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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

地方の婚活パーティー?編

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241 姉妹結婚式開始

 私たち家族はタジン村のミスジャンティー神殿に移動した。
 その日の神殿は二時間ほど貸し切りになっている。

 ファルファとシャルシャの着付けなどはミスジャンティーが担当するらしく、私も立ち会ったりはしなくていい。

 ただし、代わりの仕事はちゃんとあった。
「じゃあ、新婦のお母さんということで、受付役をお願いするっス」
「受付?」
「来た人に席の表を渡したり、ご祝儀などをもらったりするお仕事っス」
「なんか、やけに日本風だな……」
 私は神殿の入口でテーブルを広げて座っていた。

 やがて、続々と出席者がやってきた。
 まず、洞窟の魔法使いエノ。
「このたびはおめでとうございます。はい、これはご祝儀です」
 布に包まれた金貨をもらった。この世界にお札はないからな。

「あ、ありがと……。あの、こういうご祝儀を出すシステムってこの世界にもあるの?」
「え、常識じゃないんですか? だいたい三万ゴールドぐらい包むものだと思ってますが。まあ、今回は本当に結婚するんじゃないんで、いらないかもですけど、式場を押さえてるからお金かかってますよね?」

 なんか妙なところがリアルだな……。そのまま、エノは名前を記帳して、席次の表をとって奥に入って行った。

 続いてユフフママが来た。
「ふふふ、ついにこの日がやってきたのね。はい、ご祝儀」
「精霊もご祝儀は出すんだ……」

 次に魔族のメンバーが大挙してやってきた。ベルゼブブとペコラ、リヴァイアサン姉妹とブッスラーさんあたりは当然として――引きこもりのポンデリなんかも含まれていたので、みんなでファートラかヴァーニアに乗ってきたのだろう。

「おめでとうなのじゃ。はい、ご祝儀じゃ」
 ベルゼブブも当然のようにお金を出してきた。
 次に、ペコラ。
「本当におめでとうございます。これはご祝儀と、それと魔王の立場からのお祝いのメッセージです。多分、披露する時間があるかと思うので読み上げてください」
 祝電みたいなシステムまであるんだ……。

「お疲れ様です、アズサさん。もし、人手が足りないようだったら、私がお手伝いいたしますが」
 ファートラはこんな時でも、すごく人ができている。
「いや、受付は一人で余裕だから大丈夫だよ」
「受付はそうかもしれませんが、二次会の手配などもある場合がありますので」
「二次会とかはしないから!」
 いくらんなんでも日本の結婚式に近すぎる……。とにかく、近すぎる……。

 最後にアルミラージのククがやってきた。
「これ……ご祝儀です……。私も、お仕事が増えて、やっとご祝儀で三万ゴールドを気楽に払える程度には売れてる立場になれました……。ありがとうございます……」
「あ、うん……。ちなみに無理してご祝儀出さなくていいからね……」
「そうだ、余興で一曲やりましょうか? 新曲で、『君と別れて二十五年が過ぎました』という歌があるんですが」
「絶対に結婚式で歌ったらダメな曲だろ、それ!」

 その後、ナタリーさんほか、村の人たちやハルカラ製薬の社員さんまでやってきた。正直、本当に結婚するわけでもないのに、申し訳なくなってきたぞ……。

 なんだかんだで家族に知り合いまで集めると、それなりの数になるなあ。
 私の交友関係も短時間で劇的に広がった。

 そこにミスジャンティーがやってきた。
「受付、お疲れ様でした。では、高原の魔女さんも所定の席におつきくださいっス。ちなみに親族は招待者よりも一段低い席っス」
「あなた、日本の結婚式場で働いてた経験とかないよね……?」
「ニホンってどこっスか?」
 シラを切っているわけではないらしい。



 私も自分の席についた。家族は親族扱いで後ろのほうに席になっている。こういうシステムなのだ。

「アズサ様、これで何かが変わるわけではないとはいえ、緊張はしますね……」
 隣の席に座っているライカはかなり硬くなっていた。ドラゴンの親族の結婚式に出るかのようだ。

「そうだね。式だからね……。思ったより、ちゃんとしてるよね。飾りみたいなのも神殿のいろんなところについてるし……」
 松の精霊の神殿だけあって、いろんなところに松の装飾品がついている。松というと、和風な感じもするが、この神殿ともよくマッチしている。

「ファルファ、シャルシャ、これからもより一層幸せになるんじゃぞ……」
 ベルゼブブは来場者の席で、ハンカチを目に当てていた。本当に娘が嫁ぐ時の親みたいな反応になっている……。感極まりすぎじゃないのか……。

「松の精霊みたいに人間から信仰されていた精霊は大変ねえ。したたりの精霊なんて悠々自適なのに。神様みたいに崇められると、肩も凝りそうねえ」
 ユフフママは同じ精霊の視点から感想を言っている。たしかに精霊同士といっても暮らしぶりが全然違うな。

「姉妹結婚式って、わたくしとお姉様とが行ってもいいんですよね? 仲が良ければ友達でも何でもいいんですよね?」
 想定していたようなことを、ペコラが前のほうの席から言ってきた。
「私は誰ともするつもりはありません。あしからず。魔王であるあなたと入魂になりすぎてるって人間の国で広まると、私が討伐対象になりかねないでしょ」

 フラタ村の人は魔族にも耐性がついてきているけど、すべての人間がそうというわけじゃない。いまだに魔族は恐ろしいものだと思っている人もたくさんいる。
 あまり人間の国家から脅威とみなされるのはスローライフのためにもよくないのだ。
 ――という、我ながらなかなか筋の通った理屈だ。

「そうですね。式とか形にこだわらなくても、気持ちは通じ合いますものね」
 納得はされたようだけど、やけにポジティブに受け取られている気もする……。

 ――と、いきなり神殿の中が暗くなった。
 まだ夜ではないから、何か魔法のようなものだろうか。

『今から、式を挙げる二人が入場するっス。私語は一度慎んでほしいっス。あと、拍手で迎えてあげてほしいっス』

 どこからともなく、ミスジャンティーの声がする。映画上映前の注意みたいだな。

 そして、また堂内が光で満ちる。
 一気に明るくなったせいか、まぶしくて、神々しささえ感じた。

 光り輝く中央の道を手をつないだファルファとシャルシャが後ろから歩いてくる。
 二人はいわゆるタキシードを着用していた。
 きっと着たことのない服だろうに、よく似合っている。
 ファルファはほがらかな微笑で、シャルシャはまだ緊張している様子だった。

 私はぼうっと見とれそうになるが、ちゃんと拍手をした。母親としてマナー違反はできない。
 なんだろう。ごっこ遊びの次元じゃない。空気は少なくともガチだ。
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