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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

地方の婚活パーティー?編

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240 「おばさん」に聞いてみる

10刷記念で今日も更新いたします!
 二人がじっと私の顔を見つめてくる。
「ママ!」「母さん」

 言うまでもなく、自分の意見のほうを採用しろということだ。これでは、どちらを選んでも私が悪者みたいになってしまう。大変悩ましい。
 そこで裏技を使うことにした。

 こういう時は業者に聞いてみるのがいいのだ。遺産相続でもめたら、弁護士という第三者に相談するようなものだ。

「ちょっと待っててね。ええと、メモ、メモ……」
 メモがないと絶対に覚えられないやつだった。

「ワガホラヒ ロフダルネ メホララチ ヌムリスア イセナガエ ハヘヘロヲ フリクラス トルネワカ コマソルウ ハギエオホ タラバダシ」
 無事に唱え終わると、松の精霊ミスジャンティーが目の前十センチぐらいのところに出現した。って、十センチ前かよ!

「うわあ! 近すぎる! 近すぎる!」
 びっくりして、後ずさった。ものには限度ってものがあるぞ!

「すいませんっス。発音の度合いで詠唱者の目と鼻の先から徒歩五分ぐらいのあたりまで、ばらつきが出るっス」
「ばらつきが激しすぎる」

 命を狙われるようなピンチの時に呼び出して、徒歩五分のところに出現されたら助からないじゃん……。まあ、ピンチの時に呼び出す精霊じゃないけど。

「それで、お呼び出しがあったということはご用命ということっスか?」
「あ、そのことなんだけど質問があるの」

 ファルファとシャルシャがドレスを懸けて争っていることを伝えた。
「なるほど、なるほど。なにせ、結婚式は一生に一度のものっスからね~。ドレスを着たいという希望は強いっス。たまに、四回も五回も結婚する人もいるっスけど」
 そんな生々しい話は聞きたくない。

 娘二人はじぃっと今度はミスジャンティーのほうに顔を向けている。
 どちらも譲る気はないらしい。

「ふっふっふ。こういう場合にもいいプランがあるっス。名付けて『一粒で二度おいしいプラン』っス!」
 発言だけだと、かなりうさんくさいが、これでも由緒ある精霊なんだよなあ。

「何が何やらわからないから、もうちょっと具体的に説明してよ」
「結婚式と言えば長丁場。途中で着替えることもあるっス」
 ああ、お色直しとか、そういう次元のものか。

「なので、まずお二人とも紳士用礼装で出てきて、後半に二人ともドレスにするというのはどうっスか? それなら平等っス」
 そのミスジャンティーの提案に二人の目も輝いた。
「それ、いい! ファルファもどうせなら両方着てみたい!」
「三方一両損のように見えて三方一両得と言っていい発想。素晴らしい」

 そして私の目も輝いていた。
 二人のドレス姿だけでなく、タキシード姿も見れるとか、母親にとったらたまらないイベントじゃないか!

「服はこちらで用意するっス。オプションで多少、値段はかかるっスけど、微々たるものっス。一生に一度のことっスからね。奮発しても問題ないっス」
 ちゃっかりしているな。これだと四方一両得だな。でも、お金で姉妹のもめごとが解決するなら安いものだ。

「わかった。じゃあ、具体的な見積もりを出して。よほどとんでもない値段でないかぎり、払うから」
「了解したっス。今回の式をミスジャンティー神殿の実績として宣伝に使わせてもらえるなら、割り引き価格でお受けするっスが」
「はいはい。じゃあ、それでいいよ」
 もともと、そのつもりでタジン村のミスジャンティー神殿を使う予定だった。

「あとは招待する人を何人ほどにするかっスね。ごく内々のものなら、家族だけでやればいいっスが」

 招待という言葉で、魔族の顔が何人か頭に浮かんだ。
「呼ばずに結婚式をやったら百年ぐらい文句を言いそうな相手がいるから、今度会った時に日程聞いておくよ。招待状とかはいいや」



 二日後、ベルゼブブが来たので、さらっと「ファルファとシャルシャの姉妹結婚式っていうのをやるんだけど、いつの日が空いてる?」と聞いてみた。
「ぬわんじゃっとおおおおおおおおおお!?」

 予想どおり、いや、それ以上に大きな反応をされた!
「誤解を受ける前に言っておくけど、今後とも仲良く姉妹でいましょうっていう式ね。姉妹がそれぞれ、誰かのところに嫁ぐわけじゃないから、安心してね」
「よかったのじゃ。場合によっては、その二人の結婚相手を殺めておったかもしれん……」
 珍しく魔族っぽい発言をしてきたな。

「ちなみに二人とも、ウェディングドレスも着るよ。来るなって言っても絶対に来るでしょ?」
「保護者として出席する義務があるのじゃ」
 いや、あなたは保護者ではない。もう面倒だから否定もしないけど。ベルゼブブはとことん、ファルファとシャルシャの「おばさん」役をやるつもりのようだ。

「姉妹結婚式かあ。よい文化じゃのう。魔族の土地にも根付かんかのう。魔王様にも言っておこう」
 しまった……。ペコラに知られると、絶対に私と結婚式をやろうとか言いだされる……。
 しかし、ファルファとシャルシャの式に呼ばないというのも角が立つ。しかも、必然的にベルゼブブに黙ってろと言うことになるから、あとでばれるとベルゼブブにも迷惑がかかる。

 しょうがないか。あの子に結婚式をしろと迫ってこられたら、私が毅然きぜんと断ればいいだけのことだ。

「じゃあ、ほかの何人かの魔族やあっちの土地で暮らしてるメンバーにも連絡しておいて」
「うむ。任せよ。必ず参加させてみせるのじゃ。何があろうと連れてくるのじゃ」
「あっ、強制参加とはナシね……。それで式の空気が悪くなったら、本末転倒だ」
「じゃが、二人の式に出て、不幸な奴などおらんじゃろう?」
 その発言は、いくらなんでもいきすぎてないか、ベルゼブブ……。

 とにかく、これで日取りも決まって。すぐに姉妹結婚式の日になった。

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