挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

地方の婚活パーティー?編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

236/280

234 ギルド職員を連れていく

 私の本音をもらすと、フラットルテが人間の漁港の村に婚活パーティーに行っても、絶対上手くいかないと思う。
 ドラゴンと人間という種族の違いだとか、そういう次元の問題じゃない。
 ブルードラゴンはとてつもなくいいかげんな種族なのだ。気が向いた時に働いて、だらける時はとことんだらける。不良みたいなメンタリティーの連中だ。

 よほどのことがないと村の暮らしになじめないだろう。
 あと、そもそも論として――

 私はフラットルテの角に手を当てた。
「フラットルテ、私としてはあなたの気持ちを優先するけど、掟のうえでは私から離れるのはダメだよね……?」
 常にそばにいないといけないというほど重い掟ではないらしいので、買い物に一人で行ってきてもらうとかは問題ないのだが、よそで所帯持って暮らすというのはルール違反だと思う。
 私としては拘束する気はないけど、フラットルテのほうで納得がいかないなら同じことだ。

「うっ……そうですね……。ご主人様から離れることはできません……。忘れていたわけではないんです……。ただ、自分が婚活していた頃のことを思い出しただけで……」
 フラットルテは申し訳なさそうな顔をした。この様子だと、結婚は考えてなかったけど、チラシを見て思い出したといったところだろう。

「すまないが、フラットルテはこのパーティーに参加できな――」

「観光だけでもいいですから、行ってもらえませんか!?」
 ナタリーさんが喰い気味に声をかぶせてきた。

「マジで顔を出してくれるだけでいいんです! 皆さんみたいにきれいな方が参加すれば、男性参加者のノリもよくなるでしょうし、次回から男性参加者が増えるかもしれません!」
 それって一種のサクラなのでは……。
「それにタジン村なんて遠すぎて、普通の移動手段しか持たないフラタ村の人は行く気がしないんです! でも高原の魔女様ならドラゴンで移動できるから参加できない距離でもないかなと……」

 なるほど……。地理的にフラタ村からじゃどうしようもないんだな……。

「う~ん……本当に観光で立ち寄ったのを婚活パーティー参加ってことにするぐらいの感じになりますけど、それでもいいんですか? 私は結婚する気ないですよ。娘との生活に不自由も感じてないし」
 だいたい、このタジン村の目的は村に嫁いできてほしいということだろう。私が一億分の一の確率で結婚しても、高原の家から離れる気は皆無なので、その時点で向こうの要望には沿えない。

「はい、それでもいいです! 結婚する気があったかどうかなんてデータ上はわかりませんから! 参加したという事実が大事なんです! それでいいんです!」
 ナタリーさん、本音をさらけ出しすぎてるぞ……。

「あっ、いいことを思いついたのだ!」
 フラットルテが声を上げた。
「おい、ナタリー、お前、結婚はまだだな?」
「は、はい……ギルド職員って村のことを知りすぎてる分、警戒されるというか、なかなかお付き合いのチャンスもなくてですね……」
「お前がパーティーに参加しろ。フラットルテ様が乗せていってやる」
「え、え、え、ええええええっ!」

 ナタリーさんがギルド内に響き渡る声で叫んだけど、私は正直な話、悪くないと思った。
 結婚する気が一切ない面子だけで参加するよりはマシだろう。



 後日、私たちはドラゴンの形態になったフラットルテに乗って、タジン村を目指した。
 なお、私たちというのは、私、フラットルテ、ハルカラ、それとナタリーさんの四人。
 ナタリーさんの婚活パーティー参加に同行するという体なら、私もサクラをやる罪悪感が薄れるし、ちょうどいい。

 ちなみにハルカラもせっかくなので数合わせで来てもらうことにした。見た目だけならハルカラは完璧に美しいので、この婚活パーティーはハイレベルだと男性陣に思わせる効果がある。

 あと、海辺にはこのへんにないキノコが生えてるということで、ハルカラ本人も行きたがったのだ。好奇心旺盛な性格なので、そのあたりはちょうどよかった。

「タジン村というと、内海に面した漁港ですね。波も穏やかなんですが、辺鄙へんぴと言えば辺鄙ですね~」
 地図を見ながらハルカラが言った。工場の経営者だけあって、地理もかなり詳しい。
「ちなみにどんな魚が穫れるの?」
「主に長い魚です」
 なんだ、その独特の回答……。

「エルフって海の幸はほぼ食べないので、魚にはあまり関心がなくて……。潮風を受けても育つ種類のキノコには興味があるんですけど……」
「まあ、ハルカラなら、そっちのほうが気になるよね……」

 一方。ナタリーさんは「イケメンの人、イケメンの人……」とぶつぶつ言っていた。
 彼女はそれなりに気合いを入れているらしい。
 フラタ村みたいに小さな村だと新しい出会いは生まれづらいので、たしかに外に出て婚活するというのは正しいのかもしれない。

「観光名所はあるかな~。あ~、やっぱりミスジャンティー神殿ですね。あそこは立派だと王国の中でも有名ですからね~」
 ハルカラはタジン村のことを調べているらしい。

「ああ、そのへんって大きな神殿があるんだっけ?」
「はい、松の精霊を主神として祀っている大きな神殿ということです。松は海辺でも育ちますしね。その中でもひときわ大きな松が精霊ミスジャンティーになったと言われています」
 この場合の精霊というのは神とイコールなんだろう。海辺には松林があるところが珍しくないから、いかにも起こりそうな信仰だ。

「ちなみにこの松の精霊は大昔から結婚の仲立ちをする存在としても、各地で信仰されていたようですよ。なんでも、根が二本で途中から一本に融合した松があったことから、結婚でご利益があると言われだしたとか」
「そんな精霊を祀ってる村なのに、婚活パーティーをしないといけないって皮肉な話だね……」



 そして私たちはタジン村に到着した。
 思った以上に、村は寂れていた。

 人がいない。人より猫のほうが多いぐらいだ。
 海岸沿いに松並木が続いているけど、歩いてる人はちっともいないので、荒涼としているように見える……。

 そこに強めの風が吹いた。
「うわっ! 目に砂が入りました! エルフは海に来るなということでしょうか!」
「それはハルカラが不運なだけだと思うよ」

 ひとまず、婚活パーティーの受付にナタリーさんだけでも連れていかないといけないんだけど、このへんだよね。どこだろう……。
僕自身が未確認なのですが、このラノで12位(単行本ランキング)になったそうです! うれしいです! 1月にはドラマCD付き5巻も出ます!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ