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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ユフフママの娘編

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231 誘拐されちゃったので誘拐犯倒します

3・4巻重版記念で、ちょっと更新頻度を上げます!
 私はユフフママが戻ってくるまでサンドラのおもりをするつもりだった。それが姉の責務だ。

 でも、なぜか体がふわっと持ち上がった。
 ユフフママかと思ったけど、もっと乱暴な力だとすぐにわかった。

 次の瞬間には、どこかに放り込まれる。馬車の中だった。
 それに続いてサンドラもその中に投げ込まれる。私はサンドラをキャッチした。小さくても中身は大人だ。しかもレベルMAXだ。

 サンドラはパニックになっている。
「ちょっと! な、何が起きたのよ!」
「サンドラ、今は静かにしたほうがいい。状況を確認しよう」

 馬車の幌の中に男が乗り込んできた。それと同時に馬が走り出す。もう一人、御者役がいるのは確実だ。

「へへへ、お嬢ちゃんたち、その服からして貴族の娘か、金持ちの商人の娘だな。誘拐すればたんまり身代金がとれるぜ」
 下卑た表情で男が言った。
 あ~、そういうことか。

「おじさんたち、誘拐犯なの?」
 私は相手を刺激しすぎないように、わざとおっとりした口調を意識して言った。
「そうだぜ。お嬢ちゃんみたいなのはかっこうの獲物ってわけさ」

「ふうん。おじさんたちだけなの? それとも、おっきい組織の構成員なの?」
「やけに聞いてくるな……。全部で八人だぜ。身代金を要求するとか、手続きがいくつもあるからな」
「お名前はあるの? みんなの中だけの符丁みたいなのはあるの?」
「本当によく聞いてくるな……。そういうのは秘密だ……」
 すでに私の頭は、こいつらを全員逮捕するにはどうしたらいいかに切り替わっていた。

 悪いけど、あなたたちが誘拐したのは、とっても恐ろしい魔女だからね。並みの魔族の何十倍も恐ろしいからね。

 問題はユフフママに伝える手段がないことだけど、今、馬車から飛び降りてもこいつらのアジトとかわからないし、サンドラを一人にするわけにもいかない。
 この様子だと町にもこいつらの仲間がいて、子供を探してる貴婦人がいないか必ず見張ってるだろう。それでユフフママも何が起きたか知るはずだ。

「それで、お嬢ちゃんたちの親の名前はなんて言うんだ?」
「ユフフだよ」
「ユフフ? 聞いたことないな……。どこの商人だ……?」

 まあ、まさか精霊だとは思わないだろう。
 私はサンドラの手をぎゅっと握った。ここはお姉ちゃんらしく振る舞わないとね。
「心配いらない。すぐに全部、きれいに解決するから。私を信じてて」
「うん……。わかった……」

 さてと、妹をいじめないように忠告だけしておくか。
「おじさん、妹を泣かすようなことがあったら、姉として絶対に許さないからね。弱き者を守れっていうのが、我が家の家訓だから。そこは知っておいてね」
 私は強い目で男をにらみつけた。

「その言葉……騎士か何かの家柄か……? 軍人の家系だと少々厄介だな……」
「軍人より恐ろしいかもしれないよ。だって、うちって魔族ともつながってるらしいし」
 というか、私がつながっています。

「なっ……。魔族だと……。そりゃ、ウソだろ……。そんな貴族も商人も聞いたことがない……」
「聞いたことがないって、表ざたにしているわけないじゃない。私も魔族の城であるヴァンゼルド城に招かれたことがあるよ」

「な、な、な……」
 男は困惑している。私の言っていることの真偽がわからないんだろう。
 私はわざと大人びた雰囲気を作って言う。
「おじさん、この世にはね、関わってはいけない人間もいるんだよ。おじさんたちはそういうものに偶然関わっちゃったね。でも、こういうのも悪いことをしてきた報いなのかな」

「なんだ、この子供……。まるで大人みたいなしゃべり方をしやがる……」
 だんだんと男の顔色が悪くなってきた。何かがおかしいと感じはじめたんだろう。

「あまりしょうもないことを言ってると殴るからな! 余計なことはしゃべるな!」
「うん、黙ってるよ。でも、妹に手を出した場合は徹底して姉として復讐するからね。それはどれだけ脅されても変わらないから」
 もう一度、きつく男をにらんでやった。

 私としては、こんな事件、どうとでもなるし、もはや解決しているようなものだけど、サンドラがかわいそうだ。
 それと、ユフフママの楽しい一日に汚点を残すかもしれないことも腹が立つ。

 なので、その落とし前はつけてもらうからね。

「変なガキだ……。ごっこ遊びか何かだろ……」
 男は私から目を背けて、話を打ち切った。
 でも、冷や汗みたいなのが流れているのがわかる。
 不気味なものを感じ取ってはいるんだろう。そういうのは感覚で悟るものだ。

 私はサンドラの背中をさすった。
「大丈夫だよ。お姉ちゃんがついてるからね。我が家に手を出した一族はみんなひどい目に遭ってるからね」
 イヤガラセで男がぞっとするような表現を入れてやった。

「ありがと……。気も楽になってきたわ」
「だったら、よかったよ」

 やがて馬車は森の入り口あたりで止まった。
 今は使われていない小屋をアジトにしているようだ。

「さあ、お前ら、降りろ」
「ねえ、ここにいるのは今何人?」
「町に残ってる二人を残して全員だ」
 バカ正直に教えてくれてありがとう。

「ということは、ここにいるのは六人ってことだね?」
「ああ、そんなこと聞いてどうするんだ? 逃がしはしね――」

 もう、私はその男の顔をジャンプして、殴りつけていた。
 男が何メートルも吹き飛ぶ。ぐったりしているし、失神させられたようだ。
「うん、威力は子供になっても落ちてないね」

 御者役の男がぽかんとしていたが、声を出す前にこちらもジャンプキックを喰らわせた。

「魔法を使うと、変な噂が立っちゃうかもしれないし、普通に打撃でやっつけるほうがいいよね」
「アズサ、とっても強いって話は本当だったのね……」
 そういや、サンドラに私が戦ってる姿は見せたこと、なかったかもね。

「こんなザコをやっつけても、どれぐらい強いかよくわかんないけどね。事が終わるまで私のそばにいてね。危なくなったら地面に潜ること」

 私はそのまま小屋の扉に手をかけ――られない。手が届かない……。
 ジャンプしてドアノブに触ったが、カギがかかってる! 
「ああ、もう面倒くさい!」

 私はグーパンチで木製の扉をぶち破った。

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