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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

地方の婚活パーティー?編

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233 漁港の婚活パーティー

今回から新展開です! よろしくお願いいたします!
 ある日、私はいつものようにフラタ村に買い物に行った。
 隣にはフラットルテが並んでいる。だいたい、買い物は誰かがついてくる。娯楽の少ない土地柄だけど、村に出れば、まだ何がしらの刺激があるしね。

 私はギルドのナタリーさんのところでスライムの魔法石を換金する。

「はい、今回の分ね」

 魔法石をナタリーさんに渡す。
 お金を稼ぐだけなら、『食べるスライム』を売ったりするほうが儲かりはするんだけど、三百年も続けていた日々の営みみたいなものだから、急にやめるわけにはいかない。

「はい、いつもありがとうございます。一つ、二つ、三つ……」
 ナタリーさんは数えながら、なぜか私たちのほうをじぃっと見つめている。

「あの……どうかした、ナタリーさん?」
「高原の魔女様も、フラットルテさんもおきれいですよね」
 唐突に褒められた。唐突でも悪い気はしない。フラットルテもまんざらでもない顔をしていた。

「当然なのだ! フラットルテ様は昔から、『黙っていれば、かわいい』といろんなドラゴンの男から言われてきたからな!」
 それってしゃべってみたら幻滅するってことだと思うんだけど……ここは黙っていようかな……。本人は褒め言葉だったと受け取ってるみたいだし。

 そんなことより、ナタリーさんがなんでそんなことを言ってきたかだ。
 理由もなしにきれいだとか言わないだろう。しょっちゅう、顔を合わせているわけだし。
 ナタリーさんはなんだかんだでやり手だ。少人数制の村のギルドだから、なんでもできる優秀な人が配置されている。

「また、厄介事でもあるんじゃないですか? 変な依頼が来てるとか……」
 ナタリーさんは否定してこないので、大きくははずれていないようだ。

「実はですね……依頼とは違うのですが、こういうものがありまして……」
 ナタリーさんがチラシを私たちのほうに出してきた。

 そこにはこんなことが書いてあった。

=====
タジン村婚活パーティー

自然がいっぱい、魅力いっぱいのタジン村で理想のパートナーを見つけよう!
村には美男美女が揃ってます!
伝統ある松の精霊のミスジャンティー神殿で式を挙げよう!

参加費 村民じゃない人はなんと無料!
ひやかし大歓迎! 観光目的でも可! 来て見て体感!
協賛:タジン村ギルド
=====

 なんか、情報量が多いチラシだな……。
 とはいえ、コンセプトはすぐにわかる。
 婚活パーティーをやるから若い人は来てねということだ。
 というか、婚活パーティーってこの世界でもやってるんだな……。

「高原の魔女様のおかげで、フラタ村は人口が増えました。ほんとにありがたいことです。ただ、地域によっては人口減少で悩んでるところもあるんですよね~」
 ナタリーさんがため息混じりに説明を加えてくる。まあ、そうだろうな。人口も子供も増えてるところで、町や村が婚活パーティーを主催する意味はない。

 なお、私のおかげで人口が増えたというのは、私が薬を作ったりしたおかげで長いスパンで村の幼児死亡率が下がったせいだ。どこの世界でもそうだけど、医学が発達するまでは子供が亡くなるケースは多かったからね。

「このタジン村というところも小さな漁港だったんですが、漁がなかなか朝早くて大変だということで、若い人が村を出ることが増えて、人口が減ってきたんです」
 生々しい理由だな……。漁師さんって無茶苦茶、早朝に海に出たりするもんね……。

「それで人口減少に歯止めが利かないのでこんなものを主催することになったわけなんです。とくにこのフラタ村は人口が長期的にちょっとずつ増えてるところなんで、いい男女がいたらぜひ呼んでくださいとギルド経由で言われてるんですよ……」
 ギルドは広域ネットワークなので、こういうところで役所のような使われ方をすることがある。今回もそれらしい。

「それで、私たちに婚活に参加しろって言いたいわけ?」
「はい、まあ、その……そういうことです……」
 ぎこちなく微笑むナタリーさん。

「ほら、高原の魔女様も、たまにはそういう出会いを求めるのもいいかもな~と。もちろん、気楽に観光気分行ってみればいいと思うんですが……」
 ただ、ナタリーさんの表情が硬いので、私は少し試すことにした。

「ふうん。これでもし私が結婚して、フラタ村に戻ってこなくなったら、ちょっとばかし村にも打撃になる可能性もあるかもしれないけど、いいんですか?」
 なんだかんだで私は村に貢献してきてるからな。恩を着せる気はないけど、ナタリーさんが本心で言ってるかどうかを確認するためだ。

 彼女はすぐに青い顔になった。
「すいません、すいません! 高原の魔女様に出ていかれるのは、フラタ村として看過できない痛手です! ずっと高原の家に住んでてください! 絶対に嫁いだりしないでください!」
「ふう、本心が聞けて、もやもやが取れたよ」

「すいません……。誰か若い人を形だけでも送り込まないと、ギルドの上のほうからも何か言われそうなんです……。かといって、タジン村って漁港じゃないですか。ここからも離れてるし、村の人が行くわけもなくて……」
 なるほど。一応、自分はやることはやったアピールが必要ということか。こういうの、面倒くさいよね。私も社畜時代、できるわけないだろってノルマを課せられてキレそうになったこととかある。

「そちらのフラットルテさんは、どうですか? 結婚とか興味ないですか?」
 ナタリーさんが押してくる。
 で、フラットルテのほうはというと、いくらか興味があるという顔をしていた。
 少なくとも全否定という感じではない。

「そ、そうだな……。なかなかフラットルテ様の魅力がわかる男のドラゴンがいないのだよな……」
 見た目は若いから気づきにくいのだが、実はフラットルテはすでに四百歳ぐらいで、私たちと会う前から結婚相手のドラゴンを探していたのだ。
 私が初めてフラットルテと遭遇した時もライカのお姉さんが結婚式を挙げるので、それの妨害のためだった。自分より若いライカのお姉さんが結婚するのがムカついたらしい。

 つまり、フラットルテにはもともと結婚願望はあったのだ。
 高原の家に住むようになって、本人も結婚のことは忘れていたはずだけど、また、思い出したようだ。

「人間の男に興味を持てるようなのがいるとは思えないけど、見るだけならいいかもな。見るだけなら……ほんとに見るだけなら……」

 どうやら、行く流れになりそうだ……。

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