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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

何かが生えていた編

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202/280

200 屋敷の中の樹海

(プロローグ的なものを別にカウントして、~~話という中で)200話に到達しました!!! これも皆さんの応援のおかげです!!! 本当にありがとうございます! 点数も52500点を突破しました! 
 前回のお屋敷訪問から一か月ほど経った頃。
 今度はベルゼブブのほうから、お屋敷に私たち家族を招待してきた。

「どうじゃ、すっかり見違えるようになったじゃろ?」

 ベルゼブブが得意げに二階の廊下を見せてきた。赤い絨毯がずっと奥まで続いている。前回みたいにホコリで白くなったりしていない。

「そうだね。前回のお化けでも出そうなホコリとクモの巣だらけのと比べたら、まともな屋敷になってきたね」
「姐さん、ちなみに幽霊でも、もう少し散らかってないところのほうがうれしいです……」
 ロザリーにたしなめられてしまった。

「そうだよね……。わざわざ不潔なところに住みたくないよね……。ホコリだらけで息が詰まるよね……」
「まあ、息はしてないんで、息が詰まるって感覚はよくわからないんですが、クモは苦手なので、大きなクモが生息したりすると、ほんとに大変でした。一日中びくびくしてた時もあります……」

 ロザリーは脳内でクモでも想像してしまったのか、ぶるぶるふるえていた。
「幽霊でも、クモは嫌なんだ……」
「あの、動きが生理的にダメなんです……。いかにも、地獄の使いって感じじゃないですか!」
 日本だと、むしろ天国から糸を垂らして地獄から脱出するチャンスをくれる存在なんだけど、そこは文化の違いってやつだろう。実際の天国にあんなのがいるとも思えないしな。

「クモか。たしかに、このあたりじゃと両手いっぱいに広げたぐらいのサイズのがおるからのう」
「デカすぎるっ!」
 そんなん、クモじゃなくても、どんな虫でも怖いぞ!

「大丈夫じゃ。我々に危害を加えることはない。余計な害虫などを食べてくれる、心やさしい生き物じゃぞ」
「いやいやいや! そうだとしても、そのサイズはダメでしょ! まごうかたなきモンスターでしょ!」

 魔族の土地で暮らすのは無理だな……。そんなのに出会ったら、百五十年は記憶に焼きつくと思う……。
「超巨大グモ……。アタシ、ダメです……。もう、考えただけで昇天しそうです……」

 青い顔をしたロザリーはクモが絶対にいないとでも考えたのか、建物をすり抜けて、外のほうに出ていってしまった。たしかに、空の真ん中にクモはいないよね。大きな木の下とかだと、巣を張ってたりして油断ならないけど。

「ふうむ、案外怖がりなんじゃのう」
「むしろ、なぜベルゼブブが平気なのか謎だよ」
 このあたり、文化の違いだろうか。素手でゴキブリ叩きつぶす人も世の中にはいたらしいから、そういうことだろう。

「でも、これで、いつファルファとシャルシャが養女としてうちに来ても問題ないのう」
 にやっとベルゼブブは笑う。なんだ、その笑みは。
「何度言われても、養女になんて出しませんからね。二人は私が責任持って育てますので、ご心配なく」

 ちなみにファルファはさっきから活動領域が広くなったベルゼブブの屋敷を走り回っている。廊下を走ったりすると、あまりよくないのだけど、持ち主がむしろファルファが楽しむのを望んでるからいいだろう。

「広い、広ーい! かけっこもできそうだよー!」
 ばたばたばたばた。ファルファが一人で黙々と走っている。元気いっぱいだな。

 一方、シャルシャのほうは、なぜかごろごろ廊下に寝そべってそのまま回転していた。
「どれぐらいで目がまわるか実験している」
 これはこれで行儀が悪いが、大目に見るか。
 シャルシャは廊下の奥に向かって転がっていった。思った以上に速度がついていた。

「あっ、いいな~! ファルファもそれやる、それやる!」
 ファルファがシャルシャを転がりながら猛追する。わんぱくではあるが、微笑ましくはある。
 少なくとも、私もベルゼブブも微笑んでいた。

「うむ、子供はああでないといかんのう」
「そうだね~。すくすく、のびのび、育ってほしいね~」
 高原の家周辺は走り回る環境としては最高なのだけど、建物を走るというのは、また別種の楽しみがあるらしい。

「これはたまには、二人を遊びに連れてきてもいいかも」
「今、言ったな! しかとこの耳で聞いたぞ! わらわの休日の予定表を送るから、その日にしっかりと連れてくるんじゃぞ!」
「はいはい。ほどほどに期待してて」
 養女に出す気はないが、二人をかまうのが大好きなおばさんの家として活用すると考えれば、この建物も悪くはないだろう。

 二人も高原の家での生活ばかりだと飽きるかもしれないし。あそこはスローライフには最適なんだけど、その分、刺激がなさすぎるんだよね。刺激ということなら、魔族の土地は事欠かないはずだ。

 しかし、子供というのは私たちが考える以上に退屈するのが早かった。
 廊下の奥まで到着した娘二人がゆっくりと戻ってきた。

「もう、廊下はいいかな」
「十二分に堪能したと思う」

 あっ、もう、つまらなそうな顔をしている……。
 これにはベルゼブブもショックを受けていた。この屋敷の清掃に相当な時間を使ってるだろうからなあ……。

「次はお庭を探検したいな!」
「この屋敷の庭は海のごとく広大。ぜひとも散策したい」

 なるほど。興味と関心がそっちに移ったのか。
「ベルゼブブ、庭のほうもきれいに手入れした?」
 だが、ベルゼブブは下を向きながら、首を横に振った。

「そっちまでは手がまわっておらんでな……」



 私たち高原の家の家族一行は庭のほうに出た。
 庭というか、樹海だった。

「こちらは大樹が根を張ってしまっておってな……。魔族の庭師でも容易に扱えぬらしいのじゃ……。なので整備には莫大な時間がかかる……」
「猫の額ほどの面積ってわけじゃないしね。しょうがないよね」

 だが、娘たちの目はむしろ輝いていた。
「探検ごっこできるよ!」
「これは進みがいがある」

 二人はそのまま、森の中に入っていってしまった。
「こら! あんまり先に先に行っちゃダメだよ!」
 こっちの声も聞いてないな。
「はぁ、そのうち、また飽きて、戻ってくるだろうけど」

 でも、ベルゼブブの表情が暗い。
「まずいのじゃ……。この庭はちょっとした樹海じゃぞ……。あまり深く入り込むと出られんようになる……」
「いやいや……。いくらなんでも大げさでしょ……。あくまでも庭だよ」
「植物の中には動物を襲う者も交じっているかもしれん」
 ここが魔族の土地だということを、私は改めて自覚した。

 木や草が二人に襲い掛かるかもしれないということか!

「このままじゃ、まずい!」
31日頃にはコミカライズ最新話も更新予定です! ライカが出ます! よろしくお願いいたします!

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