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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ユフフママの娘編

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226 ママのところに帰省

「へ~。そっか、そっか。学校は上手くいかなかったのね~」
「ファルファもシャルシャも偉大だってことが改めてわかったよ。親としては鼻が高くもあるんだけどね」
 私はソファで寝転がりながら、近況を報告する。あくびが自然と漏れる。我ながらとてつもなくリラックスしているなと思う。

 どこのソファかというと、したたりの精霊であるユフフママのソファだ。

 そう、私はユフフママの家にやってきて、ごろんとくつろいでいた。
 子育てについて話せる相手なんて、それこそママ的存在であるユフフママぐらいしかいないからだ。といっても、ママ友に話してる雰囲気じゃなくて、自分の親に話してる感じに近い。

 娘の立場でくつろぐことができる唯一の場所が、このユフフママの家なのだ。

「さらにサンドラちゃんって子も増えたのよね? あなたも大変ね~」
「大変と言っても、マンドラゴラだから勝手に土の中で栄養とるし、勉強は娘が教えてるし、あんまり気をつかってるってわけでもないけどね」

「けど、人数が増えてくると、ケンカが起きたりとかってない?」
「あ~、サンドラって私と娘にしかなついてないところがあるんだよね……。本気でほかの面子とケンカしてるわけじゃないんだけど、もうちょっと丸くなってほしい時はあるかな……」

 でも、こういうのは時間が解決することでもあると思うし、そのうちサンドラもなじんでくるだろう。それこそ、水が合うならぬ、土が合うっていうか。

 それにしても、ほんとユフフママの家、落ち着くなあ。
 この実家っぽさはすごい。

「あの滝はどうなってる? 観光客とか来てる?」
 ユフフママの家の近くには、ブーガビーというさびれていた町がある。そこの観光の目玉にこの近所の滝を使うように勧めたのだ。

「冒険者を雇わないといけないから、一般観光客がぞろぞろ来てるってわけじゃないみたいだけど、それでも上級冒険者がたまに降りてきて、絶景だとか言ってるわね。知名度はじわじわ広がっていくんじゃないかしら」
「じゃあ、途中経過としては悪くはないかな」

「アズサ、お昼は何を食べる? キノコのスパゲティでいい?」
 昼食も当然のようにユフフママが作ってくれる。こういうところも最高だ!
「じゃあ、お言葉に甘えて、それで」
「できるまで、ちょっとソファで寝てたら? ごはんができたら起こしてあげるからね」
「ありがとう。じゃあ、ひと眠りしようかな」

 うつらうつらしていたら、タオルケットをユフフママがかけてくれた。
「はい、おなか冷やさないでね」
 ああ、いたれりつくせり!
 最近、私はたまにユフフママのところに出かけて、とことん娘として過ごすことにしている。私の中では、この行為を「帰省」と呼んでいる。
 異世界で三百年生活してた私に足りなかったのは帰省場所だったのだ。そういえば、なかった。それができたのだから、いよいよスローライフは素晴らしいクオリティになってきたと言っていいのではないか。

 台所で調理をしている音が聞こえてくる。
 あ~、ほっとする。
「そうだ。スイカがあるからデザートに出そうかしら」
 デザートのスイカ! これもまた実家らしさ!

 そのまま私は食事ができるまで本当にうたた寝していた。至福の時間の一つと言っても過言ではない。

「はーい、アズサ。できたわよ」
 ユフフママの声で起きると、テーブルには湯気のたっているキノコのスパゲティが置いてある。

「レストランみたいな味ではないと思うけど、食べられはすると思うわ」
「大丈夫、大丈夫! 実家の味がレストランである必要はないから! それは比較不可能なものだから!」
 実家でお店の味を出されても逆に困る。それは一種のカテゴリーエラーなのだ。猫カフェで大人のライオンがいても、なごめないどころか怖いようなものである。

「このあたり、湿ってるでしょ。だから、いろんなキノコが生えてくるの。そういうキノコを使ってるのよ」
「へえ、たしかに赤いのや黒いのや、いろんなキノコが入ってるね」
 少しチーズを振っていただく。

 ああ、いかにも家庭で食べる味! こういうのを求めていたんだよ!

 別に隠し味で白ワインを利かせるとか、そういうことはしていない。何層にも味に奥行きがあるわけでもない。でも、ちゃんとおいしい。まさしくママの愛がスパイスになってる味だ。

「もう、ユフフママ、ママすぎるよ~♪」
「私もアズサにママと言ってもらえてうれしいわ~。さあ、どんどん食べてね。おかわりもあるからね」

 私は笑顔でとろけそうになっていると思う。むしろ、少しばかりとろけているのではないだろうか。
 断言しよう、人生にはママが必要だ。

 私はきっちりとおかわりをした。
 いやあ、おいしい、おいしい。実家に帰ると、普段の食事より三割増しぐらいでごはんが入るよね。体重もちょっと増えたりするよね。そういう状態なのだ。

「ママ、ちなみにこの赤いキノコはなんて名前なの?」
 どこかで食べたことがあるような気もするけど。

「それはノームニナルダケね。コリコリして食感が楽しいでしょ?」
「あ~。ノームニナルダケか~。一度食べて大変なことになったんだよね~」

 ……あれ?
 なんで、大変なことになった記憶があるんだろう……?

 このキノコを食べるとノームみたいに体が小さくなるんじゃなかったっけ……? 一度、ハルカラに食べさせられて小さくなっちゃったはず……。

「あっ、そういえば、アズサってノームニナルダケって食べて大丈夫なんだっけ? 精霊は何の問題もないんだけど、あなたは精霊じゃないものね。人間が食べるとしばらく子供になるのよね」
 ユフフママ、確認とるのがちょっと遅い。

 やがて毒が効いてきたのか、私の体はどんどん縮んでいって――
 幼女サイズになって止まった。

 軽くファルファやシャルシャに抱きかかえられるサイズだ。サンドラと同じぐらいかな……。
というわけで、今回から新展開です。よろしくお願いします!

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