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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

今年も喫茶店をやった編

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220 今年も開幕

 さあ、喫茶『魔女の家』、今年も開幕だ!
 私たちはそれぞれ持ち場に移っていく。

 ちなみに私の立場はチーフ。
 全体を統括して、指示を出す。ここまでの規模になってしまうと、そういう総監督みたいな人間がいないとぐちゃぐちゃになってしまう。

 まずはお店の入口のところに移動する。
 ここではファートラが立って、お客さんの誘導をやっている。
「それではご案内いたします。何名様でしょうか? 三名様ですね。では、建物の中のテーブル席をお使いください。混雑時は一時間半までのご利用ということになりますが、よろしいでしょうか? はい、ご案内いたします」

 ファミレスみたいな応対になっている……。
 まあ、そうやって事務的にどんどん処理していかないと追いつかない人数のお客さんが来てるから、しょうがないだろう。

 通されたお客さんのところには、幽霊のロザリーが水の入ったコップを浮かせて、持っていっていた。
「お水でーす。メニューが決まったら、その小さいベルを鳴らしてください。幽霊は聴力はいいんで、だいたい聞き取れます。そしたら、誰か空いてる店員を送りますんで」
 店員を呼ぶブザー的なものも設置されていた。
 どんどんファミレスっぽさが増している……。

 早朝だけど、すぐに室内のテーブルは満席になり、外のテーブル席も次々にお客さんが座っていく。
 一回転目では列がはけきらない有様だ。お客さんのほうは、もっと遅くからオープンすると思っていたようなのでクレーム的なものはない。

 さて、厨房はというと、てんやわんやになっていた。
 こちらではライカとフラットルテがひたすら料理を作っている。ヴァーニアはまた別のところで調理をしている。作る量からしても自宅のものだけではまったく追いつかない。

「フラットルテさん、ニンジンとってください!」
「そんなのは自分でやるのだ! こっちもキャベツを切るので忙しいのだ! あっ、ベーコンを渡すのだ!」
「あなたもニンジンとってくれないじゃないですか。自己責任でお願いします」
「むむむっ! だからレッドドラゴンは嫌なのだ!」

 二人がいがみあっている。これは配置をミスったかなあ……。

「何があろうとライカよりおいしいものを作ってやるのだ!」
「我もあなたより、おいしいものを作りますからね!」

 ……かえって二人で競い合う展開になるから、このほうがいいのかな?

「ふん、いざとなったらライカの料理にそうっと虫を入れてやるのだ」
 私はさっとフラットルテの後ろに立った。
「今の、聞こえてたよ、フラットルテ。ちょっと、もう一回言ってみてくれるかな?」
「あ、あ……冗談です、ご主人様……。客がダメージを受けるようなことはやるわけないじゃないですか……ははは……」
 やっぱり私が見張っていて正解だった。

「あと、厨房で二人がガチのケンカをはじめたりした場合、罰として三日間、ほとんど野菜のやたらと健康的な食事しか出さないようにするからね」
「そんな! 肉のない食事なんて、水のない川みたいなものです!」
 肉の重要度、本当に高いなあ……。
「それじゃ、二人ともしっかりやってね。注文は今後もハイペースにやってくるから覚悟しておいて」

「料理を作るのも修行のようなものです。我は負けません!」
 ライカはやる気をみなぎらせている。いや、修行とまで考えなくてもいいけどね。

 娘二人も自分たちなりにできることをやろうと努力していた。むしろ、即戦力と言ってよかった。
「注文繰り返しまーす! オニオンスープ二つにチーズ入りライ麦パン二つ、それと『食べるスライム』五つですね! はーい! お待ちください!」
 ファルファはお店にあこがれがあるらしく、抜かりはない。
「オーダー入りまーす、オニオン二、ライ麦二、食べスラ五だよー!」

 厨房からライカの「喜んで!」という声が聞こえてきた。
 その「喜んで!」はやめてくれ! 威勢がよすぎる居酒屋か。

 シャルシャは接客は得意ではないので、テーブルを片付けるような役を中心にやっている。それでも、何かをやろうとしていることは伝わってくる。
「効率性重視、効率性重視……。お皿をここに置いておけば、一枚あたり三秒の節約が可能……」
 ファミレス本部の指導の立場みたいなことを言っている……。

 さてと、客席のほうに戻ろう。
「え、おすすめですか? うちはどれもおすすめですよー♪ ちなみに鶏肉はいいのを使ってますから、味が口の中にさぁっと広がりますねー」
 この声はいつもの態度からは想像しづらいが、ベルゼブブだ。接客中は、見事にやり手従業員になってくれる。

 しかし、それに輪をかけてやりすぎてる子がいた。
「それじゃ、いきますよ! 一緒にお願いしますね! おいしくな~れ!」
 ペコラがメイド喫茶の伝統的な風習みたいなことをやっていた。
 ちゃんと、手をハートマークにして、料理においしくな~れ光線(今、考えた単語です)を放っている。

「え? 住まいですか? ここからは遠いんですけど~、家はそこそこお金持ちなんで割と自由にさせていただいてるっていうか~」
 お金持ちって次元じゃないでしょ! 王でしょ!

 ペコラはすっかり楽しんでるな。何か違う立場になりきるっていうのは、それはそれで面白いんだろう。でも、お客さんも目の前にいるのが魔王とかその幹部って知ったら、びっくりするというか、混乱するだろうな……。

 そして、野外で一箇所、黙々と煙が上がっているところがあった。
 何も知らなかったら火事とか野焼きに見えるけど、そんなことはない。
 そこは、ヴァーニアの屋外キッチンだった。

「さあ! ステーキを焼きますよ! はい、はいっ!」
 ぶおおおおっと炎が鉄板から上がる。あの鉄板も多分、持ってきたんだろう。少なくとも我が家にはあんなものはない。一般家庭にはない。

 焼いた肉を、さっ、さっ、さっと切り分けていくヴァーニア。
「はい! ステーキできあがりですっ!」
 それを席から見ていたお客さんが拍手を送る。
 こっちは鉄板焼きのお店みたいになっている!

 もう、なんでもありのカオス状態だ。喫茶店ですらない。

 まあ、お客さんは間違いなく満足しているようだし、いいことにしよう……。

 それと、そろそろほかの場所が気にかかってきた。
 一巡目のお客さんがどんどん食べ終わって、帰っていく時間になってきている。

 お皿とか一気に戻ってくるけど、洗い場は大丈夫なんだろうか……? 洗い場は常に誰かを配置してるわけではないんだよね。いざとなったら私がしなきゃ。

 私はあわてて、洗い場のほうに戻った。
そろそろコミカライズ最新話の更新が近づいてきました! 次は前回のヒキ的にファルファとシャルシャが登場しそうな予感です!

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