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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフが来た編

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22 弟子はキノコ博士

キノコ狩りに一度行きたいという個人的な興味でこんな話になりました。
 森に着いたら、私達は早速、かがみこんで植物を採集する。
 採集したものはカゴに入れる。このカゴは背中に背負うことも出来る便利なものだ。

 ただ、今回は私がハルカラの仕事振りを見るという目的がメインだ。私のほうの採集は少なくてもかまわない。

 もし、私が使ってない植物を利用していたりしたら、教えてもらいたい。同業同士での付き合いも長らくなかったし、情報交換ができたらいいな。

 ハルカラの視線は草よりは木とか地面に向いている気がした。

「あ~、ありました、ありました」

 木の根元についているキノコをとる。

 さらに地面から生えてきているキノコも。

 草むらを掻き分けて、そっと隠れたようなところにあるキノコも。

 色が派手で一見、毒がありそうで怖いキノコも。

「そんなキノコばっかりとるんだ!」

 もちろん私もキノコを使うことはあるが、ここまで徹底してキノコをとりはしない。実際、ハルカラの収穫物の中には私がずっと無視していたようなキノコも交じっていた。

「わたし、得意分野はキノコなんです。ちなみに、あくまで薬用ですよ。毒キノコも交じってますからね。食べたら危ないものもありますよ」

「たしかに薬用なら毒みたいな成分が使える時もあるか」

「わたしの故郷とは気候が違うからか、キノコの種類もかなり違いますね。これは収穫のしがいがありますね!」

 それから先もハルカラはキノコを重点的に、というか、キノコだけをとった。
 調薬師というより、キノコ研究家といった感じだった。

「これがアカツキダイオウタケですね。こっちはオオマルダケ。ネズミコロガリタケもありますねー」

 名前を知らないものはなかったが、まともに薬として使った覚えのないものはけっこうあった。

 そういえば、魔女が作る薬も地域性みたいなものはあるらしい。生えている植物が違うから当然と言えば当然だが。

 途中からハルカラのキノコレクチャータイムになってきた。
 私としても今後の参考になるので、真剣に聞く。

「このキノコは毒があるんですよー」

「うん、知ってる。見るからに赤が濃すぎてうさんくさい」

「実は、このキノコ、十分ほど煮沸すると毒の成分が分解されて消えるんですよー! そしたら、おいしいキノコとして食卓でも使えます!」

「えっ? そんな方法があるの?」

「ちなみにツウの人はわざと毒がちょっと残ったのを食したりしますね。すると気分がほんわかしてきて、すごく気持ちいいらしいです」

 命知らずな人はどこにでもいるからな。

「このコロコロダケは小さいので、ほとんど見向きされないんですが、実は食感が面白いので、炒め物に入れるとアクセントになりますよ」

「えっ、こんなのも食べられるの? これ、このへんの村でも食べてないよ」

「おなかがふくれるようなものではないですけど、食感を楽しむ種類ですね。たしかにサイズが小さいので売り物としてはあまり出回ってないかもしれないですねー」

 キノコ名人にいろいろと教えてもらっていると、もうお昼の時間になった。

 やっぱり、専門家がいるとありふれた世界にもいろんな知らないものがあるってわかるな。実にためになった。
 あと、キノコ料理のレシピがいくつか増えた。

「ここまで刺激的な薬草採取になるとは思わなかったよ。ありがとう!」

 本当に想像以上に得るものがあった。

「いえいえ、楽しんでいただけたようで何よりです。わたしの知らない薬草もここにはたくさん生えてますし、今度はお師匠様も薬草のこと、教えてくださいね」

 たしかに植物の関係では私のほうが地元なだけあって、ハルカラより詳しいようだった。
 エルフだからといって、薬に関する知識がなんでも完璧というわけではない。自分の住んでた近くにない植物だと知識も限界があるだろう。

「あと、モンスターが襲ってきた時はお師匠様がやっつけてくれましたし! ものすごく強いという噂は本当だったんですね!」

「この森に出てくる奴ぐらいなら、任せて」

 ああ、伊達にレベル99ではないからな。森に出てくるザコモンスターにはさすがに負けることはない。スライムと巨大なオバケウサギぐらいしか倒してないが、ハルカラはオバケウサギに会っただけでも、かなりあたふたしていた。

「じゃあ、お昼にしようか。サンドウィッチ持ってきたから」

 早起きして作ったサンドウィッチだ。

「ありがたくいただきます! ですが、お師匠様にお世話になりっぱなしなので、ここはわたしも料理を作らせてください!」

 そう言うと、ハルカラは網と日本で言うアルコールランプ的なものを出してきた。なんか、大昔にやった理科の実験を思い出した。
 そういったものをひらべったい石の上に設置していく。簡易バーベキューのようなものか。

「わたし、キノコの採集をする日は、こうやって食べられるキノコを網焼きにしていただくのが好きなんですよー! ちょうど、あっちに小川もあって、キノコについた土も洗えますし、立地条件は最高です!」

「キノコか。たしかにおいしそうだけど、毒キノコは入れないでね」

 どんと胸を叩くハルカラ。

「ご心配なく! わたしのキノコ知識は完璧ですから!」

 ハルカラが詳しいのは間違いないだろうし、ここは信じてみようか。

 キノコを焼いている間、私たちは作ってきたサンドウィッチを食べて待つ。

「おっ、小さいのが焼けてきましたね!」

 ハルカラはなにやら黒いソースが入った瓶を出す。

「これ、エルヴィンというソースです。エルフがそのまんま語源になってるほどエルフの食生活にはなじみのあるものですね」

 それを焼けたキノコの上にそれを垂らす。

 すると、ジュージューキノコが音を立てて、たしかに食欲をそそる。

 あれ、この香り、ちょっと醤油に似てるぞ!?

「エルヴィンは何種類かの豆を発酵させて作ってます。もっと全国区になってもいい味だと思うんですけどねー」

 やっぱり醤油の仲間だ!

 よく焼けたキノコにフォークを突き刺すシステム。

 熱いので、ふうふう吹いてから口に入れると――

「うわあああ! これは美味い!」

 シンプル・イズ・ベスト! 最高だ!
 そしてエルヴィンは醤油に近いタイプの味がした。醤油より臭みが強いが、それは発酵の仕方によるものなのだろう。

「ああ、お酒! お酒があったら言うことないんだけどな!」

 なぜ、今、ビールがないのか! そんなことを口走りたくなる。ちなみにこの世界にもビールに似たアルコール飲料はある。

「さあ、どんどん食べてくださいね! それぞれ、食感が違いますからね!」

 まさか、キノコパーティーが森の中で行われることになろうとは。
次回、キノコパーティーの続きです。ただ、そろそろキャラ一覧表みたいなのも作りたいですね……。

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