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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

何かが生えていた編

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207 名前をつける

「いやあ、今回、ハルカラはファインプレーだったよ」
 屋敷に戻ると、まず私はハルカラを讃えた。
 応接室にみんなで腰かける。この屋敷にはお手伝いさんとかが住んでないので、ベルゼブブがお茶の用意に行っている。

「あそこでマンドラゴラのこの子から私を探すシステムに変えなかったら、エノ側の魔女が捕まえてたかもしれない。そしたら、かなりややこしいことになってたよ」

「ふっふっふ。私もただのおっちょこちょいじゃないんですよ。賢いんですよ。頭いいんですよ」
「あっ、あんまり自分で褒めると、またダメな子に見えてくるからそのへんにしといて」
 基本的にハルカラは調子に乗りすぎて失敗するからな。

「まっ、植物のことはエルフにお任せということです。この知識と運のよさで生きてきましたからね」
 運のよさか……。ハルカラが運がいいのか、悪いのか。どっちなのだろう……。悪運が強い気はするんだよね。でなきゃ、もう死んでるんじゃないだろうか……。

 ただ、そんなハルカラをマンドラゴラの子は警戒していた。
 ちなみに彼女はずっと私のそばにいる。なついているというのとは違って、そこが一番安全だからいるといった感じだ。

「私、エルフ嫌い……。エルフは植物をよく摘むから。マンドラゴラも引っこ抜いたりするし」
 ああ、植物を利用する種族は、植物からしたら捕食者も同然なのか。

「そんなこと言われても、植物か動物かを食べないと生きていけないじゃないですか。わたしは善良ですよ。あなたを攻撃したりすることはないですから」
「エルフってだけで怖いの。近づいてこないでね! う~、がお~!」
 威嚇している……。これは生理的にダメということだろうな。

 そこにベルゼブブがお茶を持って戻ってきたので、全員が揃った。

「それで、マンドラゴラよ、お前の名前は何なのだ?」
 フラットルテが訪ねた。そういや、ずっと知らないままだった。

「マンドラゴラよ」
「お前、バカだろ。それは種族名なのだ。フラットルテはお前の名前を聞いているのだ」
「そんなのないわよ。だって、いらないんだもの。ほかの植物はしゃべったりしないし、名乗ることもないでしょ」

 なるほど……。この子にとったら、固有名詞という概念がないのだ。
「ふ~ん。でも、名前がないと呼びづらいのだ。よし、フラットルテ様がつけてやるぞ。マンドラゴラから文字をとって、ドラゴ!」
「そんなドラゴンとまぎらわしい名前つけたら、使いづらいじゃない。バカじゃないの」
「な、なんだと! ブルードラゴンはみんなこんなものだぞ!」

 それ、ブルードラゴン自体がバカと言っていることになるような……。
 しかし、名前を決めたほうが話がしやすいのは事実だ。どういう名前にしようかな……。

「じゃあ、あなたがつけてよ、高原の魔女アズサだっけ?」
 その子が私の膝の上に座ってきて、言った。小柄なので重くはないが、距離感が近い。

「うむ。第一発見者が名前をつけるなら理にかなっておるのう」
 ベルゼブブがテキトーなことを言った。むしろ今回の場合は植物側に発見されたようなものだぞ。

「命名しろって? それはまた重大な役を……」
 見た目は女の子だし、かわいい名前、かわいい名前……。
「ジーナっていうのはどう?」
 その子が嫌そうな顔をした。リテイクを要求されてる!
「コ、コロネとか……」
 また、嫌そうな顔をした。なにげに難しいよ! 好みとかも全然わからないし!

「ハシリオオマンドラゴラとかはどうでしょうか?」
 ハルカラが絶対に方向性の違う名前を言ってみたが、案の定その子が「がお~! 黙ってて!」と威嚇した。

「じゃ、じゃあ……あなた、好きなものってある? それを名前に入れてみるよ」
「土」
 植物らしい回答が来た!
 土が入るかわいい名前ってまた厄介な! 土井さんとか……? 違う、それは苗字だ。
 待てよ、土は英語だとサンドか……サンド、サンド……。
「よし、サンドラ! あなたの名前はサンドラだよ!」

「サンドラ……うん、悪くないわね」
 よし、決まった! 割合早く決まって正直ほっとした!

「ご主人様、その名前だと、サンドラゴンぽくて、少しまぎらわしいです」
 えっ、そんな種族がいるの……? ドラゴンっていろいろいるな。
「私が気に入ったからいいのよ! 引っ込んでて! がお~!」
 サンドラはフラットルテにも敵意を示した。なんか、またトラブルが増えそうだな……。

 名前も確定したところで、やっとサンドラの身の上話になった。
 とはいえ、それはあまりにもあっけなく終わった。

「長く生えてたら、いつのまにかこういう形になってたの。それで、私みたいなマンドラゴラを探してる奴がよく来るのは知ってたから、そういうのが来ないとこを目指して動きまわってたの。言葉は人間の家の近くに生えてる時に、聞いてて覚えたわ。人間が服を着てたから、服を着るのも、そこで真似したの」
 サンドラは移動しながらだんだん知識を蓄えていったらしい。

「でね、この森がずっと人の手が入ってなくて、安全だって思って、ずっとずっと暮らしてたわけ。そしたら魔女のあなたと出会って、びっくりして……今に至る」
 身の上話はもう終わった。とくに好奇心が旺盛というわけでもないので、かなりの期間、鬱蒼とした樹海と化していたベルゼブブの庭に生えていたらしい。

「マンドラゴラか。魔族の戸籍にもこんな奴はおそらく登録されておらんな。レアケース中のレアケースなのじゃ」
 どんな種族でも住んでいそうな魔族のほうでもいないのか。
 でも、それはそうか。魔族のほうで人間と認められていたら、魔女が堂々と収穫に来れないよな。

「ふむ。それで、サンドラよ、お前はこれからどうするのじゃ?」
 さらりとベルゼブブは核心に踏み込んできた。

「これからどうするって、どういうことよ……」
「おぬし、植物じゃろ。ずっと庭に生えておったということは、庭でも暮らしていけるということじゃが、庭におるのか? 庭の植物に対して住居不法侵入だと言ったりはせんから、ここにおってもよいが、いかにする?」
ガンガンGAさんのほうで、ベルゼブブのスピンオフ5話が更新になりました! ぜひご覧ください!

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