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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

野菜革命編

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209 マンドラゴラのいる生活

変化は小さいですが、今回から一応新章扱いです。
 サンドラは私以外だと、まずファルファとシャルシャの二人に慣れた。
 二日目の時点で一緒に野原を走り回っていた。どうやら見た目の年齢的に近いこともあり、お互いに親近感が湧くらしい。サンドラの見た目は五、六歳ぐらいだろうか。まさに二人の妹って感じだ。

「サンドラさん、土の中、移動するの速いね~!」
「そうよ。きっと植物一速いんだから!」

「植物に関する定義が根本から覆されようとしている。とっても興味深い」
「まっ、私は植物一偉いってことね!」

 なかなか意気投合しているな。この調子だと、ほかの家族ともそのうち歩み寄れるだろう、多分。

 だが――
 その日の夜、なんかお風呂のほうがやたらと騒がしかった。
 今はファルファとシャルシャが入っている番のはずだが。二人で入っているうちにケンカにでもなったかな。ここは親として注意しておかないと。甘やかすだけじゃ、教育にならないからね。

 廊下を通って、お風呂のほうに向かう。この建物、お風呂が離れたところにあるのだ。ライカに増築してもらった時に、増築部分にお風呂を作ったことによる。このほうが旅館の大浴場に行くようなわくわく感があるのだ。

 と、その廊下を歩いてるところで、サンドラが泣きながら走ってきた。
「助けて、助けて、アズサ!」
「どうしたの? いきなり魔女の襲撃でも受けた?」

「ファルファとシャルシャがお風呂に入れとか無茶苦茶なこと言うのよ!」
 は……? 最初、意味がわからなかったけれど、だんだんと事情が飲み込めてきた。

「サンドラさん、土の中に住んでるから体洗わないと~」
「体をきれいにすること、これ、心をきれいにすることと同じ」
 娘二人がパンツ一枚で走ってきた。どうやら着替え中にサンドラが脱走したらしい。

「だから、お風呂なんて入らないの! 私が入ったら根腐れ起こしちゃうでしょ! あんなお湯の中には入らなくていいの! 汚くないの!」
 サンドラの必死の抵抗からして、ガチなやつだ。見た目は人間でも、あくまでも植物の根らしい。

「二人とも、サンドラは植物なの。無理矢理、お風呂に入れようとしちゃダメだよ」
「そうよ、そうよ! 体に悪影響があるかもしれないんだから! がお~!」
 サンドラが私の背中に隠れて、二人に吠えた。この子、その鳴き声? はどこで覚えたんだ。犬を飼ってる家の裏手にでも生えてた時があるんだろうか。

「なるほど。文化的多様性。シャルシャ、早とちりをしていた。申し訳ない」
「ごめんね~」
 誤解も解けたようで二人も謝っていた。

「まったく……。寝てる間に引っこ抜かれてお風呂に連行された時は死ぬかと思ったわ……。植物に対する横暴よ!」

 ううむ……。サンドラのことを知らないから起きた悲劇とはいえ、そんなの知らないのが普通だし、ここはちゃんと家族会議を開いておいたほうがいいな。



 そこで、私は家族を全員召集した。
 夜なので、ハルカラも工場から帰宅していて、全員揃っている。
「サンドラの生活のルールがまだみんなわかってないから、まずいことがあったら、先に教えておいてほしいの。また、お風呂に連れていっちゃうみたいなこともあるかもしれないし」

「といっても、そんなに問題の数は多くないわよ。まず、食事は水だけでいいわ。あとは太陽浴びて、勝手に生成するから」
 光合成でどうにかするの、一種のチート能力感がある。

「ちなみに、あなたは人のような食事はとれるのですか? 口はあるようですが」
 ライカが質問をする。

「あ~、大昔に人間が食べてるものを食べてみたことがあったけど、消化にとてつもなく時間がかかって、それ以降避けてるわ……。しゃべれはするんだけど、体の中身は人間とは違ってるみたいね」

「じゃあ、アタシと同じだな」
 ロザリーがうなずいてたけど、それ、質的に大きな違いがあると思う。

「承知いたしました。それでは料理などは作らない方向でいきますね」

「そう。それでいいわ。自分の分がなくてがっかりとかそういうこともないから。私は基本、気ままな根無し草だから」

「いや、お前、思いっきり根はあるだろ。むしろ、根が本体の草だろ。バカだな」
「それは言葉の綾よ! フラットルテはいちいち揚げ足とらないでよ! がお~!」

 フラットルテとの距離はそのうち縮まると考えよう……。ある意味、いいコンビのような気もする。

「あとは、睡眠時間はいいかげんだから、いつ寝てるかは曖昧ね。まあ、起こしたい時に起こしてもらっていいわよ。寝不足で動けないとかあんまりないから。夜は休眠中のことが多いけど、体そのものはこうやって動くからね。ただ、光合成できないぐらい」

「わかったのだ。夜、暇な時には起こすのだ」
「アタシも夜はやることないから、たまに呼ぶぜ」

 フラットルテはともかく、ロザリーはたしかに夜は手持ち無沙汰なのかな。あんまり深夜に何をしてるかよくわからない。

「ちょっと待って! そんな意味もないのに起こすのはやめにしなさいよね!」
 毎日起こされると嫌なのか、サンドラがあわてた。

「話としてはそんなものね。菜園に植物が生えてるって発想でいいわよ。私のほうもそれぐらいのほうが気楽だし。あんまりかまってもらわなくてもいいわ。植物は孤独に慣れてるの。敵がいない環境なだけで十分よ」

 口ではこう言ってるけど、この子、全体的に強がってるところがあるから、この点は話半分に聞いておこう。それに私のことをかまってほしいって自分から言う人って、あんまりいないしね。

「ところで、サンドラのほうから、この家にたいして何か言いたいことってある? この際、ため込まずに早目に全部言っておいて。植物の感覚とか、私たちにはわかんないからね」

 こういうふうに家族会議の場を借りて言ったほうが、あとあとケンカになったりしないだろう。人数が増えてきた分、こういうことにも気をつかう。

「そうね……。強いて言えば……ここの菜園でいくつか野菜育ててるでしょ」
「うん。ニンジンやらキャベツやらタマネギやら、いくつも植えてるよ」
 菜園は私がこの家に住むようになった時点で、もともとあって、その後、植物に比較的詳しい魔女という職業ということもあり、拡張したりした。

「あの野菜、まずいわよ」

「え……?」
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20161213_slaim_syoei01.jpg
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