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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

学校に通ってみた編

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214 授業崩壊

 そのあと、先生が持ってきたのは、いかにも本格的な算術の本だった。

「こ、これなら大丈夫なんじゃないかしら……? 私が大学で使ってた教科書だし……」

 シャルシャのほうは、この次元のものになるとわからないらしく、本を前にして、固まってしまった。とはいえ、大学の教科書なんだからしょうがないけどね……。

 先生も、これでひと息つけるかなという顔をしていた。問題児を連れてきて、すいません……。

 けど、ファルファのほうは、これでもまだ止めることはできなかった。

「はーい! 最初の証明問題は解けたよ! 先生、合ってるかな?」
 ファルファが手を挙げて、先生を呼ぶ。
「え、ええと…………そうだね、正解してるね……」
「このあたりの問題、だいたいわかるから、もっと後ろのほうやっていい?」
「それは、私も自信がないんだけど……。あの……大学に入って、そこで学んでくれないかな……」

 男子生徒が「すげー! 先生より賢い!」と叫んで、クラス中が盛り上がりだした!
「天才だ!」「天才転校生って実在したんだ!」「すごい、すごい!」
 わわわ……。授業が騒がしいことに……。

 しかし、先生は叱る余裕もないのか、疲れた顔でぐったりとしている。
「子供にあっさり負けた……。私って才能ないのかしら……。教師失格かしら……」
 どうしよう。自信を喪失してる!

「ファルファちゃん!」「天才ファルファ!」「ファルファ!」「ファルファ!」
 なんか、子供たちの中でファルファを祭り上げる空気に!
 そうか、教師を正攻法で超える存在って子供の中では英雄なのか。

 私の娘のせいで、授業が無茶苦茶なことに……。このままでは学びの場がぶっ壊れる……。

 だが、その盛り上がりは意外なところからかき消された。
「あーもう! うるさいわね!」

 サンドラが声をあげていた。

「今は授業中でしょ! 必要以上の私語はよくないわ! ファルファは偉いのかもしれないけど、今はそれぞれ自分がやるべきことをやる時なんじゃないの? 褒めたりするのは、休み時間でいいじゃない。それまで待てないのは子供っぽいわよ」

 教室全体がしゅんとした。
 すごい、サンドラがみんなを叱りつけて静かにしてしまった。
 さすが、この生徒の中で一番年長であるだけのことはある(おそらく三百歳以上)。

 そして、「子供っぽいわよ」という最後の一言が効いたようだ。
 子供って、子供っぽいって言い方をされるのを嫌がるんだよな。早く大人の仲間入りを果たしたいと思っているものだ。
 なので、騒ぐのは子供っぽいぞと言われると、真面目に勉強しないとという空気になる。

「あの子の言うとおりね……」「サンドラだっけ。迫力あったな……。背は低いけど」「大人に怒られた感じがした……」

 多分、みんなの親より年上だと思います。

「ふう、やっと落ち着いて文字の書き方の勉強ができるわ」
 しかし、サンドラがやってる授業内容は最も初歩的なものだった。

 そのあとは授業は平常どおりのものに戻ったが、ファルファとシャルシャの頭がよすぎるので、特別枠みたいなことになった。

「先生、ファルファは次は何をやったらいい?」」
「ファルファちゃん……シャルシャちゃんに算術教えてあげてね……。ファルファちゃんはどのレベルのをやればいいかわからないけど……とりあえずこの学校で教えられることはすべて理解しているみたいだから、こ、来なくていいんじゃないかな……。そ、卒業です!」

 ファルファが卒業させられた!

「それと、シャルシャちゃんのほうも、ここで教える範囲はクリアしてるみたいだから……卒業です!」

 シャルシャも卒業か!

 たしかに賢すぎる生徒がいると、先生もやりづらいよね。
 先生と生徒の関係性というのは、先生のほうが知識があるという前提があるから成り立つものだ。生徒のほうが知識がある時点でそれは崩壊してしまっている……。

「えー、ファルファ、卒業なの?」
 ファルファはがっかりした顔になっていた。そりゃ、わざわざ勉強に来たのに、出鼻をくじかれた感じだよな。
「姉さん、教える側にまわればいいかも」
 シャルシャがアドバイスをしたけど、根本的に何かが違う。

 そんなところで、最初の授業時間が終わった。

「よーし、休み時間だ!」「ドッジボールしようぜ!」
 子供たちが外のグラウンドに出ていく。このあたりは万国共通だな。
 ちなみにこの世界には、ドッジボールは存在する。ルールはシンプルなので、根付いたとしてもおかしくない。

 ファルファたちも子供たちに誘われて、グラウンドに出ていった。ひとまず、いじめられることはないようなので、その点はほっとした。みんなでのびのび遊んでくれ。

 いや、待てよ……。
 私やライカほど強いわけではないけど、二人の能力も子供と比べればはるかに高かった気がする……。並みの冒険者よりはずっと上だったはず……。

 ファルファとシャルシャ、それとサンドラはみんな同じチームの内野に入れられた。

「よーし! シャルシャちゃん、行くよ!」
 相手チームの内野の男子がボールを投げる。
 あっさりシャルシャはそれをキャッチする。
 ぼうっとしているようだけど、その程度の運動神経はあるのだ。

「では、こちらからも行く」
 走り込んで、シャルシャがボールを投げた。

 ――ブウゥゥン!
 剛速球が男子に直撃した。
 キャッチしようとした男子はそのまま、ボールの力に負けて、尻餅をついた。

「こ、怖いよ~! ものすごい威力だよ~!」
 男子が泣き出してしまった!

「だらしないわね」「おい、女子のボールで泣くとか恥ずかしいぞ」「そうだ、そうだ」

 味方チームはけっこう冷たい。たしかに女子に泣かされるというのはこの年頃の男子にとってはきついことなのかもしれない。

 だけど、子供たち、あんまりその男子にきつく当たってると、自分の番になった時、後悔するぞ。
 はっきり言ってその男子が泣いたのは、だらしないからじゃない。
 実際に、とんでもない威力だったからだ……。
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