書に名前を書いてほしいっス。これまで、数えきれないほど書いてきた自分の名前、その名前が今回は特別な意味を持つっス」

 このあたり、かなり細かいな。
 署名をした契約書を二人がこちらに向けて、見せる。
 子供っぽい字だけど、そこには見慣れた二人の文字が丁寧に書かれていた。

「さあ、この契約書が真正だと見届けるのは、ご出席している皆様っス。どうか盛大な拍手で承認してあげてほしいっス」
 拍手をしない理由などなかった。私たちは割れんばかりの拍手で二人を祝福する。

 やがて、承認に十分なほどの拍手が鳴りやんだあと――

「ママ!」「母さん!」
 二人が、私を見つめて、言った。

 そこで、二人の声が重なる。
「「それと、皆さん、ありがとう」」

 こっちこそありがとうだよ。生まれてきてくれて、ありがとうだ。
 ベルゼブブはすでにぼたぼた涙を流していた。感動の表現が私より派手だ。もう、好きなだけ感動してくれ。

 また二人は手をつないで、私たちの椅子の間の道を通って、去っていく。

 その直後、どこからともなく、空きスペースに木のテーブルと椅子が出てきた。
 テーブルには料理の載ったお皿が並んでいる。

「さあ、皆さん、しばらくの間、お食事を楽しんでほしいっス。誰がどの席かは椅子の前に書いてあるっス」

 私はライカ、ベルゼブブ、ペコラと一緒のテーブルだった。
 ペコラがやたらと近い。それをライカがむっとした顔でにらんでいる。一方、ベルゼブブはずっと号泣していた。

 かなり異様なテーブルだけど、ひとまず料理をいただくとするか。
 ちなみにメニューは以下のとおり。

・海の幸と旬野菜のジュレのガトー仕立て
・鴨肉のスモークのブルーベリーソースがけ
・枝豆の冷製ポタージュ
・レインボーフィッシュのポワレにバルサミコ風味のヒダリマキダケを添えて
・牛フィレ肉のステーキに季節野菜を添えて赤ワインソースで
・パン(お代わり自由)

 思った以上に本格的なコース料理だ!

「これは参考になりますね。メモメモ……」
 ほかのテーブルだけど、ヴァーニアは紙に料理のことをやたらと書いているらしい。やはり料理となるとじっとしていられないんだな。

「お姉様、とても素晴らしい式ですわね」
「うん、そうだね」
「わたくし、やっぱりあこがれてしまいますわ」
「どれだけ言われても私はやらないからね」

 そうだ、そうだと言わんばかりにライカがうなずいていた。

 さて、食事を進めていると、また部屋が暗くなった。

 司会者役のミスジャンティーが正面のほうに立っている。そこだけ明るくなっているのは精霊の力によるものかな。
「では、再び、姉妹の入場っス!」
スライム10刷オビができました! たいしたことではないですが、活動報告でご報告いたしました!

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