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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

地方の婚活パーティー?編

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239 姉妹に聞いてみる

「スライム倒して300年」1・2巻の重版が決まりました! これで1巻は10刷となります! 本当にうれしいです! 記念に二日連続で更新いたします!
「ミスジャンティー、その姉妹結婚式プランについて詳しく聞かせてもらえないかしら?」
 私はとても真面目な顔で言ったと思う。人によっては魔女から賢者にジョブチェンジしたみたいだと言うかもしれない。

「ほ、ほんとっスか!? すぐに細かな疑問もすぐに解決するパンフレットを持ってくるっス!」
 ミスジャンティーは部屋を出て、本当にすぐに専用の資料を用意してきた。

「なんか、営業で走り回っている社員って感じで、偉大な精霊さんなのに不憫ふびんに見えますね……」
 ハルカラが複雑な顔をしていた。
 エルフの中では松の精霊もそれなりに信仰されているんだろう。

「参加人数が家族と親戚合わせて十五名様ぐらいまでなら、このプランがいいかと思うっス。ご希望のミスジャンティー神殿でなごやか、かつ神聖な空気の下、姉妹がいつまでも一緒でいられるよう祈祷するっス」
「ふむふむ。そうだね。値段としても出せる額だね」

 後ろでフラットルテが「それ、ファルファちゃんとシャルシャちゃんがいるところで話をしたほうがいいんじゃないですか?」と正論を言ってきたが、悪いけどスルーします。どっちかというと、興味があるのは私のほうだから。

「それで、ミスジャンティー神殿に仕える聖職者が立ち会うことになるんスが、私の存在が見えるようなあなたの家族なんで、私が直接立ち会うっスよ」
「あっ、いいの? 太っ腹!」
「それぐらいはいいっス。高原の魔女の家族がミスジャンティー神殿で式を挙げたということが伝わればいい宣伝になるっス。私としても、神殿の関係者をもっと食わせていかないといけないっスからね」

 やっぱり信仰されている精霊も大変だなあ。
 その点、ユフフママなんかは、ものすごく気楽に生きていた。

「それで、最後に誓いのキスをするんスが、くちびる同士で差しさわりがある場合は、ほっぺにお互いにキスとか、代わりに抱き合うとか、フレキシブルに変更してもらって大丈夫っス。大事なのは気持ちっスからね」
「そうだね。くちびる同士っていうのは私が決めていいことでもないから、娘に確認してみるよ」
 まあ、ほっぺにキスってぐらいかな。それぐらいなら、抵抗もないだろう。あくまでも姉妹で、今後も仲良くやっていこうねっていう式なので、妙な空気になっても母親として困る。

「そうだ、場所もここを使えないかな?」
 私は天井を指差した。
 どうせなら、このタジン村の総本山でやりたい。
 宣伝に一役買えるなら、なおさらだ。
「いいっスよ。本来なら、ここは重要な施設なんで、そんなあっさり貸し出せないんですが、なにせガラガラっスからね……。空いてる日が珍しくない有様っス……」

「じゃあ、家に持ち帰って、引き続き検討するね。私としてもいい返事ができればと思うよ」
「わかったっス。決まったら呼び出してほしいっス」
 そう言って、ミスジャンティーは松ぼっくりを渡してきた。

「これを持って、召喚の言葉を唱えてほしいっス。言葉は今から教えるのでメモしてほしいっス」
「わかった。今、紙とペンを出すからね」

「いくっスよ。ワガホラヒ ロフダルネ メホララチ ヌムリスア イセナガエ ハヘヘロヲ フリクラス トルネワカ コマソルウ ハギエオホ タラバダシ」

「……ごめん、あと最低三回は繰り返して」
 なんだ、この復活の呪文っぽい言葉は……。

「わずかでも発音にミスがあると、私に聞こえないので注意してほしいっス」
 面倒なシステムだな……。

 確認だけでも三度もやったので、おそらくメモの間違いはないだろう。

 こうして、婚活パーティーは奇妙な終わり方をしたのだった。
「あの、松の精霊様、ギルド職員がいとしの相手を見つける、よい方法とかあったら教えてくださいませんか?」
 ナタリーさんが最後に質問した。

「片っ端からアプローチをかけるっス。何度も挑戦すれば、そのうちマグレ当たりもあるっス。百回、クジを引けば一度ぐらいは当たりが出るものっス」
 アドバイスが生々しかった。



 私は高原の家に戻ると、ファルファとシャルシャに姉妹結婚式のことを話した。

「やる! ファルファ、やりたい!」
 まず、真っ先に賛成したのはファルファだった。
「結婚式ってことは、ウェディングドレスっていうの、着れるんだよね!? ファルファ、あれを着るの、夢だったの!」

 ああ、そっか。結婚したい相手がいるかどうかは別問題として、あの格好をしたい女子は多そうだよね。

 この様子なら、とんとん拍子で進むなと思った私は甘かった。

「それは断る」

 シャルシャがまさかの拒否!?
 そんな形だけのものに意味がないとか、本来の精霊信仰に反するとか、何か納得のいかないところがあるのかな。それとも、単純に気恥ずかしいとか?

「ウェディングドレスはシャルシャが着たい。姉さんは紳士用の礼装を着るべき」
 そんな理由かっ!?

 ていうか、シャルシャもウェディングドレスを着たかったのか。そんな雰囲気、あまりなかったから気づかなかった。いや、ドレスを着たがってる雰囲気って何なんだって話だけど。

「えー! どうしてシャルシャがドレスなの? ズルいよー!」
 これにはファルファももちろん抗議して、ほっぺたをふくらませている。

「姉とは妹や弟の保護をする存在。ならば、騎士の礼装から発展したとも言われている紳士用の礼装を姉さんが着て、シャルシャがその騎士に庇護される貴婦人の格好――つまり、この場合のドレスを着るのが合理的」
「そんなの、こじつけでしょー! シャルシャ、こういう時にこじつけ作るところがあるよー!」

 ファルファが怒っている。実際、シャルシャは論で煙に巻こうとする時がある。引っ込み思案なようで、けっこう自己主張も強いんだよね。

 しかし、紳士用の礼装、いわゆるタキシード的なものを着ているファルファか。
 想像してみたら、これはこれでとてもかわいかった。

 私は思わず口を押えた。
 うわあ、いい! いいよ! じゃあ、ファルファが紳士用の服で、シャルシャがドレス? でも、ここでファルファの意見をつぶすのは悪いしなあ……。

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