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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

何かが生えていた編

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201 森に棲んでる変な奴

 私の家族たちもすぐに娘を探そうと息巻いていた。
「アズサ様! 大至急、この庭に入りましょう!」
「お師匠様! 二人が大変です! わたしも一肌脱ぎます!」

 ライカとハルカラの気持ちがうれしい。でも――
「ハルカラは行かなくていいよ。どう考えても、あなたが被害に遭う展開になるのが見えてるから……」
「えええ! お師匠様、それはないですよ! わたしはエルフですからね! 森で迷うことなんて絶対、絶対ありえないですよ!」
 ハルカラの言う「絶対」という言葉、いまいち説得力がないな……。

「百歩譲って、森には迷わなかったとしよう」
「百歩も譲らないでくださいよ……」
 ごめん。あなたがトラブル起こすのは何度も見てきたんだよね……。こっちも自衛をさせてほしい。

「七十五歩譲って、森に迷わないとします」
「まだ、かなり譲ってますね……。でも、いいです……。そのあとを続けてください……」

「ハルカラを攻撃する植物が生えてる危険もあるでしょ? たとえば、溶解液を出す草があって、ハルカラの服だけ溶けるとか」
「そんなお色気展開みたいなこと、そうそう起こらないでしょ」
「その程度ならギャグですむけど、とにかくあなたの戦闘能力だったら怖いからやめておいたほうがいいよ」

 屋敷の持ち主であるベルゼブブも腕組みしてうなずいていた。
「そもそも、空を飛べる者だけで森に入るべきじゃ。それなら、森で迷ったとしても、上空に飛び出ることで、脱出可能であろう?」
「なるほど! じゃあ、ハルカラ以外のみんなは娘二人を探すの、手伝ってくれる?」
 フラットルテ、ライカ。ロザリーが次々に「はい!」と返事をした。

「うわあああ! なんか、わたしだけ仲間はずれな感じになってませんか?」
 ハルカラの気持ちもわかるけど、危険なところに入っていけというわけにもいかないしな。

「悪いけど留守番、よろしくね。薬にするのにいい植物があったら持ってきてあげるから」
「はい……。どうか、お気をつけて」

 こうして私たちは二人を探すために樹海の中に足を踏み入れた。
 といっても、庭なわけだし、この人数でちょっと探せば、二人の姿なんてすぐに見つかるでしょ。

 ――なんて思っていた時期が私にもありました。



 十分後、私は薄暗い森の中を一人寂しく歩いていた。

 ほかの捜索メンバーも近くにはいない。これははぐれたのではなくて、捜索範囲を広げるために違う方向に散開したためだが、それにしても、ほかのメンバーの物音すら聞こえなくなるとは……。

「魔族はいちいちサイズが破格なんだよ……。どんな庭なんだ……」
 私は根っこでできた巨大な門みたいなところをくぐりながらぼやく。
 ジャングルってこういう空間を言うんだろうな。道なんてものがあるわけじゃないから、木の間を縫って進んでいくけど、すぐに方向感覚がわからなくなる。トゲがある木も多いから厄介だ。

 不幸中の幸いなのは、今のところ、人間を襲う植物は未発見ということだ。ただ、迷うだけならいずれ二人を回収して事なきを得るだろう。

「ファルファ~! シャルシャ~! いたら返事して~」
 反応はない。
 しかも、日がだんだん陰ってきた。魔族の土地は日照時間が短いのだ。
「うう……私もだんだん心細くなってきたな……」

 ――と、茂みから何かが出てきた!
 イノシシの仲間だろうか。魔族の土地に住んでる固有種だろう。
「ブヒー、ブヒー!」
 攻撃してくるかと身構えたけど、むしろ私を見て、びっくりしてしまったらしく、森の中に逃げていってしまった。どしんどしんと音を立てている。

「動物も暮らしてるのか。生態系ができてるな。いやあ、それにしてもびっくりした……」

 ――と、今度は何かが地面すれすれをすごい勢いで進んでやってきた!
「えっ!? なんだ、なんだ!?」

 私はまたも身構える。この空間、謎が多すぎて落ち着かないな。
 見た様子だと、草が移動している。その際に地面も掘り返されたようになっているのだ。地中にある根っこも一緒に移動するからだろう。
 ついに人間を襲う植物と遭遇したのか?

 そして、私の少し前で、移動する草は姿を現した。
 一見、人間みたいな姿で。

「いや~、フウセンイノシシがいきなり走ってきて、びっくりしちゃったわ~。あいつ、ワタシを踏んづける時があるから、困るのよね~」
 草だと思ったのは、どうやら髪の毛らしい。その表現はおかしいか。草が髪の毛みたいに見えるといったほうが近いか。

「あの、あなた、何者?」
 私は素朴な疑問をぶつけてみた。
 その言葉が聞こえた相手がこちらのほうを向いた。
 目をぱちぱちさせながら。

 少しばかり時間が止まる。

「…………きゃ、きゃーっ! 人間、人間だわ!」
「なんか、超驚かれてる!」
 むしろ、こっちのほうが驚きたいんだけど!

「し、しかも……その見た目からして、魔女じゃない……。どうしよう……このままじゃ殺られる!」
「失礼な! 別にこっちは暗殺者とかじゃないぞ!」
 レベルは不自然なほどに高いけど、平和を愛するやさしい心の持ち主だ。

「粉々に砕かれちゃう! どうしよう!」
「あなた、魔女をどんだけ野蛮な存在だと思ってるわけ!?」
 残酷にもほどがあるだろ! 化け物扱いするな!

「とにかく、逃げなきゃ……。ここは、ずっと人間はおろか魔族も来ないと思ってたのに!」
 その謎の人間? はまた地面に潜り込むと、ずずずずずっと土の中を移動しはじめた。

 追いかけようかと思ったけど、根っこが邪魔なところをすいすい進んでいくので、すぐに見失ってしまった。

「いったい何者なんだろ……。でも、ファルファとシャルシャを探すのが先決だからね。あんなののことは一度忘れよう……」
本日、ガンガンGAさんで、コミカライズ3話が更新になりました! ライカも出てきますよ! ぜひお読みください! そして、53000点を突破しました! 本当にありがとうございます!

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