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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ユフフママの娘編

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227 久しぶりに子供になった

「あらあら~、とってもかわいくなっちゃったわね~。あっ、かわいいというのは大きさのことで、アズサはもともとかわいいけどね」
 そこは三百年間、十七歳の姿をしているので、割とかわいい自負はあるが――問題はそこじゃない。

 ユフフママにぐいっと持ち上げられた。
 前に小さくなった時も、こんなことをされた気がする。
 幼女化した人間を見ると、みんな本能的に持ち上げたくなるらしい。いや、あまり幼女化の現象は一般的ではないので、そんなに広く適用できることかはわからないが。

「うん、軽い、軽い! かわい~。かわい~!」
 さっきからユフフママは「かわいい」を連発している。元のサイズではない状態で「かわいい」を繰り返されてもあまりうれしくない。

「はぁ……。まさか、ここで小さくなっちゃうなんて……。別に『マンドラゴラ錠』を飲めば治るって知ってるから、そんなに深刻なことじゃないけどね……」
「え~、すぐに元に戻しちゃうの?」
 残念そうに言われたけど、そりゃ、戻すだろう。このまま生活をしていくと不都合が多すぎる。たとえば、高い棚のものが取れないとか、買い物に行くのに大人の状態より疲れるとか。

「ねえ、お願いがあるんだけど」
 ユフフママは私を床に降ろして言う。
「しばらくの間、私を本当にママってことにしてくれないかしら?」

「いっているいみがよくわからない」

 いったい、どうすればいいんだ。私が精霊として生まれなおすの? そんなこと、私でもできないよ。自由に転生しなおすとか、そういうことは不可能だ。

「アズサが私の娘として数日暮らすの。せっかくだし、町にも行ってみましょうか。ほら、親子水入らずの生活をするの」
「え……? 私としては、これまでもユフフママをママのつもりで接してきたつもりだよ?」
 違う、違うと手を横に振って否定を示すユフフママ。

「あのね、それって帰省で戻ってきてる娘と母親の関係でしょ? 今ならまだ幼い娘と母親の関係じゃない。これは、もうまったく違うわよ。どぶ水と湧き水ぐらい違うわよ」
 それ、元の私、どぶ水って言ってない……? 水系統の精霊とはいえ、失礼だな……。

「ほら、精霊って親も子供も原則いないのよ。だから、あなたのママ役をやるのは楽しみでもあったんだけど、どうせだったら、もっと幼い娘のママ役もやりたいな~って。ふふふ~」
 なんか、とくに意味もなく、頭を撫でられた。それだけ愛でるに値する存在ではあるらしい。

 私としては複雑な気分ではあるのだけど、料理作ってもらって、ゴロゴロしていた身としてはむげにも扱いづらい。
 今までこちらの都合を押し付けていた面がある以上、ユフフママの都合を押し付けられてもやむをえないところもあるんじゃないか。

 それに子供がいないというユフフママの言葉が胸に残っていた。
 私だって、今はファルファとシャルシャという世界一かわいい娘たち(異論は認めない。なぜなら世界一かわいいから)がいるけど、二人はスライムを倒し続けた結果、奇跡的に生まれた存在だ。
 その二人と楽しく暮らしてるからこそ、娘のいる生活にあこがれてる人にも親切にしてあげたくなる。
 あと、私のほうがユフフさんをママということにしてるのだから、私のサイズがどうなろうとママはママだろう。この世界にほかにママはいないのだ。

 と、その時、同じようにママがいない子が頭に浮かんだ。
 ずばり、サンドラだ。

 いや、サンドラも植物なので、親にあたる植物はきっとあったんだろうけど、人格を持つまでにとてつもない時間が経過しているので、親の植物なんてわからないのだ。
 サンドラみたいな状態にマンドラゴラがなるのは超レアな事例だから、おそらく枯れてるか、薬の材料とかにされているだろう。
 少なくともサンドラはママという存在を知らない。

「わかったよ、ユフフママ。この姿で娘をやってあげる」
「きゃー! とってもうれしー!」
 ぎゅうって抱き着かれた。ママのおっぱいが当たって、まあまあ苦しい。

「ただし、条件があります……」
「うん、なあに? なあに?」
 しかし、ほんと、おっぱいの締め付けがきついな……。
「サンドラっていう子供のマンドラゴラがいるの。その子も娘として扱ってくれる? 私とファルファとシャルシャぐらいにしかなついてないから、私がいないと心配するかもだし」

「もちろん、いいわよ! むしろ、今ならもう一人おまけについてくるって感じで最高だわ!」
 前世の通販番組みたいな発現だな……。

「じゃあ、一度高原の家に戻って事情を説明しにいくね」
「そうね。お願い、お願い」
 やっと巨大な胸から解放された。どうしたら、そんな胸に育つのか。なんか悪いことでもしているのではないか。

 けど、すぐに戻るのは無理だった。
 したたりの精霊であるユフフママに抱き着かれると、びしょびしょになるのだ。

「あらあら、そのまま戻ったらおもらししたように見えちゃうわね~」
 ユフフママ、他人事みたいに言ってるけど、一応あなたのせいだからね?

「ちょっと、炎の魔法で乾かしてくるね……」



 服の乾燥もすんだ私はユフフママの移動用魔法を使って、高原の家のほうに戻った。

 そこでサンドラに話をつけた。
「ふうん……。娘役ね……。わかったわ。やってあげてもいいわよ」
 やけに上から目線に感じるが、これがサンドラの基本なので、とくに問題はない。
「よし、じゃあ、それでいこう」

 ちなみに幼女の姿で高原の家に入ったら、当然のように家族にかわいがられました。

「小さなご主人様のためにクッキーを作るのだ!」
「我もクッキーを作りますからね!」
「それと、小さなご主人様のために、服も買ってこないといけないな!」
「わ、我も……いい服を見つけてきます!」

 いや、ドラゴンの二人はそこで張り合わないで!
 それと服を買われると、たまに小さくならないといけないような流れになりかねないので勘弁してほしい。

「この状態でさらにノームニナルダケを食べたらどうなるんでしょうか? 赤ん坊になる?」
 ハルカラが恐ろしい想像をしていた。シャレにならないぞ、それは……。

 というわけで家族の了承はとれました。

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