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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

何かが生えていた編

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206 この子は私が守る!

54000点を突破しました! ありがとうございます!
「た、助けてっ!」

 その子は、私にぎゅっと抱き着いてきた!
 地中にいたはずなのに、服はあんまり汚れてない。むしろ、マンドラゴラって服を着てるのか。全裸じゃないんだな。全裸でも怖いけど。

 いや、そんなのは些細なことだ。
 大事なのは、この子が私に助けを求めてきたということ。ただ、それだけ。
 あとは、私が何をするべきか。おのずから答えは出る。

 私は魔女たちのほうを見回した。
「この子は私が保護します! 文句がある人はかかってきなさい! でも、できればかかってくるな!」
 私は啖呵を切る。後半がいまいち締まらないけど私は平和主義者なのでしょうがない。

 その声で時間が止まったように、その場はし~んとする。
 ひとまず、いきなり襲いかかってくるような魔女もいないようで、よかった。

「先輩、いいんですか……? それ、正真正銘の三百年物のマンドラゴラですよ……? 魔女として栄耀栄華を極められますよ?」
 エノが確認するように私に尋ねてきた。
 ううむ……この世界の魔女はまだこの子を植物だと考えているんだな……。

「ちょっと、ごめんね。心配ないからね」
 そう、マンドラゴラの子に断ってから、私はその子をくるっとエノのほうに向けた。

「きゃっ! 差し出さないで! 助けてよ!」
 ばたばら、マンドラゴラが足を動かした。
「大丈夫、大丈夫! そういうことはしないからね!」
 全体的にけっこうおてんばだな、この子……。

「エノ、逆に聞くけど、こんないたいけな子をすりつぶして薬にできるって言うの?」
 マンドラゴラは涙目で、ぐす、ぐすっ……とエノのほうを見ている。

「うっ! そう言われると罪悪感が……。たしかにもっと化け物的なフォルムのものを想像してたんだけど、かわいいし……」
 よし、話し合える余地は残っているな。

「そういうこと。それに私に助けを求めてきた以上、私はこの子を守るしかないしね。これで手放したら、人として最悪でしょ?」

 ほかの魔女にもうなずいているのがいるから、同意してくれているようだ。
「あんなにかわいいなんて」「うん、かわいい」「実際かわいい」「かわいいから、お持ち帰りしたい……飼いたい……」「裸エプロンを着せたいわ……」
 一部にヤバい性癖の奴がいる! やはり保護しなければ!

 向こうの代表のエノも諦めたようにため息をついた。
「先輩の考えがどういうものだろうと、どっちみち先にマンドラゴラを入手したのは先輩ですからね。今回は私たちの負けです。ほかの魔女が入手したものを理由なく奪う権利はこちらにはありません」

「よし、それでは私に反対してくる人もいないみたいだし、これで一件落着ということでいいかな?」
「ま、待って!」
 私に抱えられているマンドラゴラの子が言った。

 そして、その子は自分の髪の毛、いや頭から生えてる葉っぱを何枚かちぎった。
「根っこの部分は体だからダメだけど、葉っぱだったら魔女たちにあげてもいいわ。こっちはそのうち、生えてくるから……」
 それをエノのほうに向けて、差し出した。

「あ、いただいていいんですか……?」
 ゆっくりとエノはマンドラゴラの子に近づいていく。
「その代わり、私を狙わないと約束しなさいよね!」

「わかりました。誓いましょう! この洞窟の魔女エノ、もう、あなたを狙ったりしません!」
 その宣言のあと、エノはその子から葉っぱを受け取った。
「うあぁ……これが伝説級のマンドラゴラの葉……」

 ほかの魔女も興味津々といった様子で、周囲からエノの手にある葉っぱを眺めている。あとでエノ側の魔女で山分けになるんだろう。そのあたりはエノ側が決めればいいことだ。

「ふぅ、今度こそ一件落着かな――」
「待つのじゃ」
 そこにイライラした顔のベルゼブブが出てきた。
 その手には、何か握られている。くるくる丸めた紙のようだが。

 それをエノのところにまで来て、手渡した。
「ええと……これは何でしょうか……?」
「わらわの庭園の拝観料に関する請求書じゃ。一人頭、人間の通貨で十万ゴールド、それを人数分じゃな。なお、団体割引はない」
 エノは金持ちだから余裕で払えるだろうけど、何人かの魔女が「あっ、今月苦しいんだった……」「ちょっと風邪気味なので早目に抜けようかねえ……」みたいなことを言っていた。

「よいな? しっかり払ってもらわんと、こっちももっと別の手続きをとるからの?」
 今回、一番迷惑していたのは庭でいらんことをされたベルゼブブだもんな。これは実質的な慰謝料だろう。

「わ、わかりました……。責任を持って支払わせていただきます……」
「うむ、個別に徴収するのは面倒じゃからリーダー格のおぬしが全員分納めよ」
 エノも魔族の大臣にこれ以上刃向かうことはしない。マンドラゴラ問題は終わったしな。

「それでは本日はもう閉園じゃ! 三分以内に全員敷地から出ていけ! 時間が過ぎてもおったら延長料金をとるぞ!」
 ベルゼブブの声に魔女たちはクモの子を散らすように逃げていった。

 危機は去ったな。
 私はマンドラゴラの子を離す。ずっと、つかんでいたのだ。
「はい、これでひと安心だよ。まだ、ゲリラ的にあなたを捕まえようとする魔女がいるかもしれないから気をつけたほうがいいけど」
 もっとも、そんなことを聞く前にもうその子はこっちにまた抱きついてきた。

「怖いから、匿って……。あなた、言ったわよね。助けるって? 二言はないわよね?」
 そうだな。キャッチ・アンド・リリースってわけにはいかないよね。

「うん、ひとまずベルゼブブの屋敷に入ろうか。あなたのお話も聞きたいし」
「建物の中に入るの、すごく久しぶりだわ」
 そりゃ、植物だもんな。

 私たちは全員で屋敷に戻った。
 ほっとした分、意外と疲れてることに気づいた……。

 なお、移動中はマンドラゴラの子は私がおぶって移動しました。
「地中を移動するのや、歩いて移動するの、疲れるから。できればやりたくないの」
 そりゃ、植物は移動はあまりしないものか。
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