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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ユフフママの娘編

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229 子供の一日

6万点を突破しました!!! 本当にありがとうございます!!!
今後ともスライム倒して300年をよろしくお願いいたします!!!
 勉強を教えていると、やがて、ごはんの時間になった。
「はーい、アズサ、パンが焼けたわよ」
 ユフフママがお皿を持ってやってくる。
「やったー。おなかすいてたんだよね」

 小麦のいい香りが鼻をくすぐる。
 心なしか、大人の時より食事を楽しみにしている気がする。
 夕飯のスープに毒キノコが入ってないか念のため聞いたけど、キノコは入れてなかったので大丈夫だ。

「サンドラ、文字はかなり書けるようになったみたいね~。お姉ちゃんが教えてあげたからかな~」
 ユフフママはとことんママとして振る舞う気だな。
「うん。私もしっかり教えてあげたよ」
「私の実力よ」
 まあ、サンドラはこう言うだろうな。
 ある種、元からこんな幼女なので、そういう意味では演技じゃなくて素だから、ユフフママとしてはちょうどよいのかもしれない。

「けど、サンドラ、お姉ちゃんも協力してくれたんだから、ありがとうって言わないとダメよ」
 ユフフママ、締めるところは締める。

 サンドラは隣に座ってる私のほうをちらっと見た。
 それから、ふてくされたような表情と照れてる表情の間ぐらいの顔で、
「ありがと……お姉ちゃん……」
 と言った。

 あっ、これは悪くないんじゃないかな。
 子供にお姉ちゃんと言われる感覚、今後も覚えておこう。

「アズサ、サンドラ、明日は町に買い物に行きましょうか。ほしいものがあったら、買ってあげるわよ」
「精霊も町で買い物するんだ」
 まだ、いまいちしたたりの精霊の生活がわかってない。この家にも日用品とかたくさんあるし、一般的な料理を作ってるから、人間に近い生活を送っているのはなんとなくわかるが。

「精霊によりけりだけど、私は人間的な生き方に合わせてるわ。精霊として何百年もじっとしてても、まったく面白くないでしょ」
 それは退屈だろうなあ……。いろいろと納得した。

「こんな時のためにお金も貯めてるから、かわいい服、たくさん買ってあげるわ~」
 どうやって、お金を貯めているのか謎だけど、サンドラ用の服を買ってもらえるのはありがたい。ファルファとシャルシャの服では大きすぎるのだ。

「食後はママと一緒にお風呂に入りましょうね」
「私はお風呂入ると根腐れ起こすから、お姉ちゃんだけ入って」
 サンドラは制約が多い。

 ユフフママはごく自然に言ったけれど、数秒経ってから、まあまあ恥ずかしい気がした。



「ママとお風呂なんて、どれだけぶりだろう……」
 私はユフフママに背中を洗ってもらいながら言った。

 子供っていつのまにか、一人でお風呂に入るようになるよね。親と最後に入ったのは小学何年生だろう? もちろん思い出せない。

「私は娘とお風呂に入るの、初めてだわ」
 ユフフママはとても満足しているようだ。満足しているようなら、なによりだ。
 体を洗い終わったら、湯船に二人でつかる。

「ママ、おっぱい大きいね」
 これは子供じゃなくても思う感想だけど、今は子供視点です。なんか、マジックアイテムか何かのような気さえする。

「アズサも大人になったら大きくなるわよ」
「いや、そこまでにはならないから! それだけは確実に言えるから!」
 どんなに成長しても、限度がある。人にはそれぞれ壁というものがあるのだ。たいていの人は、ユフフママの手前に壁が来る。

「あ~、アズサは成長したらどんな感じになるのかしら。植物に詳しいから、きっと魔女になるんでしょうね~」
「そうだね、魔女になりたいな~。それでだらだら暮らしたいな~」
 二人で親子ロールプレイをする。

「サンドラは大きくなったら何になるのかしら」
「そ、それは……何になるんだろう……?」
 あの子、体が成長することはおそらくないから、見た目は永久に幼女なんだろうな……。

「百数える出ちゃダメよ――って言いたいところだけど、アズサ、すでにたっぷりつかってるわね」
「私、お風呂大好きだからね~」
 社畜時代、数少ない娯楽といえば、スーパー銭湯だったのだ。

「そろそろ出るわよ。脱水症状になっちゃうと大変だからね」
 ママと揃ってお風呂に出て、頭をタオルで拭いてもらった。

 子供時代って、こんなにいたれりつくせりだったんだなあ。たまにはこういうのもいい。大人として、最低限の責任を果たしつつ生きていくのも、それはそれで楽しいけれど、また違ったよさが、この生活にはある。

 お風呂から上がると、サンドラが本を持って、待っていた。
「ママ、読んで」
「はいはい」
 サンドラはナチュラルに甘えて、ユフフママもとてもうれしそうだった。

 その日は三人で同じベッドに入って眠ることになった。
 ちなみにサンドラ用に、ママは本の続きを読んであげている。

「ですが、そこで大変なことが起きました。なんと、用意していたはずの玉ねぎが見つからないのです――あっ、サンドラ、寝ちゃったかしら?」
 サンドラはすうすうと寝息を立てていた。こうやってベッドの中で眠れるんだな。
 たまには土の中で寝るんじゃなくて、こういうスキンシップもいいな。

「アズサのほうは起きてる?」
「うん、まだ起きてるよ、ママ」
「やっぱり子供っていいものねえ」
 その言葉は、率直な心の吐露だと感じた。

 ユフフママの手がやさしく私を包む。
「私もママっていいものだと思ってるよ」

 不思議な一日だったけど、充実してたな。そんなことを考えてると、頭が重くなってきて、すぅっと眠りに落ちてしまった。



 翌日、私たちはユフフママとそこそこ栄えている町に出た。

「ふふふ~、こういうの夢だったの~」
 ママの両手には、それぞれ私とサンドラがいる。私も、こういうのをファルファとシャルシャでやったことがあるので、その気持ちはよくわかる。
 ここはとことんユフフママに堪能してもらおう。サンドラのほうもユフフママの娘としての設定も板についている気がするし。

「二人とも、いい服を買ってあげるからね。いつか、こういう日が来た時のためにチョイスしておいたの」
 ユフフママの目がガチだ……。

 よーし、今日はどこまでも着せ替え人形になってあげよう。

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