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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ユフフママの娘編

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232 家族再会

 私はグーパンチで木製の扉をぶち破った。
 男が教えてくれたとおり、中には四人の敵がいた。
 壁が壊されたこと、さらに幼女の私が入ってきたことに、まだ頭が追いついていないようだ。夢でも見てるようだと思っているかもしれない。

「悪いけど、おとなしくしといてもらうよ。犯罪者さん」
 私は近くのテーブルに飛び乗る。
 そこから右足を軸にして、左足でキック!
 まず一人を壁のほうに吹き飛ばす。

 男の一人が「何しやがる!」とナイフを持って襲ってきたので、テーブルの皿を男にぶん投げる。
 ひるんだところをテーブルからジャンプして、かかと落とし!
「子供のかかとでも痛いでしょ!」

 続いて、部屋の奥で突っ立っていた男には、そのままダッシュして頭突き!

「いったい、何だ? 何が起こってるんだ? 子供がこんなに強いわけ……」
 最後の一人はこの惨状に泣きそうになっていた。

 さ~て、どうやって片付けようかな。ふふふ~ん。

「ば、化け物……化け物……」
 私はゆっくりと近付いていく。
 たまには、こうやって罪の意識もなく暴れられる機会もほしいよね。

「逃げ場なんてないよ。もう、諦めてね」
「ひっ! これまでのことは水に流してくだ――」
 そして、本当に水に流れた。

 男の真横の窓から鉄砲水とでも言うのだろうか、巨大な水のかたまりがやってきて、窓を割って男に直撃したのだ。
 そういえば、こんな映画あったな。海底にある研究所に水が流れ込んできて、鮫まで入ってくるやつ……。

 陸なので鮫はもちろんいないけど、そのまま男は壁のほうに打ち付けられて気絶した。

「二人とも、ケガはない!?」
 割れた窓からユフフママが入ってきた。
 こんな芸当は一般人にはできないから、確実にしたたりの精霊であるユフフママの力だ。

「二人が誘拐されたって言われて、あわててやってきたの!」
「うん。私がケガするわけないし、サンドラも無事だよ」
「よかった、よかったわ~!」

 ユフフママは私たち二人をぎゅっと抱きしめた。
 私は強い愛の力を感じた。血がつながってるかどうかは、やっぱり些細なことなんだな。時間からなかば自由になっている私たちにはたいしたことじゃないんだ。

 けど、胸による圧迫がなかなかきつい……。
 ユフフママ、本当に巨乳だから、これは子供にはきつい……。
 今回の誘拐事件中、最大の暴力なのは間違いない……。一種のキメ技の可能性すらありうる……。酸素が、酸素が奪われる……。

 ちなみにサンドラのほうが本当に失神しかけていたので、私が強引に止めさせた。

「ちなみに、誘拐組織の残り二人は?」
「悪い奴はママがこらしめておいたわ。死なない程度に溺れさせたから」
 きっちり倒してから、娘を助けに来たのか。順序としては娘を助けて攻撃してよ……。立場としては人質なんで……。

「二人とも怖い目に遭わせてごめんね。やっぱり、ママが一時でも目を離してはいけないんだわ……」
「今回は特殊なケースだから気にしなくていいよ」

「そうかもね。じゃあ、おうちに帰りましょうか」
「いや、ママ、ちゃんと警察に届け出ないと……」
 軽く解決したこととはいえ、誘拐グループ八人を壊滅させたって、まあまあ大きい事件だからね。



 その誘拐グループは全員お縄になりました。今回が初犯とも思えないし、ちゃんと罪を償ってね。
 むしろ、警察の人に自分たちの身元を説明するのに苦労した。精霊ですとか言うと、ややこしいことになるリスクがある。

「あのね、ママは偉い魔女なの。だから、魔法で私たちも守ってくれたの」
 私が代わりに話を作ることにした。純真な子供なら逆にウソを言ってるとは考えないんじゃないか。魔女が魔法を使ったという話なら、違和感もないし。
 私がやたらと強かったと犯人が証言するかもしれないけど、それも魔法の効果ということでゴリ押しで乗りきれるはず。

「なるほど。この巨大な胸に魔力を貯蔵していらっしゃるわけですな。それなら偉大な魔法使いというのもうなずけます」
 何がなるほどだ。
 この町の人間、ユフフママの胸に気を取られすぎだろ……。


 それから先はずっと手をつないだまま、買い物をした。
「ママ、そこまでしっかりつかんでなくても私は大丈夫だよ」
「ダメよ。二人ともかわいすぎるんだから、いつ誘拐されるかわからないでしょ!」

 事実、誘拐された手前、そんなことないって言えない。
 しかし、途中からサンドラの足取りが重くなった。
「なんか、疲れてきたわ……。根っこで歩くのって大変なのよね……」
「じゃあ、ママがおんぶしてあげるしかないわね」
 ユフフママの背中でサンドラは眠りに落ちてしまった。

 そうこうしているうちに日も暮れてきた。
 夕暮れの中を妹をおぶっているママと歩く――ああ、なんかとってもいい光景だ。

「私のわがまま聞いてくれてありがとうね、アズサ」
 しみじみとユフフママは言った。
「私、この五十年ぐらいの中だと一番幸せだった日かも」
「私もトップレベルで幸せだった日の一つだよ」

 ユフフママにひっつきながら歩く。

「家長をやるのも楽しいけど、たまには子供をやるのも悪くないもんだね」
 関係性が変われば、それまでとは違った幸せがあるものだ。

「また、サンドラも連れてユフフママのところに行くよ」
 一期一会って言葉はあるけど、一回しか会ったらいけないなんてルールはない。何度だって会いに行けばいいのだ。

「ええ、待ってるわ! いつでもウェルカムよ!」
 この言葉にウソいつわりはないだろう。
「そして、アズサはいつでも小さくなってくれていいからね!」
 ユフフママの目がきらきらしていた……。

「あ、それはできれば遠慮したいかな……」
 やけに子供バージョンの私、人気があるな……。

 ――ちなみに、いかにもその日で親子ごっこもおしまいという空気を出しちゃっていたけど、それから五日間、幼女の姿でユフフママと過ごしました。
「今日もいてね、ねっ? ねっ?」
「うん、わかったよ……。もう一日だけね……」
 そんなことが毎朝続いて、なかなか帰れなかったのだ。こんなことなら最初から日数を決めておくべきだった。

 一方、サンドラのほうはすっかりユフフママをママと認識したらしく――
 最終日は肩をとんとん叩いていた。
 私より、ママだと強く認識しているのではなかろうか……。

「どう? 加減はこれぐらいでいい?」
「あ~、ありがとね、サンドラ。胸が大きいせいか、肩がこるのよね」

 けっ。
 私はイラッとしながら、聞いていた。
 幼女になるキノコがあるなら、胸だけ大きくなるキノコもあってしかるべきではないだろうか。


次回から新展開です!

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