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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフが来た編

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23 毒が入っていた

ブックマーク数が7000人を超えました。皆さん、本当にありがとうございます!
「まだまだいろんな食用キノコがありますからね。次はハナガサニジイロダケですね~」

 ハルカラはとにかく多種多様なキノコを焼いていく。
 カラーバリエーションもなかなか豊富で、こんなにも森の中がカラフルだったのかと思うほどだ。

 味付けはエルヴィンという醤油に似た調味料ぐらいだから、ほぼ一緒だけど、ハルカラが評したようにキノコごとに食感が違うので本当に面白い。

「それにしても、こんなに食べられるキノコが多かったとは盲点だったよ。森は食材の宝庫だったんだね」

「そうですよー。伊達にエルフは森の中で暮らしてやしませんよ。薬にしてよし、食べてよしですよー! ふっふっふっふ!」

 ハルカラもテンションが高くなっている。たしかに野外で火をつけて食べるってお祭り感がある。

「この森の恵みを最大限活用できる方法をこのハルカラ、村の人たちなんかにも教えていきたいと思いますのでよろしくお願いします! ふふふふっ!」

「それはナイスアイディアだね! みんな、喜ぶよ!」

 私たちは酒がないので、水筒をぶつけて乾杯の代わりにした。

「いやあ、キノコってこんなにおいしいんだね。これは娘やライカにも体験させないとな」

「ええ、これぐらいでしたら、わたしの知識があればいくらでもご案内できますから! ふふふふふふふふっ!」

「ちょっと、ハルカラ、笑いすぎ~」

「本当ですね~。わたしも笑いすぎだと思いますよ~。でも、止まらないんですよね~。ふっふっふっふっふ!」

 あれ? 止まらないってどういうこと?

「あの、ハルカラ……もしかして、毒キノコ食べてない?」

「そんなバカな。わたしはキノコ博士ですよ。キノコの知識ぐらいありますよ。これが、チャイロクラガリダケでしょ。こっちはベニムスメダケですね。これは毒のあるウシノホホエミダケでしょ」

「毒のあるやつ、明らかにあったぞ!」

「あれ…………?」

 少しの間、ハルカラが静止した。

「あちゃ~、そうか、そうか。わたし、知識はあるんですけど、仕分けが雑なんで食べられるほうに間違って毒のあるのを入れちゃってました~。ふっふふふふふふっ!」

「知識あっても、活用できてない!」

 そうか、雑な人はアウトなやつをそのまま入れてしまうのだ。こんな問題があったのか……。

「ていうか、毒を食べて大丈夫なの? 吐き出したほうがよくない……?」

「ああ、これが笑っちゃうだけなんで、問題ないですよ~。一時間ほど笑ってるだけなんで~。ふふふふっ」

 笑い方がゲラゲラ笑うんじゃなくて、微笑みなんで、かえって気持ち悪い。まあ、名前がウシノホホエミダケだからな。

「私が発症してないってことは、食べてないやつか。たしかに、これはまだ手をつけてなかったな」

「ですね。ふっ」

 なんか、キザな笑い方になったな。

「あのさ、怖いから、ほかのキノコも確認してくれない? 相当な種類、食事用にしてたよね」

「じゃあ、すべて確認しましょう。シマナミダケは毒はないです。ダイダイホソリダケも毒はないです。サンカククリダケは毒があります」

「また、有毒なの、交じってたぞ!」

「うあああ! ほんとだ! 薬用ゾーンのやつを入れていましたっ!」

 こんな雑な人が薬を作って大丈夫なのだろうか……。

「これもまだ私が食べてないやつだな。不幸中の幸いか」

「わたしは一ついただいてましたね」

 歩く生体実験みたいな生き方してる人だな。
 なお、声に出てない時でもハルカラは毒の影響で微笑んでいます。

「こっちは、どういう症状が出るの……?」

「麻薬のような常習性なく、ほどよい心身の高揚感を与えてくれますね。やけに落ち込んでいる人にこれを粉にしたものを一部混ぜて処方することがあります。なお、多量に摂取すると、一時的に催淫作用があると言います」

「さいいん?」

 実は漢字変換できたのだけど、できれば聞き間違いであってほしいと思った。

「一時的に淫らな気持ちになってしまうということです――――あれ」

 じぃぃ~っとハルカラがこちらを見つめてきた。

 一歩、ハルカラが近づいてくる。

 怖いので、一歩後ろへ下がった。

「なぜ、下がるんですか、お師匠様」

「あなたに毒がまわっている恐れがあるからよ」

 ハルカラは胸元に指を入れて、胸を強調するような仕草をした。

「お師匠様、わ、わたしといいことしませんか……?」

「断る!」

 確実に毒が効いている。

 私は走って逃げた。危機が迫っている!

 当然、ハルカラも追ってくる。

「大丈夫ですよー! 絶対に気持ちよくなりますからー!」

「そこを基準にしてないから!」

 ファルファとシャルシャを連れてきてなくてよかった……。猛烈に教育に悪いし、娘に襲いかかられたら、シャレにならない……。

 実のところ、逃げるだけなら空中浮遊の魔法があるから楽勝なのだが、淫らな気持ちになっているけしからん体のエルフを森で放し飼いにしたらまずいだろう。

 師匠である私の監督責任とも言えるし、獣の猟をしてる村人と遭遇でもされると、今度はハルカラの貞操の問題にもなる。

 なので、私を追跡するように仕向けて走って逃げるしかなかったのだ。

「待ってください、お師匠様!」

「ある意味、私が女で助かったな、我が弟子よ……」

 私が男だったら、欲望に負けてた可能性は否定しない。それぐらい、すごくやわらかそうで、出るところが出てる体なのだ。

 逆に言えば、運動に有利な体型ではないので、私は後ろをちらちら確認しながら確実にハルカラを誘導する。

 なんで、確認しているかといえば、ここはあくまでも森で危険もあるからだ。

 いきなりハルカラの顔が視界から消えた。

「うあっ! 落ちう、落ちひゃうぅー!」

 ハルカラが足を踏み外して斜面のほうに体をとられていた。
 土だから死にはしないだろうが、足くじいたり、擦り傷がついたりするな。

「ったく……」

 私はすぐにきびすを返して、手を伸ばして、ハルカラの手をつかむ。

 素早さ:841
 この驚異的なステータスだからできることだ。 

「い、命拾いしました……お師匠様……」

「けっこう、手のかかる弟子ね……」

「こうやって救ってくれたということは、やっぱりご主人様はわたしのことが好きなんですか……?」

「まだ、毒が効いてるのか……」



 そのあと、毒が抜けきったハルカラはぺこぺこ、ぺこぺこ頭を下げてきた。

「本当にごめんなさい、ごめんなさい! ご迷惑をおかけしました!」

「迷惑かけられたことに関しては事実ね。けど、過ぎたことを言ってもしょうがないし、今回のことは水に流すわ」

「ありがとうございます!」

 ハルカラが笑顔になる。
 ミスの多い調薬師だけど、その笑顔はなかなか憎めないものだった。

「ただし、またトラブルを起こすようなら、呼ぶからね」

「呼ぶって、何をですか?」

「ベルゼブブよ」

 ハルカラは真っ青になって「それだけはご勘弁を!」と言った。
毒キノコには気をつけようというお話でした! 次回は森から帰宅します。

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