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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ベルゼブブの家に行く編

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199 そこそこきれいになりました

 なお、ドラゴン二人が掃除対決をすると聞いて、リヴァイアサン姉妹が一番喜んでいた。仕事が減ると思っているのだろう。ベルゼブブ本人よりうれしそうだった。

「まあ、掃除は悪いことじゃないし、好きなだけ掃除対決をしてくれたらいいよ」
 基本的に善行なので、働きすぎにならない程度にやってくれるなら止める理由もない。

「さてと、審判役は――」
 私は天井のほうに視線を向けた。そこにロザリーが浮かんでいる。
「ロザリー、お願い。私たちは二階と三階はあまり行きたくないから……」
「了解しやした! どれだけホコリだらけでも幽霊に健康被害はないですからね!」
 こういう時、ロザリーは大変役に立つ。

 こうして、ドラゴンの掃除対決がはじまったのだ。
 ライカは二階、フラットルテは三階に向かって掃除を開始した。
 ほかのメンバーは一階の食堂で待機する。

「あっ、そういえば実は庭も草ぼうぼうというか、樹木がぼうぼうなのじゃ。全然、手入れをしておらんからな……」
「あなた、屋敷を持て余しているにもほどがあるでしょ!」

 宝の持ち腐れというか、なんというか……。
 一人暮らしに大豪邸は必要ないな……。

「けど、ライカとフラットルテ二人だけにやらせておくのも悪いし、私たちも庭ぐらいは手入れしておきますか」
「植物のことだったら、わたしも詳しいですからね」
 ハルカラも任せろといった調子で胸を叩いた。そのせいで胸がぼよんぼよん揺れた。自慢か!

「そうじゃの。わらわも体を動かすとするかの」
 娘二人は単純に庭に出るのが楽しみらしく、そわそわしている。真っ白なホコリの部屋のトラウマも、もう消えたらしい。

「よーし! お屋敷快適プロジェクト始動だよ!」

 ――で、日暮れ時になった。

「広すぎる。むしろ、深すぎる……」
 私たち庭清掃部隊は庭のすぐ入り口で挫折していた。

 生えているのがトゲのある木ばかりで、しかもどいつもこいつも根が深い。中には何十メートルも伸びているものまであって、庭というか、本格的な森になっていた。
 しかも、木や草がびっしり隙間を埋めていて、森の中に踏み込むことすら、難しい状態だった。森の壁とでも言おうか。

 ハルカラなんかは、すでに仰向けになって、ぐったり倒れていた。
「これはエルフの手には負えません……。森の質が違いすぎます。エルフなんかが近づいても返り討ちです……」

「この庭、わらわが農相になってから一度も入ったことがないのじゃよな……。それ以前
からもなかば放置されておったようじゃし、最低でも五百年はこのままじゃったのではなかろうかの……」
 所有者のベルゼブブもあきれながら言っていた。

「それ、庭じゃない。ただの大自然だから……」
 人為的な影響なく、すくすく育ってるじゃないか。

 木の合間に体を突っ込んで、入ってみる。その先でも、様々な草が勝手気ままに成長している。
 そのあたりの草をためしに適当にぐいぐい引っ張ってみる。私のレベルMAXの力だから草ぐらいなら根っこから抜ける。

「物珍しい植物は多いから、魔女としては気になるんだけどね~」
 このへんの植物は根っこが太いし、薬として使えるかもしれない。

 草を片っ端から抜いてみる。どれも高原近くの森では見たことのない種類だ。調薬の材料集め目的で、ここに通うのも悪くはないかな。よいしょ、よいしょ。

「ぬ、抜かないでっ!」

 突然、変な声が聞こえて、私は手を止めた。

「あれ、ハルカラ、何か叫んだりした……?」
 私はみんながいるほうに顔を向ける。
「わたしはさっきからぐったりしてるだけですけど……」
 じゃあ、今の声は何だ? 地中から聞こえてきたような……。

 地面に視線を向けたけど、なぜかモグラが地上近くを這っていったような痕跡ができていた。
「地下にいる魔族にでも迷惑かけたのかな……? よくわからないや」

 そんなことより、ドラゴン二人の対決結果を見に行くか。

 まず二階。
「我なりに頑張った結果です……」
 ライカが担当した二階は二部屋が今すぐ利用できそうなほどに、ピカピカになっていた。ライカの日頃の行いがよくわかる結果だ。

 それに対して三階。
「フラットルテ様の圧勝だな! その違いは誰が見ても明らかだ!」
 うん、誰が見ても違いは明らかだね……。フラットルテは三階の大部分を掃除していたが、すべてがいいかげんだった。部屋の隅はもれなく丸く掃かれていて、ホコリが残りまくっている。廊下の隅も白い線が見えるので、中央だけ気にして、壁際は無視したな……。

 しかし、表面積だけではフラットルテの圧勝というのも事実だ。

「アタシ、審判をしていたわけですが、果たして、どっちの勝利と宣言すればいいんでしょうか……?」
 ロザリーも質が別物すぎて、悩んでいるようだった。
「そうだね……。ここは審判が決めて……」

 問題は二人とも勝ちを確信している顔をしていることだ。
「我の勝ちは揺らぎないですね。美しいですから」
「フラットルテの表面積でトリプルスコアなのだ! どんな八百長審判もフラットルテの勝ちと言うしかないのだ!」
 しまった……。もっと勝利条件を細かく設定しておくべきだった……。

「ええとですね……勝者は…………ひ、引き分けですっ! なかったことにしてください!」

 ロザリーは幽霊らしく壁を突き破って、そこから離脱していった。その場から消える。ある意味、幽霊らしい対処法だった。

 そのあと、案の定、ライカとフラットルテが長く口論をしていたが、ベルゼブブの屋敷が少しはきれいになったのはよしとしよう。

「掃除をすれば、どうにかなりそうなものじゃのう」
「他人事みたいに言ってるけど、家主として管理しなさいよ。たまに、人を雇ってもいいから」
「そうじゃの。以後、屋敷の整備に取り組むことにするのじゃ……」

 このお屋敷が往年の輝きを取り戻すのがいつになるかはわからないけど、その時は泊まらせてもらおう。

「次はファルファとシャルシャがお泊まりできるぐらいに美化に取り組むのじゃー!」
「なんか、よこしまな理由で気合い入れられた!?」

 娘二人も「わーい! お泊まり楽しそー!」「宿泊体験は人格形成にもプラスになる」などと喜んでいた。

 ファルファとシャルシャのためならベルゼブブは本気出しそうだし、マジで短時間のうちに塵一つ落ちてないレベルになるかもしれない……。
活動報告でも今書きましたが、ガンガンGAさんで連載中のベルゼブブによるスピンオフ、4話が更新になりました! こちらもよろしくお願いいたします! 来週にはコミカライズ3話も更新です!

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